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どんどん変わっていく保険と金融。
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[2012-08-28]
 AIU、事業総合賠償責任保険を拡充

 AIUは、企業のあらゆるリスク(国内)に対応する事業総合賠償責任保険(STARs)に、アジア現地保険の上乗せを補償する特約として、海外リスクにも対応するアジアアンブレラ特約を9月1日から販売する。同社では、今後も海外ビジネスを展開している顧客に対し、ニーズに合ったさまざまなソリューションプランを提供していくとしている。
 アジア地域への海外進出企業が増加の一途をたどる昨今、賠償資力確保を目的として大企業だけでなく、中小企業においても海外での事故による巨額な賠償責任への補償ニーズが高まってきている。
 これを受けて、AIUでは、現地で加入する保険では補償が不足する大きな事故を補償するアジアアンブレラ特約を開発したもの。
 通常は、施設賠償、生産物賠償、請負賠償、そのほか自動車保険や使用者賠償など発生する事象の対象ごとに保険に加入するが、広範囲にわたり事業を営む企業向けにさまざまなリスクを一保険で包括的に傘(アンブレラ)のように包む補償が特徴の同特約は、補償対象地域をアジア地域に限定することで保険料を抑え、中小企業の顧客でも加入しやすいものとなっており、海外で起こる巨額な賠償責任に対応する特約となっている。主な特徴は、@アジア地域で生じた事故などの賠償リスクについて、保険支払限度額が50万ドルを超える損害を補償(アジア地域で発行する現地保険の上乗せ補償として機能)A現地での保険加入の場合、英語の証券が主流だが、同商品は日本語による証券を発行(補償内容が理解しやすい)B事故の発生による自社ブランドイメージ回復のための費用として、海外危機対応費用補償を用意C中小企業にも加入しやすいように、アジア現地での売上高、自動車保有台数などの申告で保険料を見積もり、簡単な保険加入が可能―など。
 現地で雇用した従業員に業務上災害が生じた場合の使用者賠償責任保険の上乗せニーズや、保有する社用車での事故により多くの犠牲者を出す大惨事となった際の自動車保険の上乗せニーズなど、アジア地域での賠償リスクやその経済的ダメージが従来より大きくなる傾向にあり、現地で加入する補償では足りない場合も増えてきている。同特約では、事故対象ごとに保険加入する必要がないため、企業のリスクマネジメントが簡易になるほか、STARsで国内リスク対応を、アジアアンブレラ特約でアジア地域における巨額リスク対応をすることで、海外進出企業の日本本社におけるガバナンスも強化される。アンブレラ特約の補償対象となるアジア地域は、インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国(香港、マカオ含む)、台湾、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、ブータン、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ラオス。
[2012-08-27]
 JDパワー、自動車保険の事故対応で満足度調査

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である鰍iDパワー・アジア・パシフィック(本社:東京都港区、アルバート・ラパーズ代表取締役社長、略称:JDパワー)は8月21日、「2012年日本自動車保険事故対応満足度調査」の結果を発表した。同調査は、今年8月6日付で発表された「2012年日本自動車保険新規加入満足度調査」と「2012年日本自動車保険契約者満足度調査」(本紙8月9日付2面参照)に引き続き発表されたもの。今回の調査では、自動車保険(任意保険)に加入する顧客のうち、過去2年以内に契約先の保険会社に事故連絡(保険金請求)をした際の保険会社の事故対応について顧客満足度を調べた。
 「2012年日本自動車保険事故対応満足度調査」の結果をみると、事故対応を受けた後、保険の契約先を見直し、別の保険会社に切替えた顧客と、事故後も継続して契約し、次回更新時にも“必ず契約する”という意向の強い顧客の満足度との間には、240ポイント以上もの大きな満足度スコア差があることが明らかとなった。特に、「事故対応担当者」への満足度の差はさらに大きく異なる。つまり、事故連絡から保険金支払いまでのプロセスにおいて、顧客の対応窓口となる“保険会社の担当者”や“代理店の担当者”の対応の良し悪しが、事故対応満足度と引き続き顧客を維持できるかどうかを左右しているといえよう。
 また、これら“保険会社の担当者”や“代理店の担当者”(「事故対応担当者」)への満足度が高い顧客ほど、事故対応全般への総合満足度も高まり、その後の保険会社選定において“引き続き同じ保険会社で契約を継続している”とする割合は95%にまで高まっている。
 これは、「事故対応担当者」への満足度が低い顧客よりも15%も高い結果であった。この傾向は“代理店の担当者”が顧客の対応窓口であった場合により顕著であり、自動車保険契約時点でかかわった代理店の担当者が、事故時にも顧客対応するという一貫した体制が顧客にとって好ましいといえそうだ。
 同調査では、保険会社の担当者や代理店の担当者からどういった対応を受けた場合に事故対応満足度が高くなるかを整理している。例えば、顧客が事故連絡以降の問い合わせ先・連絡先を明確に知っている場合に満足度は高まる。
 さらに、担当者にいつもすぐに連絡がとれた場合、連絡がすぐにはとれなかった場合よりも満足度スコアは160ポイント以上も高い。問い合わせ先・連絡先が「明確であった」とする顧客の割合は97%と高いが、担当者に「いつもすぐに連絡がとれた」とする顧客の割合は39%に過ぎず、各社の顧客対応体制には改善の余地がある。
 事故対応を受ける顧客にとって、対応窓口となる担当者の顧客を安心させるサポート体制構築が事故対応満足度を高め、ひいては顧客を維持するための大事な要素であるといえよう。
 AIUは総合満足度スコア755ポイントを獲得し、4年連続で第1位となった。AIUは六つの全ファクターで業界トップの評価だった。第2位は富士火災(715ポイント)で「事故受付体制」「調査/認定結果」「保険金支払い」についてAIUに次ぐ高い評価を得た。第3位は日本興亜損保(705ポイント)で「事故対応担当者」についてAIUに次ぐ高い評価だった。
 事故対応についての総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に与える影響度の大きい順に、「保険金支払い」(43%)、「事故受付体制」(20%)、事故連絡時から保険金支払いまでの顧客対応担当者を測る「事故対応担当者」(18%)、「調査/認定結果」(14%)、「修理サービス」(3%)、「代車/レンタカーサービス」(2%)と続く(カッコ内は影響度)。「修理サービス」「代車/レンタカーサービス」については、契約代理店もしくは契約先からの紹介や提携/指定施設で受けるサービスに対する満足度を測っている。顧客満足度スコアは、各ファクターに関する複数の詳細項目への顧客の評価を基に算出されている。(1000ポイント満点)
 同調査は自動車保険(任意保険)の契約者を対象に今年5月にインターネット調査を実施し、過去2年以内に契約先保険会社に事故連絡(保険金請求)を行った者(事故経験後に他社へ切り替え、現在は他社で保険を契約している顧客も、調査対象者には含まれている)6903人から回答を得た。
[2012-08-24]
 損保料率機構、「今後の10年ビジョン」を策定

 損害保険料率算出機構(理事長:森嶌昭夫名古屋大学名誉教授、略称:損保料率機構)は8月22日、「損害保険料率算出機構 今後の10年ビジョン」(2013〜22年度)を策定したと発表した。既存業務の基本的構造の見直しと、新たな付加価値の創造を基本方針とし、損害保険業の健全な発展を支え、広く社会から評価される存在を目指すとしている。ビジョンは、策定したロードマップに沿って実行しながらも、定期的に見直すことで実効性を高めていく。
 「今後の10年ビジョン」は、損保料率機構が自らの使命を果たす上で「10年後のありたい姿」を具体的にイメージしたもので、今後、中期計画(3年)や単年度計画を立案・遂行する際の価値判断の指針とする一方、各中期計画の検討に先立って、環境変化を踏まえて妥当性を検討し、新たな課題設定や既存課題の見直しを行う。
 基本方針は、@損保業界全体のさらなる品質向上や効率化に貢献するため、既存業務の基本的構造の見直しを推進A会員や社会のニーズを的確にとらえ、既存の枠組みにとらわれない業務領域の拡大、社会への情報発信・提言を積極的に行うことにより、新たな付加価値を創造―を掲げている。
 「既存業務の見直し」では、料率・リスク関連業務に関して、「リスク環境、マーケット環境の変化などに対応した料率制度・体系の構築・改善」「規制環境の変化などを展望した料率算出手法、提供情報の構築・改善」「統計データの精度向上および会員からのデータ報告にかかる負荷軽減に向けた報告内容などの見直し」を進めていく。
 また、自賠責損害調査業務では、自賠責・任意保険の一括払い、医療調査、後遺障害等級認定などについて業務モデルを見直すとしている。さらに、組織基盤について既存業務の効率化を図る。
 「新たな付加価値の創造」では、参考純率の対象種目の増加や自賠責損害調査のサービス拡充といった新たなニーズに対応した業務領域の拡大や、会員の海外事業展開などに資する取り組みの実施、社会の安定に役立つ取り組みなどを推進する。
 このほか、ビジョンに基づく取り組みと連動した人材の確保・育成や、システム基盤の整備強化など、組織基盤の整備・強化を通じて、組織全体のパフォーマンス向上を図るとしている。
 今回のビジョン策定には、現在の損保業界を取り巻くさまざまな環境変化が背景にある。本格的な規制緩和・国際化の時代を迎える一方、人口減少・少子高齢化といった社会構造の変化、自然災害の増加・激化、情報・安全などの技術革新、国際的な監督規制の進展、リスク管理の高度化といった各要因によって、損保各社は根本的な変革を迫られている。同機構が今後の施策における骨太の長期ビジョンを打ち立てることで、こうした変化に適応し、将来にわたって存在意義を確立したい考えだ。
 同ビジョンは、約2年前に森嶌昭夫理事長が問題提起し、昨年6月に具体的な策定作業を開始。現場の若手職員を中心とした自由な議論をたたき台とし、全役職員参加型の論議へと積み上げて具現化した。
 当日に開催した業界各紙への説明会で、鈴木雅己専務理事は「従来、当機構は3年単位で業務計画を作ってきたが、今後の大きな変化をにらむと、10年、あるいはさらに長期的なスパンで『何に取り組むべきか』の方向性を定める必要があると認識し、ビジョンを策定した」と述べた。
[2012-08-23]
 三井住友銀行、保険窓販で保障性商品が急伸

 三井住友銀行では、医療保険などの保障性商品の伸びが顕著だ。昨年度の契約件数は、前年度比約3割増で、今年度も同様のペースが続いている。同行では、全面解禁以降「フルライン」での取り扱いを行っており、販売の中心は窓口。分かりやすいコンサルティングのために作成した各種のツールやリモートチャネル(ホームページやATMなど)の活用も大きな成果を生んでいる。
 保険窓販は、2002年10月の生保商品解禁以降、貯蓄との親和性の高さから変額個人年金、その後の市場環境の変化から定額個人年金や一時払終身保険へと人気が移行しているが、07年12月の全面解禁後は保障性商品の拡販が最大の課題となっていた。同行が、課題解決の一つの手法を獲得した格好だ。
 三井住友銀行の最大の特徴は、一人の担当者がすべての金融商品を取り扱う点で、保険商品に限らず、コンサルティングにより顧客のニーズを引き出している。ニード喚起手法も独自性が高い。効率的なのはATMの活用で、口座保有者が入出金や振り込みなどでATMを利用した際に、画面にさまざまな金融商品の案内を表示し、保険に興味を持った場合は、関心のある商品にタッチすると登録してある住所に資料が送られる仕組みだ。ホームページ(HP)からの相談・資料請求(「窓口で相談」「インターネットで相談」「電話で相談」を選択可能)、コールセンターからの案内も拡充しており、さらに、窓口への来店者に向けて案内係が声掛けしてカウンターに案内する仕組みや、店舗での消費者向けセミナー・相談会なども奏功している。各種コンサルティングツールについては、作成当初からの基本を維持しつつ、担当者の活用のしやすさを考慮して日々改良を重ねている。
 また、今年4月の販売規制の一部緩和により、住宅ローン相談者への保険提案機会が拡大したこと、融資先への一時払終身提案が可能になったことなどによる契約の伸びも顕著だ。現在、住宅ローン希望者に対する保険案内はどのタイミングが有効か(団体信用生命保険の説明時、住宅ローンについての説明時、返済プランの説明時のいずれがよいかなど)の検証を進めると同時に、「一時払終身については、企業経営者は“保障性”を重視する」といった傾向も把握している。
 同行コンサルティング事業部保険業務グループの早川弘毅グループ長は「保険提案については、顧客とのあらゆる接点を活用している。今年度は、特に保障性商品販売について、保険会社と協力して、担当者のスキルアップ教育に力を入れている。保険会社ごとに独自のノウハウを生かしたさまざまな研修があり、良い点を取り入れるようにしている」とするとともに、「商品面では、フルラインアップの方針を貫いており、これからは、介護に関する研究を深めていく。コンサルティング力のある当行の強みが発揮できる分野だと思う」と今後へも意欲を見せている。
[2012-08-21]
 共栄火災、自動車保険を商品改定

 共栄火災は、2012年10月1日以降を保険始期日とする自動車保険(総合自動車保険「KAPくるまる」、一般自動車保険「KAPベーシス」、ドライバー保険)の商品改定を実施する。今回の改定では、契約者間の保険料負担の公平性を高めるため、主にノンフリート等級別料率制度の改定や記名被保険者年齢別料率制度を導入するとともに、CS(顧客満足度)をより高めるため、事故や故障の際の車両搬送などにかかる費用補償の特約化(自動付帯)や従来のロードサービスの拡充を図る。
 これまでの制度では、事故の有無にかかわらず、同じ等級の契約者であれば同一の割増引率を適用していたが、今回の改定では、「事故があった契約者」と「事故がなかった契約者」とで、継続契約に適用する割引増率に差を設けるほか、「等級据え置き事故」としていた車両盗難・飛び石・落書きなどの事故について、「1等級ダウン事故」として取り扱う。また、「KAPくるまる」と「KAPベーシス」の一部の車種に、記名被保険者の年齢区分によって保険料が異なる料率制度を導入する。
 ノンフリート等級別料率制度の改定に伴い、従来の長期分割払制度「ちょうき安泰」に替わる商品として「ちょうき安心」を販売する。「ちょうき安心」は1年度目、2年度目の事故の有無によって2年度目、3年度目の保険料が変更となる長期分割払い商品。
 さらに、従来のロードサービス「助っ人くん」の一部(車両搬送・引き上げ)を特約化(自動付帯)し、適用対象車種を全契約(販売用自動車・受託自動車除く)に拡大するとともに、従来のロードサービスの内容も拡充。相手自動車が確認できる車対車の事故により契約の車が全損となった場合に、買い替えにかかる諸費用などへの補償として、車両保険金額にかかわらず車両保険金とは別に一律10万円を支払う車対車・車両全損時一時金特約「買い替えくん」も新設する。
 このほかにも、顧客ニーズに即したより満足度の高い商品・サービスを提供するため、各種割引制度の改定や特約の新設・改定・廃止などを実施する。
[2012-08-21]
 リスクコンサルティング梶E且R貴総合鑑定、事故現場急行サービス開始

 大型代理店リスクコンサルティング梶i東京都豊島区、有我信行社長)と、鑑定会社の且R貴総合鑑定(東京都練馬区、山口秀起社長)は7月から、建物事故現場への急行サービスを開始した。契約者からリスクコンサルティングに火災などの事故報告が入ったら、山貴総合鑑定グループ内の担当部門が事故現場に急行して二次被害の防止や現場の掃除などを行う。事故現場に焦点を当てたプロ代理店と鑑定会社の連携による新機軸の付加価値サービスとして、業界内外で大きな注目を集めそうだ。
 新サービスでは、火新事故や自動車物損事故に遭った契約者や被害者側の要請を受けたリスクコンサルティングが、山貴総合鑑定グループ内の「建物損害DRPセンター(登録商標)」に連絡。原則1時間以内に担当者が現場に急行し、応急措置や後片付けなどを行う。
 一般的に建物・構築物などの事故処理では、事故報告後に保険会社が手配した鑑定調査の後、数日経って建物の復旧工事が着手されることが多い。また、緊急の後片付けや二次被害防止策は被害者任せになっており、本来加害者側で引き受けるべき現場対応が確立されていないのが現状。代理店が主体的に事故現場でのサービスを提供することで、事故の被害者の不安や不満を解消し、既存契約の囲い込みや新規顧客の開拓、復旧費用や付帯費用の軽減によるロス対策などでの効果が期待できる。
 保険会社にとっては、事故受け付けとほぼ同時に建物の修理見積もりが代理店経由で入手できるため、早期の保険金支払いが可能になる。実際、風災事故の事案で試験的に同サービスを実施したところ、事故報告の翌日に修理見積もりが伝送されて損害額を認定。従来であれば1カ月程度要した保険金の支払いが1週間で終結した。建物の修理も1週間で完了し、契約者から感謝されたという。さらに、建物以外の損害に関しても、既に現場対応しているため、鑑定作業を行いやすいメリットもある。
 プロ代理店として高付加価値の提供を目指すリスクコンサルティングと、現場でのスピーディーな対応力をアピールしたい山貴総合鑑定は、保険サービスの方向性などで意気投合し、今年から事故現場の対応力向上を目的とした勉強会を開催。互いの業務内容の理解を深め、顧客に喜ばれるサービスについて議論を重ねた結果、今回のサービスをスタートした。
 リスクコンサルティングの有我社長は「昨今では、保険加入後の顧客と代理店の接点をなくす方向で保険サービスが進んでいるが、顧客対応を保険会社任せにせず、すべての工程にかかわり、高品質のサービスを提供することでプロ代理店の存在意義を発揮することができる。現場をキーワードにした新サービスの提供によって、新たな付加価値の創造や、事故を生かした新規開拓手法につながると考えている」として、今後のサービス普及や顧客拡大に意欲を示している。
 また、山貴総合鑑定の山口社長は「契約という入口を担っている代理店に、損害鑑定という出口的立場から、何かしらの代理店支援ができないかと考えていた。また、事故現場では不安、不満、不備を強いられている契約者や被害者に対し、今までの鑑定サービスから、具体的な現場サービスを提供する時代となった」と述べ、新サービスの意義を強調する。
[2012-08-20]
 明治安田生命、アドバイザーチャネルで“ビフォアサービス”定着

 明治安田生命が「明治安田新発展プログラム」に基づいて昨年4月から営業職員(MYライフプランアドバイザー、以下アドバイザー)チャネルで推進している“ビフォアサービス”が定着してきた。ビフォアとは、顧客に対して保険商品の提案をする前に人生のリスクや社会保障制度についてしっかり説明する活動を意味しており、同時に作成した新たなツール『社会保障制度ご説明ブック』(今年4月改訂)の活用も進んでいる。
 明治安田生命では、2008年4月から、顧客へのアフターサービスの充実を図るため、アドバイザーが提供すべき標準的なサービスを「安心サービス活動」として制度化して、契約内容の確認、誕生日や就職などの節目のあいさつといった活動を通じて、定期的な訪問(連絡)を推進してきた。
 昨年4月からは、安心サービス活動を継続するとともに、加入時の標準的なコンサルティング活動の定着を図っている。保険加入時の納得感や安心感を高めるため、社会保障制度について理解してもらった上で、必要保障額や要望に沿った複数の設計プランを提案するというもの。より分かりやすく説明できるよう、『社会保障制度ご説明ブック』を活用している。
 また、同社では、消費生活センターなどからの依頼を受け、同冊子を用いて高い見識を持つ消費生活アドバイザーなどに解説する機会も増加しているという。同冊子は、これらの社外の専門家からも好評を得ている。
 冊子では、まず自身と家族の生活を守るために必要な事柄を図を用いて説明。人生の四つのリスクとして、@万一の時の残された家族の生活費(生活費、子どもの教育資金、葬式代などの一時的に必要な資金)A病気・けがの医療費(医療費、収入の減少)B障がい・要介護状態になったときの生活費・療養費C老後の生活費―を掲げており、社会保障制度では@公的年金(遺族給付)A公的医療保険B公的年金(障害給付)・障がい者への福祉サービス・公的介護保険C公的年金(老齢年金)―がそれぞれ対応することを図示している。また、リスクに応じた“自助努力で準備すべき必要保障額”も分かる構成になっており、「遺族給付ってなに」「公的医療保険ってなに」「障害給付ってなに」「障がい者へのサービスってなに」「公的介護保険ってなに」「老齢給付ってなに」をテーマに紹介している。
 最新版では、公的年金に関する記載や制度・数値については今年4月以降適用の公的年金制度に基づいており、公的医療保険制度・公的介護保険制度は今年2月現在の内容。
 同社では「今後も制度変更などに合わせて冊子の改訂を行い、ビフォアサービスにさらに力を入れていく」方針だ。
[2012-08-17]
 三井住友海上とシリウス、売掛債権回収テーマにセミナー開く

 三井住友海上と保険代理店のシリウスは8月6日、取引先企業9社を招き「弁護士&税理士の視点から見る〜売掛債権回収セミナー」を三井住友海上大阪淀屋橋ビルで開催した。リーマンショックから4年が経過したが、企業の倒産は依然として年間1万3000社(2011年)という高止まりの水準が続いている。長期化する金融危機の中で自社を守るために企業はどのように対処していくか。弁護士の立場から牧法律会計事務所の牧尚人弁護士が、税理士の立場から奥村佳文税理士事務所の奥村佳文税理士が債権回収の際の留意点などについて講演した。5月に人事労務に関するリスクマネジメントセミナーを行ったのに次いで2回目のセミナー開催となる。
 シリウスの高木利勝社長は、冒頭「リーマンショック以降、さまざまな数字が飛び交い、企業の倒産も増えている。保険に携わる者にとっては、デジタル的な情報の中からはリスクが読みづらくなり、アナログの中からしか読めなくなってきているのではないか。具体的には手の届く範囲の数字に対応することが大事」と開催のあいさつをした。
 牧弁護士は、債権回収について、独特の難しさがあると指摘し、「債権があるのかないのか、はっきりしない」「相手方に資力がない」「取引は継続したい」「相手と連絡が取れない」などを挙げた上で、債権回収を自分で行う場合と弁護士に依頼する場合の留意点、メリットとデメリットなどを解説した。
 同氏は、自分で行う場合の前提として「後ろめたさを感じる必要はなく、毅然(きぜん)とした態度で請求すべき」とし、「債権回収をすべき相手か」「相手方に財産はあるか」「将来の収入は見込めるか」「資産・収入の調査方法」などの具体的な注意点を挙げた。
 回収の手順では、@個人間の貸し借りでしっかりとした借用書がないA事業者間の取引B口約束で取引が始まっているC取引条件がはっきりしていない―などのような場合では、初期段階で文書を交わすことを強調した。その上で、債務額、支払予定日、遅れたことへのペナルティー、相手方から文書を提出させるなどの事項を確認することが重要だとした。続いて支払日前の催促電話や催告書を発送することになるが、あきらめないことが大事だとして、さらに、合意文書を作成し、合意に達しない場合は裁判をする。
 一方、弁護士に依頼する場合の注意点として、良い弁護士を選ぶポイントや費用面では見積書の提出などを挙げた。また、参考として貸倒損失、貸倒引当金はどのようなことか、金銭債権が法律的に切り捨てられた場合や免除を行った場合などの資料を出席者に提供した。
 奥村税理士は貸倒損失と引当金の税務ポイントについて講演した。「相手先から回収可能な金額を判断するために信用調査が必要」として、そのポイントや貸倒損失、貸倒引当金が認められるのはどのような場合か説明した。
 最後に三井住友海上の南斉恭平氏(関西企業営業第二部第三課)から同社の与信管理をサポートする取引信用保険の紹介があって閉会した。
[2012-08-17]
 NKSJホールディングス、介護サービス事業に参入

 NKSJホールディングスは8月13日、同社の子会社である損保ジャパンが投資事業有限責任組合(名称:高齢社会戦略1号投資事業有限責任組合、公開買付者)を通じて、介護サービス事業へ参入すると発表した。公開買付者は、デイサービスや施設サービス、在宅サービス事業を展開する潟Vダー(本社:福岡県北九州市、山崎嘉忠代表取締役社長)の普通株式を公開買付けにより取得することを決定。シダーの議決権の34%を取得することを目的に、シダー株式の195万900株を買付予定数の上限とする公開買付けを実施する。なお、シダーは13日付でこの公開買付けに賛同する旨の意見表明を行っている。
 損保ジャパンは、損害保険事業を核として、顧客に安心・安全を支援する先進的なサービスを提供し、真のサービス産業に進化を図ることで、さらなる成長を目指している。ヘルスケア事業では、椛S国訪問健康指導協会と椛ケ保ジャパン・ヘルスケアサービスにより、心と身体の両面から健康増進・疾病予防サービスを提供してきた。今回、超高齢社会のニーズに応えるため、介護サービス事業に参入することにした。
 具体的には、損保ジャパンを有限責任組合員、ACA梶i注)を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合(公開買付者)を設立し、公開買付者を通じ、シダーを事業パートナーとして介護サービス事業に参入する。公開買付者は、公開買付けを通じてシダーの株式を取得・保有し、企業価値を最大化することを目的として設立されるもので、損保ジャパンとACAは、公開買付けの成立を条件に公開買付者への出資を予定している。出資金額は13億4000万円(損保ジャパン13億3000万円、ACA1000万円)。
 なお、これに伴い、シダーは損保ジャパンの関連会社となる予定。病院グループのリハビリテーション部門からスタートしたシダーは、高いリハビリ技術を持ち、有料老人ホームに加えデイサービス、訪問看護を併せた複合サービスを全国各地域で提供していることから、事業パートナーとして最適と判断した。
 公開買付者は公開買付けに関連して、シダーとの間で、8月13日付で「資本・業務提携契約」を締結した。同契約は、シダーの有するノウハウ・人材と損保ジャパンとACAが有するネットワーク・信用力などを持ち寄りシダーの持続的成長に取り組むことを目的としている。また、公開買付者は同契約に基づき、公開買付者の議決権割合に応じた取締役を派遣すること、当該取締役の派遣に先立って経営会議の構成員をシダーに派遣することなどにより、企業価値の向上を図る体制を構築する予定。
 (注)2005年4月に日興アントファクトリー梶i現アント・キャピタル・パートナーズ梶jの戦略投資部門を母体として設立された、介護業界など業界特化型ファンドの運営などを事業としている投資会社。
[2012-08-17]
 損保総研、9月12日に講演会を開催

 損保総研は9月12日午後5時半から7時半まで、損保会館会議室で2012年度講演会「『デフレ』の正体と日本経済―金融・保険ビジネスへの示唆―」を開催する。講演者は、日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏。
 90年代後半から続くわが国のデフレは、消費者の生活防衛意識に大きな影響を与えている。商品を選別する消費者の目はますます厳しくなり、価格が安ければ売れるという単純な価格志向だけの販売戦略では生き残れない時代になった。保険の購入を例に挙げれば、保障内容を絞り込んだ生命保険契約が売上げを伸ばしていることもその一端を示している。
 現在は、欧州の債務危機による超円高が、リーマンショック後の日本経済を一層悪化させる可能性があるため、「デフレ」そのものがさらなる関心を集めている。しかし、将来、日本経済に広範囲で影響を与える根本要因は、世界でも類を見ない長期デフレであることは間違いなく、デフレ脱却のための正しい処方せんを探らなくてはならない。
 今回の講演会は「人口の波」を切り口として、金融・保険を含むあらゆる産業に密接にかかわる諸問題を取り上げ、その示唆を提示することを目的として開講。経営企画部門、商品開発部門、営業・損害サービス部門を始め、あらゆる業務担当者に有益な情報を提供する。
 講演項目は、@基本統計から見直す日本経済の実態A内需の不振は国際競争とは無関係に進行するB内需不振の本当の原因―人口変動C「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀D「人口減少は生産性上昇で補える」という思い込みと誤った処方箋Eではどうすればよいのか―金融・保険への示唆―の六つ。
 受講料は4000円。申込締め切りは9月4日。
[2012-08-15]
 損保総研、近畿・研究科通学講座開く

 損保総研は7月27日、2012年度近畿開催研究科通学講座「リスクマネジメントと保険(入門編)〜リスクマネジメントと損害保険の基本を中心に〜」を損保協会近畿支部会議室で開催した。日常の経済活動を取り巻くリスクから、生活や企業経営の安定を可能にする手段としてさまざまな保険が利用される一方、自然災害など保険をめぐる環境は著しい変化を見せている。現代社会がリスクの時代であることを踏まえて、リスクマネジメントと損害保険の基本を赤堀勝彦氏(長崎県立大学名誉教授)が解説した。
 赤堀氏は冒頭、保険実務を担当している参加者に対し「今回の講座は入門編として案内したが、いまさら入門でなくてもとの考えもあるだろう」とし、専門的内容については日本リスクマネジメント学会の学会賞を受賞した「企業の法的リスクマネジメント」にも触れていくと述べた。
 まず、「不確実で、発展すると大きな経済的損害を表わす可能性」といわれているとして、リスク(risk)の概念を解説。リスクと同じような使い方をしているペリル(peril)とハザード(hazard)、ロス・エクスポージャー(loss exposure)の示す意味、危機(crisis)と危険の違いなどを示した。
 リスクの分類として「家庭リスク」「企業リスク」を分けて説明した後、リスクマネジメントとは何かを提起し、保険管理型リスクマネジメントに始まる米国流の伝統的なリスクマネジメントと全社的なリスクへの取り組みのERM(Enterprise Risk Management)との相違点などを解説した。また、リスクマネジメントの国際標準規格ISO31000が発行された背景や特徴、ISO31000におけるリスク、リスクマネジメントの定義を説明。さらに、リスクマネジメントと内部統制との関係を整理していく上で重要な事項を示し、内部統制システムと一体となった検討が不可欠とした。
 そのほか保険のコンプライアンス、損害保険の種類と特徴、再保険の仕組みを紹介した。
 リスクマネジメントと保険の今後の課題については、伝統的リスクマネジメントから現代的リスクマネジメント(ERM)への導入の必要性、金融資本主義を活用した代替的リスクへの移転(ART)の利用、さらに損害保険にかかわる社会的問題点として保険金の不払い問題、契約者にとって難解な保険約款、地震などの巨大自然災害に対する保険金支払いの制限などの問題点を指摘し、その改善が不可欠で、保険会社に籍を置くものとしてリスクと保険の関係を十分に理解し、保険商品の有効活用をしていくことが求められるとした。
[2012-08-15]
 結心会・第15回定例会開催

 一般社団法人保険健全化推進機構「結心会」は7月25日、26日の両日、東京都多摩市の富士火災多摩研修センターで第15回定例会を開催した。「会として一枚岩になって為すべきことを推し進めていこう」をメーンテーマに、初日はスペシャルワンの西泰弘社長、ジー・エフの岡田博之社長、ヘルスケアサポートの福川久之執行役員、ウェルネスコンサルティングの葵智恵子社長が、集客や顧客満足度向上のための新たな手法についてそれぞれ講演した。2日目は会員の取り組み事例の発表などを行った。
 開会のあいさつで上野直昭会長は「ベストアドバイスとして顧客に勧める保険が適切なのか疑問視される声もあり、ベストアドバイス義務を第三者の目に見える形で伝えることが必要だ」と強調。「今後、結心会では保険ユニバーシティーの活用や代理店合同の勉強会・研修会などを実施していくほか、8月には代理店の営業社員がお客さまへの接客ぶりを披露しあうロープレ甲子園を今年も開催する。保険会社と代理店が同じベクトルで進んでいけるよう、保険会社との交流の場も増やして情報共有に努めていきたい」との考えを示した。
 西社長は「保険業界におけるインバウンドマーケティング活用方法」をテーマに、そのポイントや活用方法などについて解説。消費者は売り込みを受ける文化から、ウェブを使って自分で見つけ出す文化に変化しているとした上で、ポイントとして@エンドユーザーが抱える問題を解決するコンテンツに焦点を当てるAポジションを確立してパーソナルブランディングを実現するB売り込むタイミングを間違わない―の3点を指摘した。
 また、保険業界での活用方法については、スマートフォンユーザーに対するインバウンドマーケティングが有効だとし、「アプリやアクセサリーなどをノベルティーとして配布すれば、多くの集客が見込めるのではないか」との考えを示した。
 岡田社長は「オートコールを活用した集客戦術」をテーマに、オートコールテレマーケティングの概要や特徴、活用方法などについて説明。潜在顧客のリスト化、集客強化・告知、既存顧客の囲い込み、市場調査などで活用できるとし、「ウェブやモバイルでのアプローチが難しいシニア・主婦層に効果的だ。また、企業のコスト削減や業務効率化にもつながる」と述べた。
 福川執行役員は「結心会健康倶楽部立ち上げについて」をテーマに、同倶楽部のサービス概要などについて解説。既契約者や新規顧客などに対して医療データ管理や、メディカルサポート、ヘルスケアサポートといったサービスが提供できるとし、「代理店の顧客開拓や販売促進、既契約者の囲い込みにつながる。また、顧客は自分の健康管理を安心して相談できるパートナーを探しており、代理店がその役割を担うことで継続的な顧客とのリレーションシップが図れる」と説明した。
 葵社長は「香りを活用してショップを癒やしの場に変える」をテーマに、アロマの効果やアロマ空間デザインなどについて解説。香りを導入した米国のカジノで売り上げが約50%上がった事例などを紹介しながら、「アロマの機能・効果を活用して空間をデザインすることで、購買意欲向上、殺菌作用、消臭効果などさまざまな演出が可能だ。代理店が導入することで顧客の滞在時間を長くすることもできる」と述べた。
[2012-08-15]
 あいおいニッセイ同和損害調査、不正請求排除に向け対応力強化

 あいおいニッセイ同和損害調査鰍ヘ、自動車保険金の不正請求排除に向けた対応力強化を目的に、埼玉、千葉、東京、神奈川の事故解析チームが連携する体制を整え、8月1日に進発式を行った。
 事故解析チームは、アジャスターのプロフェッショナル集団で構成され、モラル(保険金の不正請求)疑義事案に対して高度な技術力を駆使して調査を行っている。これまで、各地域でチームを発足し活動してきたが、絶えず複雑化、巧妙化し続ける保険金詐欺の手口に対応するためには、より高度な損害調査力と情報の共有化が必要と考え、1都3県の事故解析チームがそれぞれ持つノウハウや得意分野を連携し、共同研究などを行うことで、組織対応力を強化していく。これにより得られた情報は、全国のアジャスターとあいおいニッセイ同和損保に展開し、保険金不正請求排除の取り組みをより強固なものにする狙いがある。
 進発式では、同社の早川佳明社長から「善意の契約者を守るためにも、保険金の不正請求には、正義と勇気を持って対応しなければならない。全国に、そして保険業界に対する情報発信基地として活躍できるよう、ぜひ頑張ってもらいたい」と熱く呼び掛けた。
[2012-08-14]
 損保総研、近畿・損害保険特別講座開催

 損保総研は7月27日、2012年度近畿開催損害保険特別講座「保険会社における苦情対応の実務〜監督当局の着眼点の分析や、実務での防止・解決に係る実践的対応策など〜」を損保協会近畿支部で開催した。苦情などに対する迅速・適切な対応が重要であることは、監督指針にも詳細が示されているが、すべてが具体的な着眼点として記載されていない。05年4月から07年5月まで任期付公務員として金融庁監督局保険課での勤務経験を持つ錦野裕宗氏(弁護士法人中央総合法律事務所パートナー弁護士)が、監督指針の内容・ポイントについて再確認した上で、記載されていない事項について分析・検討した。顧客相談室関係者をはじめ損害サービス、営業、商品開発、法務関係者ら48人が出席した。
 錦野氏はまず、弁護士1年目に扱ったある信託銀行からの依頼内容を披露。「手ごわいクレーマーで解決までに3年ほどかかった。クライアントの企業が本当に困っているときに手助けできるのは幸せなこと」と自らの姿勢を示した。
 同氏は、金融庁も苦情対応に注目しているとして、@保険会社の苦情など(相談・苦情・紛争など)への対処に係る原則・監督当局の着眼点A保険会社における金融ADR手続などへの実践的対応B保険会社に係る対応困難な苦情に対する実践的対応策C具体的なトラブル事例、その防止・解決方法―の4点を解説。
 @の苦情対処に係る原則などについて、監督指針がどのようなものか―その内容について、対処の必要性から対象範囲、苦情対処に関する内部管理体制の確立、社内規則、実施態勢などを説明し、対応のポイントを示した。金融庁が保険会社に対しどのようなことを監督指針で考えているのか、その留意点を解説した。
 Aの金融ADR手続などへの実践的対応では、何よりも大事なのが事実関係の調査であり、保険会社の常識が必ずしも裁判官などの常識ではないとの考えを強調。実務の在り方については、専門的知識がまったくない人に説明する意識が大事とした。その上で、保険会社は金融ADR手続きに対し真摯(しんし)に取り組み、できるだけ早い段階で自らの主張・証拠を提出するなど10項目を示した。
 Bの対応困難な苦情に対する実践的対応策では、相手方と対応する時に心掛けておくべきこと、弁護士への委任時期、留意すべき点やモラルリスク事案への対応などを解説した。
 Cでは、顧客との間のトラブル事例において問題の所在を解説し、また、保険代理店などとのトラブル事例を具体的に説明した。同氏は、「特に金融庁は、保険会社と代理店とのトラブルにおいて最優先すべきことは契約者に迷惑をかけないこととしており、顧客に迷惑をかけるような代理店であれば、代理店の解除につながる」とした。
 同氏は最後に「これらの内容は、10年前なら意識されなかったこと。金融庁がかかわることで対処が厳しくなり、保険会社も目を向けるようになってきた。苦情に対する意識を変えることが大事で、苦情としてのダメージは少ないが役に立つものもある」と述べた。
[2012-08-13]
 鰍sKC・鰍ャょうせい、法律事務所実務セミナー開催

 鰍sKC(栃木県宇都宮市、角一幸社長)と鰍ャょうせい(東京都中央区、澤田裕二郎社長)は7月19日、東京都新宿区のTKC飯田橋スタジオで「TKC法律事務所実務セミナー2012」を開催した。長年、日本弁護士連合会交通事故相談センターや公益財団法人交通事故紛争処理センターなどの相談担当としてADR処理に携わるとともに、多くの交通事故案件での弁護を経験している安井規雄弁護士を講師に招き、複雑化する交通事故の紛争処理案件の現状や、相談・受任から解決に至るまでのポイントを紹介した。当日は若手の弁護士を中心に多数の参加者が聴講した。
 安井弁護士は冒頭、交通事故紛争処理の現状について説明。2002年から昨年までの事故発生状況を紹介し、10年間で事故発生件数、負傷者数、死者数がそれぞれ減少しているにもかかわらず、昨今の悲惨な事故を例に挙げ、「事案の複雑さは増していると言っていいかもしれない」と述べた。
 また、東京地方裁判所で受け付ける交通事故数は増加傾向にあり、背景として、損保会社の査定の厳格化や、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、RSD(反射性交感神経性萎縮症)、高次脳機能障害、低髄液圧症候群といった、示談で容易に解決しにくい問題を含む事案の増加、弁護士補償特約の一般化による訴訟提起の増加、当事者の権利意識の高揚などを指摘した。
 交通事故紛争の具体的な処理については、@事故の発生と法的問題A交通事故紛争の相談・受任に至る過程B受任に際しての留意事項C損害金額の算定基準D治癒のケースE後遺障害が発生したケースF死亡の場合G過失相殺H損益相殺I無償同乗J素因減額K既払金L物損事故―に分けて解説。
 受任に際しての留意事項では、「事故の当事者に事情聴取する際には、被害者、加害者の氏名、住所、連絡先、年齢、性別などの基本的なことに加え、相手方に弁護士が就いているか、就いているならその氏名や連絡先、損保会社名を確認すること。また、休業損害などを算出する関係から、被害者の職業、学歴なども聞き出した方がよい」とアドバイスした。
 また、紛争解決時の注意点について、「交渉による示談」「簡易裁判所への交通調停の申し立て」「交通事故紛争処理センターへの申し立て」「日弁連交通事故相談センターへの申し立て」「裁判所への損害賠償請求の訴え」などの解決手段を紹介し、どの手段による解決が最適かをよく判断して選択する必要があると強調した。
 安井弁護士は「われわれにとって交通事故訴訟は特別な事案ではなく、依頼者からどんな質問が出ても答えられるように絶対マスターすべきだ」として、若手弁護士たちを激励した。
[2012-08-10]
 損保ジャパンDIY生命、セゾン投信とマネーセミナー開催

 損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命とセゾン投信は7月28日、TKP渋谷カンファレンスセンター(東京都渋谷区)でマネーセミナーを開催した。
 第1部で社会保険労務士の井戸美枝氏が「ゼロから見直す家計のルール〜今の生活を楽しみ、将来に備える〜」と題して講演し、第2部では「生命保険と投資信託の現状と問題点などについて」をテーマに、井戸氏をファシリテーターに、損保ジャパンDIY生命の山本学社長、セゾン投信の中野晴啓社長がトークセッションを行った。会場には約70人が参集し、講演者の話に熱心に耳を傾けた。
 損保ジャパンDIY生命とセゾン投信は、ポータルサイトの企画で対談したのをきっかけに今回のマネーセミナーを共催。
 講演した井戸氏は、「楽してお金がたまり続ける新しいルール作り」「無理をしないで大きな財産をつくる二つのポイント」「これからの社会保障と税金」について説明した。
 将来に備える資金の準備について、老後の必要費用と現在の収入の確認をして無理をせずに貯めるための方法として、資金を3種類@すぐに使うA使う予定があるB将来のために分けて運用することを教示。
 また、2000万円を運用しながら毎年100万円ずつ取り崩した場合の例を挙げ、「まったく運用しない場合は20年で資金が枯渇するが、1%運用益が増えることで、約3年分の資金が生まれる」と説明した。
 一方、無理をしないで財産をつくる二つのポイントとして分散投資と時間の分散を挙げ、「生命保険を見直すことで毎月の余剰資金が生まれる。余剰資金を少額でも長い期間積み立てれば気付いたときにはお金が増えている」と強調した。
 第2部のトークセッションでは、損保ジャパンDIY生命とセゾン投信の特色や、保険と投資信託の現状と問題点などについて論議し、会場からも質問が寄せられた。
 山本社長は、同社の「1年組み立て保険」の加入者は30代・40代が多いことや、保険額を見直す契約者数は5年以内に20%程度いること、見直すタイミングは子どもの誕生、住宅購入などが多いことなどを指摘。
 これに対して井戸氏は「一般的に保険の見直しは10年ごとだと思うので、5年で20%の人が見直すというのは多い方ではないか」との見方を示した。
[2012-08-09]
 JDパワー、「2012年日本自動車保険満足度調査」の結果発表

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である鰍iDパワー・アジア・パシフィック(本社:東京都港区、アルバート・ラパーズ代表取締役社長、略称:JDパワー)は8月6日、「2012年日本自動車保険新規加入満足度調査」と「2012年日本自動車保険契約者満足度調査」の結果を発表した。新規加入満足度調査は、今年新たに調査を実施したもので、直近の自動車保険(任意保険)への加入が初めてであった新規契約顧客、もしくはほかの保険会社から切り替えて新たに加入をした切替顧客を対象に、契約保険の内容、契約手続き時の保険会社・代理店の対応実態など自動車保険に新規で加入する際の顧客満足度を調べた。一方、契約者満足度調査は、自動車保険(任意保険)の契約者を対象に、契約保険の内容や、契約期間中の自動車事故保険金請求時の対応、各種手続きや問い合わせ時の保険会社・代理店の対応実態など自動車保険契約期間中の接点全般に対する顧客満足度を調べたもの。
 【新規加入満足度調査】
 自動車保険に新規で加入した顧客に対し“契約先を決めた理由”を尋ねた結果、ダイレクト系保険会社の顧客の76%が「保険料が安い」を挙げた。ダイレクト系保険会社の顧客吸引力は“保険料の安さ”にあるといえる。しかし、“保険料の安さ”を理由に加入した顧客のうち、次回更改時に「必ず契約する」という再契約意向を持つ割合はわずか7%で、再び契約先の見直しを検討する意向も高いことが分かった。
 一方、代理店系保険会社では、“安さ”を新規加入契約先の選定要因に挙げる顧客は11%にとどまり、「代理店に勧められた」「家族や友人との付き合い」といった理由が多く挙がることから、代理店系保険会社を選ぶ顧客は保険料よりも仲介者との関係性を重視するといえる。
 新規加入時の満足度の決定要因としては、業界全体で見ると「保険料の価格」が最大の影響力を持つことが解析結果により明らかになっているが、既に触れたように、“保険料の安さ”だけで選ばれるケースでは、長期継続という意味での顧客ロイヤルティーを維持することは難しいといえる。なお、ダイレクト系保険会社、代理店系保険会社にかかわらず、「自分に合った補償内容/商品がある」「手続きや情報入手がしやすい」といった価格以外の要素を選定理由に挙げる顧客の満足度は高く、継続契約の意向も高い。また、保険会社や代理店からの「補償内容や特約についての役に立つアドバイスや提案」といった顧客視点での活動は、顧客満足改善への有効性が高いことも明らかになっている。顧客に対する提案や説明、情報提供などを通じて“自分に合った保険である”と納得させた上での契約に持ち込むことこそが顧客満足を高め、顧客との長期の関係をスタートさせるための重要なポイントだろう。
 新規加入手続きについての総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に与える影響度の大きい順に、「価格」(48%)、「契約内容/契約手続き」(29%)、保険契約時の窓口の対応を測る「契約チャネル」(24%)と続く(カッコ内は影響度)。顧客満足度スコアは、各ファクターに関する複数の詳細項目への顧客の評価をもとに算出されている(1000ポイント満点)。
 代理店系保険会社のセグメントでは、AIUが総合満足度ランキング第1位となった。総合満足度スコアは610ポイントで、三つすべてのファクターでトップ評価を得た。第2位は日本興亜損保(586ポイント)で三つの全ファクターで代理店系セグメントの平均を上回る高い評価を得た。第3位は富士火災(584ポイント)となり、「契約内容/契約手続き」「契約チャネル」の二つのファクターで代理店系セグメントの平均を上回る高い評価を得た。
 ダイレクト系保険会社のセグメントでは、三井ダイレクトが総合満足度ランキング第1位となった。総合満足度スコアは669ポイントで、三つの全ファクターでダイレクト系セグメント平均を上回る評価を得た。第2位はセゾン自動車火災(668ポイント)で三井ダイレクト同様に全ファクターでセグメント平均を上回る評価となった。第3位はSBI損保(666ポイント)となり、「価格」でトップ評価を得た。
 同調査は自動車保険(任意保険)の契約者を対象に2012年5月にインターネット調査を実施し、新規に保険会社で自動車保険を契約した者(ほかの保険会社から切り替えて加入した契約者を含む)5945人から回答を得た。
 【契約者満足度調査】
 契約者満足度調査(既存契約者)では、調査対象者となった顧客の9割近くが継続顧客で占められる。その継続契約年数は、代理店系保険会社で平均13年、ダイレクト系保険会社でも平均4年となっている。契約先を切り替えた顧客は8%で、自動車保険は、流動性の低い市場であるといえる。また、少子高齢化や若者を中心に車離れが進むなど今後の市場規模の拡大は頭打ちであるといわれている。そのような状況下、保険会社各社は、既存の顧客の歩留まりをいかに高め、長期的関係を構築するかが求められている。
 次回の契約更改時にも「必ず契約する」という強い継続契約の意向を示す顧客や、継続年数が10年以上の長期継続顧客は、保険会社に対する総合満足度が高く、特に「顧客対応」「事故対応/保険金支払」への満足度が高いことが分かった。人的対応と自動車保険の商品そのものである事故時の対応力こそが、顧客との長期的信頼関係を築くといえる。
 同調査では、保険会社や代理店からどういった対応を受けた場合に顧客満足度が高くなるのかを整理している。
 例えば、満期案内が満期日の2カ月より前に届く場合、満期日に近くなって届くよりも総合満足度スコアは25ポイント高くなる。さらに、満期案内が顧客に届けられた後、1週間未満で保険会社や代理店から連絡を受ける場合にも満足度は高まる。しかし、顧客がこれらの対応を受ける割合は低いというのが業界の実情である。
 2カ月より前に満期案内を受け取る顧客は31%、満期案内を受け取った後1週間未満で保険会社や代理店から連絡を受ける顧客は16%に過ぎず、保険会社や代理店の対応品質の改善の余地は大きい。保険会社や代理店の的確、適切な対応は、顧客との間に信頼関係を醸成する鍵であるといえる。
 契約者の保険会社に対する総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に与える影響度の大きい順に、「契約内容/契約手続き」(35%)、「価格」(19%)、「事故対応/保険金支払」(18%)、「保険証券」(16%)、「顧客対応」(11%)と続く(カッコ内は影響度)。顧客満足度スコアは、各ファクターに関する複数の詳細項目への顧客の評価をもとに算出されている(1000ポイント満点)。
 代理店系保険会社のセグメントでは、富士火災が総合満足度ランキング第1位となった。総合満足度スコアは628ポイントで、「契約内容/契約手続き」「保険証券」の二つのファクターでトップ評価を得た。第2位はAIU(625ポイント)で「顧客対応」「事故対応/保険金支払」の二つのファクターでトップ評価であった。第3位は東京海上日動(617ポイント)となり、「価格」を除く四つのファクターで代理店系セグメント平均を上回る評価を得た。
 ダイレクト系保険会社のセグメントでは、イーデザイン損保が総合満足度ランキング第1位となった。総合満足度スコアは671ポイントで、「契約内容/契約手続き」でトップの評価を得たほか、「価格」「事故対応/保険金支払」でセグメント平均を上回る評価となった。第2位はセゾン自動車火災(660ポイント)で「保険証券」「顧客対応」「事故対応/保険金支払」の三つのファクターでトップ評価となった。第3位はSBI損保(659ポイント)となり、「価格」でトップ評価を得た。
 同調査は自動車保険(任意保険)の契約者を対象に12年5月にインターネット調査を実施し、8758人から回答を得た。
 なお、両調査では、商品の主な販売方法をもとに「代理店系保険会社」と「ダイレクト系保険会社」の二つのセグメントに分け、それぞれにおける顧客満足度を測定している。それぞれのセグメントの定義は次のとおり。
 ▽代理店系:専門代理店や車の販売店などの保険代理店をベースに事業を展開する保険会社。
 ▽ダイレクト系:代理店を介さず、主にインターネットや電話などで契約者と直接契約する保険会社。 
[2012-08-08]
 明治安田生命、「介護のささえ」を発売

 明治安田生命は、8月27日から、5年ごと利差配当付介護終身年金保障保険「介護のささえ」を発売する。「介護のささえ」は、自身の介護にかかる家族の経済的・精神的負担の軽減をコンセプトに、保障内容を介護保障に特化し、保険料水準にも配慮した中高齢層向け商品。住宅改修費用や介護施設入居費用に活用できる一時金や、在宅介護での介護費用や介護施設入居後の食費・居住費などを補完する一生涯の年金を支払い、軽度から重度介護状態まで幅広く保障する。支払事由は公的介護保険制度にも連動し、分かりやすくシンプルな保障となっている。
 明治安田生命は、中期経営計画で、介護保障分野を死亡・老後・医療保障に次ぐ「第4の柱」と位置付け、2011年11月に介護総合情報ポータルサイト「MY介護の広場」を開設、今年3月には介護付有料老人ホーム「サンビナス立川」を買収・子会社化し、介護施設運営事業に参入した。同社では、超高齢社会を支える生命保険会社として社会的役割を果たせるよう、今後とも介護関連サービスの一層の充実に努めていくとしている。
 高齢化の進展に伴い、要支援・要介護認定者数は約10年で2倍近くに増加するなど年々増加する一方、多くの人が介護に対する不安を感じているものの、私的準備が進んでいないのが現状だ。「要介護3」以上の要介護状態では、施設介護の利用者も多く、生活費や介護費用といった継続的な支出に備えるための終身年金に加え、施設入所時の一時的な費用に備える一時金が必要になる。また、施設介護を利用しない場合、多くは同居の家族がほとんど終日介護をするなど家族の負担は大きく、負担軽減のためには追加の介護サービスの利用などといった費用負担が発生する。
 こうした状況を踏まえ、同社では、一時金と終身年金で、要介護状態になった場合の費用負担に幅広く備えられる介護保障商品「介護のささえ」を発売したもの。同商品の主な特徴は次のとおり。
 ▽公的介護保険制度の「要介護1」以上、または寝たきり・認知症で所定の要介護状態に該当したとき、住宅改修費用などに対応できる「軽度介護一時金」を支払う(注1)。
 ▽公的介護保険制度の「要介護1」以上に該当したとき、以後の保険料の払い込みが不要になる(注2)。
 ▽公的介護保険制度の「要介護3」以上、または寝たきり・認知症で所定の要介護状態に該当したとき、介護施設入居時に必要な入居費用などに活用できる「介護一時金」を支払う(注3)。
 ▽公的介護保険制度の「要介護3」以上、または寝たきり・認知症で所定の要介護状態に該当したとき、介護費用などの継続的な支出に対応できる「介護終身年金」を支払う。
 ▽主契約の死亡給付金の型は、死亡保障と解約返戻金を抑え、介護保障に特化した「1倍型」と、死亡と介護を合わせて保障し解約返戻金にも配慮した「5倍型」を用意し、顧客のさまざまなニーズに応える。
 (注1)「軽度介護一時金保障特約」を付加した場合。
 (注2)「軽度介護保険料払込免除特約」を付加した場合。「要介護1・2」での保険料払込免除は、「要介護1・2」に該当し、その1年後に「要介護1・2」に該当しているなどの条件がある。
 (注3)「介護一時金保障特約」を付加した場合。
[2012-08-07]
 全国銀行協会、保険窓販に対応

 全国銀行協会(全銀協)では、今年4月からの金融機関での保険販売業務に係る弊害防止措置の見直しに関する改正(注)や、「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブルで、高齢者への不適切な勧誘が増加」といった国民生活センターの指摘などを受けて、消費者保護の取り組みを強化している。弊害防止措置の見直しに関しては、今春、適切な保険募集に努めるための「ガイダンスノート」を改訂し会員行に配布するなど、体制整備に引き続き注力している。
 同協会では、消費者からの相談に対応するため、「全銀協相談室」を設置しているが、「今年4月の弊害防止措置の見直し以降に相談が増えたということはなく、特別な変化は出ていない」としている。
 これまでには、生保協会との連携も推進。高齢者への保険販売を中心に、説明不足や預金との誤認などの苦情がコンスタントにあることから、定期的な意見交換会を年2回(昨年度は6月と2月)実施して両協会に寄せられた相談や苦情の内容、件数などを共有し、トラブル防止を図っている。
 さらに、紛争解決事案に関する共同勉強会を年1回(昨年度は2月)実施しており、銀行法、保険業法などを踏まえ、紛争解決の事例や解決方法の認識についても共有している。
 過去には、2009年7月の「個人年金保険の銀行窓口販売に関するトラブル―高齢者を中心に相談が倍増」との国民生活センターからの指摘に対して、生保協会とも協調しながら、銀行界で申し合わせを行って対応。同年秋には申し合わせを踏まえたアンケートを会員行に実施して結果を公表し、各行が行内の体制整備に活用している。
 「ガイダンスノート」は、07年12月の窓販全面解禁に合わせて会員の適切な保険募集の体制整備の確保のために作成したもので、その後改訂を重ねてきた。
 さらに、インターネットを利用した消費者向けのアンケート調査を一昨年と昨年の11月に実施。「銀行で保険を販売していることを知っているか」「銀行での保険販売は、ほかの販売チャネルと比べてどうか」などの調査結果を会員各行の取り組みの改善に生かしている。
 一方、「全銀協相談室」のほか、「銀行とりひき相談所」を全国51カ所に設置しており、そこでの相談対応でも不満の残る相談者に対しては、全銀協のあっせん委員会で対応している。さらには、ホームページでも各種情報提供やリスクについての啓発を実施しており、例えば「リスクのくすり」からは、金融のキホン、銀行のキホン、金融商品のリスクなどのコンテンツを閲覧することができる。
 同協会では「今後も消費者保護の観点から適切な販売体制強化に取り組んでいきたい」としている。
 (注)弊害防止措置(販売規制)については、融資先募集規制の対象商品やタイミング規制の対象ローンなどが一部見直しされた。
[2012-08-06]
 一般社団法人後見人サポート機構、7月4日スタート

 一般社団法人後見人サポート機構が7月4日にスタートした。わが国の高齢化の進行で成年後見の注目度が高まっているが、同機構は、親族後見人や市民後見人などに対して業務遂行上必要な指導・助言などを提供するために設立された。代表理事は、元日本生命副社長で現アンダーライティング学院学院長の正田文男氏と、法務省出身で弁護士の小池信行氏。正田氏は「成年後見を学ぶ、市民後見人を目指すという生損保の営業担当者(営業職員、直販社員、代理店など)が増えている。保険を含めた財産管理に役立つ成年後見について学び、本業の保険販売との相乗効果を発揮してほしい」と保険業界にエールを送っている。
 後見人サポート機構は、「これまで親族後見人などが成年後見人の過半を占めてきたが、今後は市民後見人や法人後見人などの比重が増すと見込まれること」(注)、「市民後見人などに対するバックアップ機能が社会的に整備されていないこと」などを踏まえて設立された。
 具体的には、@成年後見人などに対する専門的な助言・指導A成年後見業務にかかる損害保険の代理業および被保険者に対する指導B成年後見プラン策定の支援C成年後見事務システムなどの利用支援D成年後見業務を行う法人に対する運営や経営の指導E成年後見人などの養成と、養成のための講師派遣、教材開発、事務受託F成年後見業務を行う法人の立ち上げ支援G成年後見業務を行う場合の定款変更、運用規定の策定などの支援H成年後見事業に取り組む地方公共団体、社会福祉協議会、地域包括支援センター、地域自立支援協議会などに対する情報提供・助言I成年後見人等になるための支援J成年後見に関するホームページの運営K成年後見にかかる信託事業L成年後見に関する調査研究M成年後見監督人などの事務N成年後見人等の事務―などを行う。
 東京大学では、2009年3月から市民後見研究実証プロジェクト「市民後見人養成講座」で、すでに約1500人の修了生を輩出しており、修了生の多くは市民後見NPO法人の立ち上げや、後見人になるための準備を行うなど、地域で活動を開始している。後見人サポート機構は、当面、同講座の修了生を中心にサポートしていく計画だ。
 正田氏は「機構では、後見人と後見人になりたい人の両方を支援していく。東大の講座は金融業界からの関心も高く、特に保険業界からは優秀な営業担当者が数多く受講し、修了した1500人のうち、保険関係者は100人を超えている。高齢者の増加に伴い、保険や年金などとのかかわりが一層深まることから、保険とのシナジーも図っていけると思う。民間のサポート組織ができたことで家庭裁判所の業務も支援できると考えており、業界からも期待されている。機構の認知度を高めて、できるだけ多くの人を支援していきたい」としている。
 理事にはこのほか、医師で東大名誉教授の甲斐一郎氏が名を連ねている。監事は品川成年後見センター所長の斎藤修一氏。
 事務所の所在地は東京都文京区本郷7―3―1(機構事務局:東京大学政策ビジョン研究センター市民後見研究実証プロジェクト03・5841・0576)
 (注)東京大学政策ビジョン研究センター市民後見研究実証プロジェクトの試算による。
[2012-08-03]
 タイムズ24、保険会社にカーシェア利用広がる

 カーシェアリング大手のタイムズ24梶i本社:東京都千代田区)が展開するカーシェアリングサービス「タイムズプラス」を利用する保険会社・保険代理店が40社に上ることが分かった。社用車、電車、タクシー、レンタカーの代わりに利用する会社が増えており、今年4月から利用を開始したあいおいニッセイ同和損保東京企業営業第四部営業第三課の伊藤豪啓主任は「課金は15分単位で、ガソリンを入れる必要もない。免許があっても経済的にまだ車を持てない若年層の利用も広がっているようで、将来、ライフスタイルが変化したときの車所有のニード喚起にもつながるのではないか」との見方も示している。
 タイムズプラスのカーシェアリングは、会員(利用者)が、パソコンか携帯電話で予約し、予約時間に駐車スペースに行き、会員カードをカーシェア車両のリアウインドーなどに設置されているセンサーにかざせばドアロックが解除される仕組み。返却する場合は、逆の手順となる(車は借りた場所に返却する)。
 タイムズ24事業企画本部東日本タイムズプラス推進部企画グループの亀田真隆グループリーダーは「法人会員は、個人会員の場合に掛かる月額基本料(無料で1000円分利用)がないため、稼働率の低い社用車をカーシェアリングに替える会社も増えている。陣容の変化に応じて社用車の代わりに使う場合や、借りやすさや短時間利用ができる点などから出張先の駅でレンタカー代わりに使うなどの使い方も増えている」と話す。
 タイムズグループでは、今年6月末時点で、全国に1万1334カ所の時間貸し駐車場を展開。それらの駐車場に一角にカーシェア車両を駐車しており、現在、2997カ所の駐車場に4132台設置(全国21都道府県で展開)している。出張者の利用が多いことから新幹線停車駅の近辺に設置していることも特徴だ。
 5月末現在のカーシェアリングの会員数は約11万人で、個人と法人の割合は7対3。法人の利用も拡大しており、法人での利用経験者が個人会員になったり、個人で利用して便利だったことから法人会員にもなるといった相乗効果も生まれているという。カーシェア車両については、2014年度中に1万台の設置を目指している。
 あいおいニッセイ同和損保の伊藤主任は「当部として今年4月に法人契約を開始した。取引先企業は都内に多く電車移動が基本のため、部員に対する社有車数は少ない。駅から遠い顧客への訪問や荷物の多いときなどの解消にも役立っている。社有車がすべて使われていても、タクシーを使うか車利用をあきらめるといった判断が不要になった。会社の近くにカーステーションがある点も便利で使いやすい。ほかの部にも紹介していきたい」としている。
 法人利用の目的は、コストダウンや営業効率アップ。保険会社では、生損保会社10社が利用しており、代理店での利用も広がっている。タイムズ24では「かかる料金は15分単位の利用分だけなので、長めに予約して早めに帰る方が多く、稼働率アップにもつながっている。自社グループの駐車場を使用しているため、カーシェアの拠点も機動的に増やせる。会員が増えれば、カーシェアの台数を増やすことも可能で、今後もニーズに対応してサービスを拡大していきたい」と意欲を見せている。
[2012-08-03]
 SBI損保、がん治療費用保険発売

 SBI損保は、8月1日から、「SBI損保のがん保険(自由診療タイプ)」(正式名称:がん治療費用保険)の販売を開始した。
 1981年以来、がんは日本人の死因第1位になっており、年間約74万人が、がんと新たに診断されている。一方、早期発見、早期治療をすることで、がんは治せる時代になってきたとも言われ、最善な治療を選択することで生存率も高まっている。
 近年は、医療技術の進歩によって、がんの予防法、診断法をはじめ治療法の選択肢が広がってきているが、選択する治療によっては、公的保険が適用されなかったり、それにより高額な治療費を患者自身が負担しなければならないケースも生じている。「SBI損保のがん保険(自由診療タイプ)」は、公的医療保険制度の給付対象とならない新たな治療法が随時確立する現在のがん治療に合わせて、誰もが費用を心配することなく希望する最善の治療を選択し、安心して治療に専念できることをコンセプトに開発した商品。
 同商品の主な特徴は、@実際にかかった治療費を実額補償A先進医療だけでなく、自由診療も補償B通院治療費は最大1000万円まで補償Cインターネットを活用した割安な保険料―など。
[2012-08-02]
 JA共済連、2011年度決算で記者会見

 JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)は7月26日、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催した第36回通常総代会を踏まえて、同日、記者会見を行い、2011年度の業績や今後の方針を発表した。11年度は、東日本大震災の発生により建物更生共済の支払共済金が増加した一方、建物保障ニーズの高まりなどにより契約実績が好調だったことを説明。また、将来の巨大災害時の共済金支払いへの備えや、価格変動準備金の価格変動リスクへの対応の必要性が増していることから、リスク担保力を強化するために新規積み立てを行ったこと、会員JAに対する6000億円の増資要請も順調に進んで総額6918億円となったことなどを報告。横井義則代表理事理事長は「11年度は自己資本の充実を含め、JA共済連が今後も共済責任を全うできるよう、経営基盤の維持・強化を図った」と強調した。
 JA共済連は、2011年度の重点取り組み事項として、3Q訪問活動の定着による契約者フォロー活動や、「ひと・いえ・くるま」の保障提案活動の強化、JA共済連の自己資本の造成、共栄火災との連携強化に向けた取り組みなどを展開した。東日本大震災への対応では、全国から自然災害広域損害査定員などを派遣して被災JAと一体となり損害調査・査定に取り組んだほか、被災県の建物更生共済の契約者への共済金請求勧奨などを実施。共済金支払額は8951億円(60.6万件)に達した。
 主要業績では、東日本大震災による建物保障ニーズの高まりに加え、「建物・家財保障確保にかかる特別対策」などの展開を通じて3Q訪問活動での保障点検活動を強化した結果、建物更生共済の契約件数が94万9000件(前年比126.6%)、保障共済金額が15兆403億円(同135.9%)と前年度を大きく上回った。また、生命総合共済(生命・医療系・年金共済合計)は、契約件数222万6000件(同90.6%)、保障共済金額10兆431億円(同86.7%)となり、その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計保障共済金額は25兆835億円(同110.7%)となった。
 自動車共済は、契約件数844万2000件(同100.6%)、共済掛け金(連合会の受入共済掛け金)2461億円(同100.8%)となり、前年度実績以上を確保した。
 生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、契約期間満了などから303兆7208億円(同97.6%)となった。生命総合共済の保有契約高(満期共済金額)は31兆4962億円(同105.1%)、医療系共済の入院共済金額(入院日額)は194億円(同133.3%)となった。解約・失効率は生命共済が3.47%、建物更生共済が5.19%。
 一方、共済金支払い実績では、事故共済金で1兆8746億円(同206.6%)、満期共済金で2兆4615億円(同88.9%)と、総額4兆3361億円(同118.0%)を支払っており、組合員・利用者の生活保障や災害復興の一助となった。
 総資産は47兆6332億円(同102.9%)で、そのうち運用資産は、増資や一時払い契約の伸展に伴って運用資金が増加したことなどにより45兆7421億円(同103.9%)となった。純資産は2兆4926億円(同126.0%)。実質純資産額は9兆1919億円、基礎利益は危険差損益が大幅に改善したことなどにより4521億円となった。
 収支状況では、経常収益が7兆7010億円(同107.0%)、経常費用が7兆6100億円(同109.6%)となり、この結果、経常利益は909億円(同36.0%)となった。ソルベンシー・マージン比率は71.0ポイント増の633.4%。
[2012-08-02]
 三井住友海上経営サポートセンター、建設業の農業参入でセミナー開催

 三井住友海上経営サポートセンターは7月18日、東京都中央区の同社新川ビルで「建設業が“ゼロから始められる”農業参入の成功モデル」をテーマにセミナーを開催した。当日は、船井総合研究所の楠元武久氏が日本の農業の現状や他業種からの農業参入モデルなどについて解説するとともに、実際に参入した潟Iリザの藤井優COOが事例を紹介した。セミナーには建設業のほか、物流業、保険代理店なども参加した。
 楠元氏はまず、企業の農業参入の潮流について「1990年代後半から2000年前半にかけては、大企業が企業イメージ向上のために参入するケースが目立ったが、現在では中小企業が農業ビジネスで収益を得ることを目的に参入するケースが増えている」と説明。近年では国の政策としても、農地法を大々的に改正し、企業のビジネスとしての農業参入を奨励していることを紹介した。
 楠元氏によると、建設業が農業参入する際に強みとなるのは、農家とのつながり。「社員などがもともと農家出身者で、経営者が農地や土地を持っている場合、本業の強みを生かしていくことが重要だ」とし、農業参入の成功のポイントは大消費地に近い農地を持つことと強調。「農業を特殊な産業としてではなく、企業のビジネス戦略の一端ととらえて冷静に取り組めばチャンスはある」と述べた。
 続いて、5年前に楠元氏をコンサルタントとして農業参入を果たしたオリザの事例について藤井氏が紹介した。一口食べて味の違いが分かる付加価値型ミニトマトの栽培を行っている同社は、農地を保有するのではなく、複数の農家と契約する契約栽培のスタイルを取っている。栽培研修をはじめ、収支計画の立案、資材の共同購入、肥培管理、受給管理まで一貫してサポートし、栽培技術をすべてマニュアル化しているため、全国どこでも高品質で安定した生産が可能な点が最大の強みとなっている。現在、生産・収穫を開始している農家は全国に6軒、準備・検討を進めている農家は7軒あるという。
 楠元氏はオリザのビジネスモデルについて、「社員全員の豊富な社会人経験をもとにナレッジマネジメントを追求している点が堅実な成長につながっている」とするとともに、小売、外食への直接販売や、農地の近隣に農産物直売所を併設する方法などを紹介した。
 質疑応答では、参加者から人材育成などについてさまざまな質問が寄せられた。
[2012-08-01]
 三井住友海上、外航貨物海上保険セミナーを開催

 三井住友海上は7月6日、東京都千代田区の同社駿河台新館ビルで「外航貨物海上保険セミナー」を開催した。同社の海上保険部と海損部のスタッフが、外航海上貨物保険の仕組みと、実際に事故が起きた際の請求手続きや留意すべき点について、具体例を挙げて解説した。当日は物流やメーカーを中心に多くの関係者が参集した。
 はじめにあいさつした同社海損部の星誠副部長は「貨物保険は事故がなければ存在すら感じることはないものだが、変化する物流に合わせて適切な保険を考える上で本セミナーが役に立てばと思っている」と述べた。
 セミナー第1部では、外航貨物海上保険の基礎として、同社海上保険部貨物業務チームの橋爪亮太氏が外航貨物保険の位置付けと運送人の責任、貨物保険によってカバーされる損害の内容などを解説。輸送中の危険負担と保険手配に関して国際商業会議所が定める「インコタームズ」に基づく三つの売買条件を解説した上で、さまざまな海上危険や戦争、ストライキ危険について、売買条件ごとの支払いの可否と、それぞれの保証期間、保険料や料率の決め方について説明した。
 第2部では、海損部貨物第2グループの小林真美課長代理と水野雅子氏が保険金の請求手続きについて解説。積み荷の損害を発見した時から、請求、保険金の支払いに至るまでの流れを追いながら、証拠の確保や求償権の保全、保険会社への事故連絡に際して必要な情報や書類などについて説明した。また、貨物の種類別チェックポイントを挙げた上で、保険の対象となる事故と、被害状況・設定保険金額を基にした保険金の計算方法を具体例を基に示した。さらに、航海中に衝突、座礁、火災、エンジントラブルなどの事故によって船や船荷を保全するために曳航や仮修繕、船荷の投棄などを行う「共同海損」が発生した場合の手続きと被害分担の仕組みなどを解説した。
 セミナー終了後は、同社海損部のスタッフがその場で相談窓口を設け、参加者の個別質問を受け付けた。

 (保険毎日新聞から抜粋)