保険NEWS&TOPICS
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どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
  [2015-02-27]
 生保協会が女性活躍・健康増進で事例集を発行、生保42社の取り組み集約

 生保協会の渡邉光一郎協会長は2月20日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、「女性活躍推進・健康増進に関する生命保険会社の取組事例集」の発行と、健康増進啓発プロジェクトについて報告した。本年度の所信で主なテーマとして掲げた女性活躍推進と健康増進啓発に対応する取り組みで、取組事例集は国内で営業する生保42社に対して行ったアンケート調査の結果を約130ページにわたって掲載している。
 取組事例集は、2014年10月に実施したアンケートの内容をまとめたもの。女性の活躍推進と健康増進に関する各社の事例の共有化を目的に作成した。第1部では、生保業界の女性活躍推進に係る取り組みの傾向として、就労者全体に占める女性の雇用率が8割に上ることや、女性の平均勤続年数と管理職登用が着実に増加していることが示されている。渡邉協会長は同書の発行について「互いの良いところを取り入れながら、業界全体のレベルを引き上げる取り組みにしていきたい」と述べた。
 また、健康増進啓発プロジェクトに関しては、2月7日・8日の2日間にわたって、沖縄県浦添市で「てだこウォーク2015」を開催したことを報告。2日間で7400人が参加した同イベントを皮切りに、3月7日に福岡市、3月14日・15日には岡山県倉敷市で健康増進に関するイベントを開催すると発表した。
 続いて、すでにスタートしている子育てと仕事の両立支援プロジェクトに関して、保育所や放課後児童クラブなど全国の99施設に総額3000万円の助成を実施したことを報告した。
 渡邉協会長は、同助成が104人の児童の新規受け入れや、総計で約6000人の児童を預かる保育施設の質の向上に寄与したと説明するとともに、助成決定通知書の授与式で保育施設関係者から、仕事と子育ての両立で苦労している保護者の勇気付けにつながるとの感謝の言葉を受けたことに触れ、「協会として、生保事業を通じて国民に安心を届けることはもちろん、“全ては次の世代のために”という思いを込めた取り組みを継続することで、地方創世に貢献していきたい」との考えを述べた。
 この他、現在の金融環境への認識に関する記者からの質問に対しては、世界的に間接的・直接的な影響が絡み合い複雑な状況にあることを認めた上で、日本の現状については、東洋医学における好転反応(治療の過程で起きる一時的な身体反応)が起きていると捉えるべきではないかとの前向きな見方を示した。


  [2015-02-26]
 価格.com自動車保険満足度ランキングでSBI損保が総合1位に

 カカクコムは2月19日、価格.com(http://kakaku.com/)のサイト利用者へのアンケート調査を基に、ユーザー満足度の高い自動車保険商品を「総合」「保険料」「サービス」「事故対応」の四つの部門別に選出する「自動車保険満足度ランキング2015」を発表した。
 総合満足度では「SBI損保」が72.60ポイントで初めての1位に輝いた。アンケート回答では、手頃な保険料と充実した補償内容、見積もり・契約手続きの簡便さが、高い評価を獲得した。2位は「三井ダイレクト損保」(72.58ポイント)、3位は「ソニー損保」(72.33ポイント)とダイレクト系の損保が今年も上位を占めた。上位の保険会社は、サービスや補償内容の充実度が拮抗(きっこう)しており、今回の結果での獲得ポイントでも大差はないが、保険料と補償内容のバランスが鍵だといえそうだ。
 保険料に関する満足度は、82.81ポイントで「SBI損保」が同部門で唯一80ポイントを超える評価を得て2010年から6年連続で1位。以下、「三井ダイレクト損保」(77.69ポイント)、「セゾン自動車火災保険」(76.37ポイント)と続く。
 サービスに関する満足度は、「ソニー損保」(71.92ポイント)が2年連続1位となった。「コールセンターの対応が親切・丁寧」「無料ロードサービスの質が高い」といったアンケート回答者の声が多く寄せられた。2位は「チューリッヒ保険」(70.79ポイント)、3位は「セゾン自動車火災」(70.59ポイント)。
 事故後の対応に関する満足度では、80.51ポイントを得て「三井住友海上」が初の1位となった(前年5位)。事故連絡の経験者からは「コールセンターの対応が良い」「事故時の連絡が迅速で丁寧」「国内大手だから安心」などといった声が多かった。迅速、かつ、こまめな対応が高い評価につながっていることがうかがえる。
 同調査は、過去半年以内の価格.com利用者の中で、現在、自動車保険(任意保険)に加入している、もしくは事故時などに保険会社に連絡をしたことのある人を対象に15年1月19日から28日にかけてネット上で実施したもの。有効回答者数は5988人(男性73.6%、女性26.4%/20代2.2%、30代18.8%、40代28.2%、50代27.5%、60歳以上23.3%)。調査対象会社はSBI損保、あいおいニッセイ同和損保、アクサダイレクト、アメリカンホーム、イーデザイン損保、セコム損保、セゾン自動車火災保険、ソニー損保、損保ジャパン日本興亜、そんぽ24、チューリッヒ保険、東京海上日動、富士火災、三井住友海上、三井ダイレクト損保の計15社。


  [2015-02-25]
 第3回国連防災世界会議、3月14日から仙台市で開催

 国連防災世界会議が3月14日から18日の5日間、東日本大震災の被災地である仙台市で開催される。1995年の第1回(横浜市)、2005年の第2回(神戸市)に続き、3回目となる今会議は193の国連加盟国から首脳・閣僚級を含む約5000人、全体では4万人以上が参加する見込みだ。同会議に向けて、損保協会では本体会議のワーキングセッションに櫻田謙悟協会長がパネリストとして登壇する他、パブリック・フォーラムでも二つのイベントを予定している。また、損保数社がシンポジウムや体験イベントなどを実施する。
 国連防災世界会議では、新たな防災戦略を話し合う政府間会合や防災に関するさまざまなテーマで議論するワーキングセッションなどの本体会議と、行政やNPO、教育機関、民間団体・企業などが防災・減災に関する取り組みを発信するパブリック・フォーラムが行われる。特に首脳・閣僚などが話し合う政府間会合では、前回策定された国際的な防災の取り組み指針である「兵庫行動枠組み」の後継となる15年以降の新たな国際防災の枠組みを策定する狙いがあり、防災・減災に関する国際的な動向を話し合い、最終日に政治宣言、コミットメントを採択する。
 また、ワーキングセッションの中では「災害リスクの移転と保険(Disaster Risk Transfer and Insurance)」のテーマが組まれており、損保協会の櫻田謙悟協会長が日本を代表しパネリストとして登壇する。同セッションは世界各地で頻発する自然災害のリスクに係る経済的損失をどのように減少させて経済的・社会的安定の実現を図るかなど、自然災害への対処について各国の政府・国際機関関係者と共にディスカッションする。セッションの中で櫻田氏は、わが国の地震保険制度の概要や東日本大震災において損保業界が取り組んだ迅速な対応、地震保険が被災者の生活安定に寄与している点などを説明する予定だ。
 【パブリック・フォーラムでイベントやシンポジウムも】
 今世界会議では、パブリック・フォーラムにおいて行政や民間団体・企業が開催する各種シンポジウムや展示なども大きな特徴だ。損保協会では特別ゲストにモデルで国連WFP日本大使の知花くららさんを招いた地震保険フォーラム「大震災の後に…」や、子どもが主役の防災教育の実践をテーマに「ぼうさい探検隊マップコンクール表彰式」と有識者によるディスカッション「防災教育フォーラム」を予定している。同協会の深田一政常務理事は「3月14日の『地震保険フォーラム』を通じて、東日本大震災でも役割を果たした生活再建のための『地震保険』の有用性の理解を深めていただき、さらにその普及を促していきたい。また、15日の『防災教育フォーラム』では、次世代を担う子どもを主役にした、ぼうさい探検隊のこれまでの10年を振り返る中で、防災教育の在り方を展望する。地域に根差した防災教育を、より多くの方々と共に広めていきたい」と語る。
 一方、損保各社もパブリック・フォーラムへの参加を予定しており、東京海上日動は東北大学と共同で行った地震津波リスクの研究成果を発表する「産学連携研究成果発表会」をはじめ、ジュネーブ協会と「災害課題の解決と被害軽減に役立つ保険」、東京海上日動リスクコンサルティングと「災害に強い社会を創るために〜企業の視点から〜」のテーマで共催する。
 MS&ADインシュアランスグループは宮城県と共催で、「企業防災体験コーナー」を準備し、事業所などの拠点所在地からハザード情報が分かる拠点リスク診断や模型実験機器を使って地震のメカニズムを体験・学習できる地震メカニズム体験、スマホやタブレットで無償で活用できる防災アプリ体験会の他、予約者優先だがBCP策定セミナーやBCP訓練体験会を実施する。
 損保ジャパン日本興亜は「防災ジャパンダプロジェクト」と題し、童話「三匹のこぶた」をモチーフにした防災人形劇や、災害から身を守り、助け合う“知恵や技”を体を動かしながら学ぶ「体験型防災ワークショップ」を開催する。


 [2015-02-24]
 損害保険リサーチが医療講演会を開催、法医学的見地から死因分類

 損害保険リサーチは2月18日、東京都千代田区の損保会館で医療講演会を開催した。業務に関連する医療分野の知識提供を目的に毎年行っているもので、今回は、法医学から見た死因の分類と孤独死の現状などについて、東海大学医学部基盤診療学系法医学教授の大澤資樹氏が「法医剖検例から見た保険事故」と題して解説した。会場には損保関係者ら約150人が参集した。
 同社主催の医療講演会は今年で15回目を迎える。今回は毎年のアンケートで要望の多かった法医学をテーマに選定。開会に先立ってあいさつした西尾祐司社長は「法医学は損保と深い関係があるが、法医学者の話を聞く機会はあまりないと思う。きょうは私も皆さんと一緒に勉強したいと思う」と述べた。
 講演した大澤教授は日本賠償科学会や日本交通科学協議会にも所属し、賠償事故や交通事故に深い造詣を持つ。同氏はまず、死因の種類として、内因性疾患による死亡を病死、身体外の物理的・科学的要因による死亡を外因死として紹介。死亡診断書では、大枠として病死と外因死に分け、さらに外因死を偶発的な不慮の事故死とその他の外因死に分類していることを説明。死因の種類を判断するには必ず原死因にさかのぼることになっており、例えば、腹部を刃物で刺されたことで腹膜炎を発症して死亡した場合は、外因死になると解説した。
 また、日本における死体の検案や解剖体制の不備を指摘。東京23区内であれば検案は監察医が行い、行政解剖は東京都監察医務院が、司法解剖は各大学の法医学教室がそれぞれ実施しているが、地方では専門医が少なく、日本全体では、検案の8割を一般の医師が行っている。死因の種類の判断についても、英国や米国ではコロナ―や監察医といった専門職があるのに対し、日本では裁判官や医師、警察官など、その役割が定まっていないことが検案を複雑化しているとの考えを示した。
 続いて、同氏は交通事故について考察した。交通事故での死亡には、外因の直接作用で24時間以内に死亡するケース以外に、合併症などを理由とした遅延性死亡がある。交通事故との因果関係が考えられる合併症には、感染症や肺塞栓(そくせん)、出血性潰瘍などがあるが、感染症や出血性潰瘍に関しては事故発生後1カ月以上経過してから死亡する場合が多く、事故との関係が間接的にとどまるものが多い。一方、肺塞栓に関しては体の損傷が軽い場合でも死亡するケースがあるため、事故との関係を注視する必要があると述べた。
 最後に、在宅死についても触れ、阪神・淡路大震災の復興過程で注目されるようになった孤独死に関して「独り暮らしの高齢者が増加しているため、今後も増加していくことは間違いないが、早期発見や未然防止に向けた体制づくりが求められる」と強調した。また、入浴中の急死の発生率が高い点に着目し、「入浴中の急死は病死と外因死の判断が難しく、法医学でも意見が分かれている。新たな症候群としてとらえるべきではないか」との自説を展開した。


 
  [2015-02-23]
 かんぽ生命、支払い業務に先端技術、審査の水準向上を目指す

 かんぽ生命は2月18日、IBMの最先端コグニティブ・コンピューティング・システム「Watson」技術を活用し、保険金支払い業務の高度化に向けた検討を進めると発表した。日本で最大規模となる同社の支払い審査データや約款、関連法規、過去事例などの情報を同システムにより分析し、支払いの判断についての選択肢を確信度付きで提示するサポートを用い、審査担当者がより迅速、かつ、正確に支払い業務を遂行できるように研究を進める。
 かんぽ生命では、契約者からの請求に対して、正確、かつ、迅速な支払いを行うため、現在、イメージワークフローを活用した「支払業務システム」を使い請求書類の確認や支払い審査などの業務を実施している。
 しかし、支払い審査の工程では約款などで定める支払い事由に該当するかどうかを適切に判断することが必要で、約款や支払い規定といったルールに関する知識や契約者から提出された診断書などを読み解く医学的な知識、支払い可否を判断するための各種法律の知識と経験などが求められることから、多くの場合、システムによる判断だけではなく審査担当者による判断が必要となっている。
 同社では、IBMの同システムのサポートを活用し、審査担当者による支払い業務のサービス水準をより向上させることを通じて、経営理念である「最も身近で、最も信頼される保険会社」の実現を目指す。
 コグニティブ・コンピューティング・システムとは、コンピューターが自らさまざまな情報を関連付けて分析・学習し、自ら導き出した予測結果をその評価や根拠などと共に提示することで意思決定の支援などを行うことができるシステムのこと。同システムは、ビジネスの分析を通じて、業績に関する洞察や将来の事業機会を探る企業にとって、思考や行動、経営の仕方を変えてしまう可能性のある技術として注目されている。


  [2015-02-20]
 第一生命と国立長寿医療研究センターが長寿医療情報普及で連携

 第一生命と独立行政法人国立長寿医療研究センターは2月17日、「認知症その他の長寿医療」に関する情報提供について包括連携協定を締結した。両者が認知症その他の長寿医療情報の普及啓発に関する包括連携を結ぶことにより、認知症その他の長寿医療に関する高度な研究・医療情報を全国でより広く、効果的に届けられるようになる。
 今後、両者は共同で、基礎知識や予防・治療に関する情報に加え、認知症患者の家族に対する病気との向き合い方や生活に役立つ情報の提供など、幅広く長寿医療情報の普及啓発活動を行っていく。
 現在予定されている活動としては、同センターが認知症予防運動として推進している「コグニサイズ」(cognition〈認知〉とexercise〈運動〉を合わせた造語)の紹介や、全国各地でのセミナーの開催などが計画されている。
 国立長寿医療研究センターは、国の医療政策と一体となって国民の健康を守ることを目的として2004年に設立された国立高度専門医療研究センター。
 14年11月には、厚生労働省などと共に、世界各国から認知症のケア・予防に関わる専門家や政府関係者を集めた「認知症サミット日本後継イベント」を主催・運営も行っており、日本における認知症その他の長寿医療の研究と治療機関の最高峰の一つとして知られている。


  [2015-02-19]
 損保協会がICS提案に意見書、「単体基準との整合性を」

 損保協会は2月16日、保険監督者国際機構(IAIS)が策定を進めている保険資本基準(ICS)の提案に対し意見書を提出した。今回の意見書提出は、国際的に活動する保険グループ(IAIGs)を監督するための共通枠組み(ComFrame)の一環として、グローバルなリスクベースのICSの策定を進めるIAISが、2014年12月17日から15年2月16日まで同ICS提案に関するパブリックコメントを実施したことを受けて行われたもの。同協会では、今後もIAISの国際資本基準策定の議論に積極的に関与していく考え。
 同パブリックコメントの募集に当たり、同協会がIAISに提出した意見書の主な内容は以下の通り。
 ICSの基本原則に関しては、@目的に照らし必要な場合を除き、IAIGs(G―SIIs〈システム上重要なグローバルな保険会社〉を含む)以外および単体ベースの基準と整合的なものであることA規制対応が単に規制要件充足にとどまるのでなく、適用される保険会社グループの財務内容の充実および健全なリスク管理を促進し、グループ経営の健全性向上をもたらすものであること―の2点を含めるべきであることを指摘。
 また、比較可能性については、保険グループ間にわたって資本の健全性を評価し、競争上の公平性を確保するための必要条件ではある。しかし、ICSへの追加的な制度として各国で計算・評価手法が異なる資本基準を設定することが許容されれば、将来的に各国基準間の比較可能性が達成されなくなる恐れが高いとして、反対意見を表明した。
 一方、異常危険準備金については、一定のトリガー事象により取り崩すことができ、また、一定のトリガー事象がない場合にも監督の承認により取り崩せるので、広範な損失吸収力があると考えられることから、ティア1資本に含めるべきと提案。
 さらに、地域や会社によってリスク特性が大きく異なることが想定されるリスク、特に自然災害リスクについては、より適切にリスクを評価するために、監督者による承認過程を通じて比較可能性が担保されることを前提に、部分内部モデルの使用を許容すべきだと指摘した。
 今回のパブリックコメントはICS策定の第一段階と位置付けられており、評価、適格資本リソース、ICS所要資本の決定のための標準手法例および可能性のあるその他の手法を含む広範な内容の提案について、IAISメンバーやステークホルダーの意見を募集したもの。
 ICSは今後、さらなるパブリックコメントやフィールドテストなどを通じた検討・調整を経た上で、16年末までに確定することが予定されている。
 ICSを含むComFrame全体は、19年からの実施が予定されている。


 [2015-02-18]
 金融庁が監督指針一部改正案を公表、情報・サイバーのセキュリティー強化

 金融庁は2月13日、情報セキュリティー管理やサイバーセキュリティー管理に係る監督上の着眼点の明確化を図る「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正案を公表した。情報セキュリティー管理では、外部委託先社員等による不正出金事案等の発生を踏まえ、顧客に関する情報の厳格な管理態勢や外部委託先に対する適切な管理態勢の整備状況について、監督上の着眼点とする。サイバーセキュリティー管理では、サイバーセキュリティー基本法の全面施行(平成27年1月9日)、世界的規模で生じているサイバーセキュリティーに対する脅威の深刻化等を踏まえ、金融機関に求めるサイバーセキュリティー管理態勢の整備状況について、監督上の着眼点として明確化する等、所要の改正を行う。
 今回の改正案は、U―3―14―2システムリスク管理態勢の主な着眼点として情報セキュリティー管理については、▽情報資産を適切に管理するために方針の策定、組織体制の整備、社内規程の策定、内部管理態勢の整備を図っているか。また、他社の不正・不祥事件も参考に、情報セキュリティー管理態勢のPDCAサイクルによる継続的改善を図っているか▽情報の機密性、完全性、可用性維持のために、情報セキュリティーに係る管理者を定め、その役割・責任を明確にした上で、管理しているか。また、管理者は、システム、データ、ネットワーク管理上のセキュリティーについて統括しているか▽コンピュータシステムの不正使用防止対策、不正アクセス防止対策、コンピュータウィルス等の不正プログラムの侵入防止対策等を実施しているか―を挙げている。
 また、保険会社が責任を負うべき顧客の重要情報を網羅的に洗い出し、把握、管理しているかとの着眼点を新設。顧客の重要情報の洗い出しに当たっては、業務、システム、外部委託先を対象範囲とし、例えば、▽通常の業務では使用しないシステム領域に格納されたデータ▽障害解析のためにシステムから出力された障害解析用データ▽ATM(店舗外含む)等に保存されている取引ログ等のデータを洗い出しの対象範囲とすることを留意点としている。
 さらに、洗い出した顧客の重要情報について、重要度判定やリスク評価の実施を着眼点として、それぞれの重要度やリスクに応じ、情報の暗号化・マスキングのルール、情報を利用する際の利用ルール、記録媒体等の取扱いルールといった情報管理ルールの策定の重要性を強調している。
 サイバーセキュリティー管理の主な着眼点としては、取締役会等がサイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえ、セキュリティーの重要性を認識し必要な態勢を整備していることを示している。
 また、組織体制の整備、社内規程の策定の他、▽サイバー攻撃に対する監視体制▽サイバー攻撃を受けた際の報告および広報体制▽組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)等の緊急時対応および早期警戒のための体制▽情報共有機関等を通じた情報収集・共有体制等のサイバーセキュリティー管理態勢の整備を図ることを新たに設けた。
 加えて、サイバー攻撃に備え、入口対策、内部対策、出口対策といった多段階のサイバーセキュリティー対策を組み合わせた多層防御を講じることを留意点とした上で、例として、入口対策はファイアウォールの設置、抗ウイルスソフトの導入、不正侵入検知システム・不正侵入防止システムの導入等、内部対策は特権ID・パスワードの適切な管理、不要なIDの削除、特定コマンドの実行監視等、出口対策は通信ログ・イベントログ等の取得と分析、不適切な通信の検知・遮断等を挙げている。
 外部委託管理については、従来の着眼点である「外部委託契約において、外部委託先との役割分担・責任、監査権限、再委託手続き、提供されるサービス水準等を定めているか」に「外部委託先の役職員が遵守すべきルールやセキュリティー要件を外部委託先へ提示し、契約書等に明記しているか」を加えた。
 保険検査マニュアルについてもシステムリスク管理態勢に関する着眼点・検証項目の拡充を図るため所要の改正を行う。
 金融庁では、同案に対する意見を3月16日17時まで受け付けている。


 [2015-02-17]
 RMSが世界の津波リスクでカタログ提供へ、最も広範囲な情報を提供

 リスク・マネージメント・ソリューションズ社(RMS、本社=米国カリフォルニア州ニューアーク)は2月3日、「RMS(R)グローバル津波シナリオ・カタログ」を新たにリリースしたと発表した。業界初の同カタログは、世界の主要な沈み込み帯における津波の発生可能性について最も広範囲な情報を提供する。リス
クが予想される沿岸部の保険引き受けを行う保険会社や再保険会社は、同カタログを利用することで、エクスポージャーが集中する地域に発生し得る損害を評価し、プライシングやアンダーライティング、キャピタル・アロケーションの参考資料とすることができる。
 津波リスクのエキスパートでRMSのシニア・プロダクト・マネジャーであるレネー・リー博士は「津波イベントは壊滅的な被害を発生させる可能性があり、保険業界ではこの複雑なリスクの適正な評価が課題だった。同カタログは、甚大な被害をもたらす可能性のある津波がどこで発生し、どの海岸線が影響を受けるかをハイライトすることで、保険会社が津波による浸水リスクをグローバルに把握できるようにする」と述べる。
 同カタログは、世界中のプレート境界の沈み込み帯で発生するマグニチュード8.9から9.6の巨大地震によって生じる約30の津波に関する高精度のフットプリントを搭載している。また、同カタログには、歴史上重要な津波イベントに基づくシナリオに加えて、過去の記録にはない潜在的な津波シナリオも含まれている。
 それぞれのフットプリントは、複数の国に及ぶ海岸線に対する最大浸水深度と浸水範囲の情報を提供するため、ユーザーは、各地域の既存の建物群に対する物理的な損害を予測することができる。
 海底での津波の発生から海洋中の伝播を経て沿岸域を浸水させるというライフサイクルの全体を考慮に入れてモデル化されており、津波モデリングのアプローチは、2011年の東日本大震災による津波に加え1964年のアラスカ、1960年のチリ(バルディビア)、2010年のチリ(マウル)および2004年のインド洋でのイベントといった1900年以降の六つの巨大津波のうちの五つにおける津波の高さのデータを使用して多角的に検証されている。
 沿岸部の浸水については、地表面での浸水域の広がりと最大浸水深度を正確に把握するためにさまざまな地形の影響を考慮に入れ、高解像度の地形学的デジタル立体グリッドとしてモデル化された。
 リー氏は「大規模な津波に起因する損失や営業への影響を最小にするため、アンダーライターやリスク・マネジャーはリスクを充分に理解し、各地域に発生し得る損害を定量化できるようにする必要がある。RMSが提供するフットプリントは、津波の規模や推進力、エネルギーを正確に変換して津波が影響を及ぼす範囲をより精緻に予測する数学的に堅牢な方法論によって、津波のリスクを評価することから、現在可能な最高精度の解析結果を提供する」と話す。
 また、「沿岸部がどのように浸水被害を受けるかは、津波を引き起こしたイベントによる地形の変形に大きく影響される可能性があり、こうした沿岸部の歪みはイベント発生後の地盤の沈下や隆起を考慮する中でモデルに取り入れられた」と説明している。


 [2015-02-16]
 保険医学総合研究所が「がん保険給付目安」アプリ発売、支払可否の参考情報提供

 保険医学総合研究所は1月から、がん保険支払い(業界標準の三大疾病保障保険含む)の可否判断について参考情報を提供するアプリ「がん保険給付目安」を発売した。診断書に記された病名を入力すると、悪性新生物(がん)や上皮内新生物といったがん保険の給付対象に該当するかどうかの目安を表示する。サービス内容について厚生労働省と協議した上で開発した。顧客から問い合わせを受ける機会の多い保険代理店や生保営業職員などで重宝されそうだ。
 同アプリは、国内生保が販売するがん保険の保険金・給付金支払いの可否照会に対応するもので、調べたい病名を漢字・かな・英語のいずれかで入力すると、がんや上皮内新生物の分類基準とされる国際保健機関(WHO)「国際疾病分類 腫瘍学3版改正版」を中心に約4000〜5000の関連病名の中から該当するものを検索。生保各社の約款データを基に「給付対象」や「給付対象外」といった目安を表示する。料金は税込み3000円で、グーグルストアかiTuneストアでダウンロードして入手する。登録病名の増加や、その他データの更新などに応じて、新バージョンを公開していく予定だ。
 腫瘍関連の病名数は非常に多く、保険金・給付金の支払い対象に該当するかどうかの判断は保険会社社員でも難しい場合がある。同アプリを使えば、保険会社に問い合わせしなくても多くの病名について給付の目安が分かることから、患者やその家族は、高額治療の選択について迅速に判断できる他、通常、5000円〜1万円程度掛かる保険金・給付金請求に必要な証明書の取得が無駄にならずに済む。また、患者や保険募集人だけでなく、病名の問い合わせを受けることが多い厚生労働省からも期待する声が寄せられており、サービス内容について同省とも協議し、WHOの見解をも確認した上で開発した。
 同研究所の佐々木光信社長は「毎日使用するアプリではないが、代理店やがん保険を販売する募集人にとって必須のアプリだと自負している。ぜひ、広く利用されて、がん保険契約者の経済的・精神的負担の軽減につながればと思う」と活用に期待を示す。


 [2015-02-13]
 東京海上日動がサイバーリスク保険を発売、1契約で包括補償

 東京海上日動は2月9日、企業向け新商品「サイバーリスク保険」を発売した。同商品は、事業活動を取り巻くサイバーリスクを1契約で包括的に補償する総合保険。企業が不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合に、その対応のためのフォレンジック調査などに関する危機管理対応費用や、実際に発生した情報漏えいなどに起因して提起された損害賠償請求訴訟に関する賠償金・争訟費用などを補償する。海外での訴訟などにも対応する。
 東京海上グループでは、すでに、海外市場で欧米企業向けに、フィラデルフィア社(米国)とキルン社(英国・ロイズ)がサイバーリスク保険(英文約款)を先行販売している。今回、同社が発売した新商品は、これらのグループ会社による販売実績を参考にしながら、日本企業が加入しやすく、より広い補償内容を実現した。
 同商品は、不正アクセスやサイバー攻撃で想定される@情報漏えい等に関する賠償リスクAシステムへの侵入経路を調査するフォレンジックなどの費用リスクBデータ損壊で発生する修復リスクCネットワーク停止・中断による休業リスク―を1契約で包括的に補償することができる。
 また、実際に情報漏えい等が発生していなくても、危機管理対応に必要な費用を補償。企業が不正アクセスやサイバー攻撃を受けたことで支出した、原因・被害状況の調査、証拠保全などの危機管理対応費用も、支払限度額や補償割合など、一定条件の下でカバーする。さらに、個人情報漏えい保険などの従来の商品では補償対象外だった海外での損害賠償請求訴訟に関する賠償金・争訟費用もカバーする。
 総務省の「平成24年度通信利用動向調査」によると、日本企業の約4割が何らかの形でサイバー攻撃を経験するなど、サイバーリスクは、企業の経営リスクの一つとして存在が大きくなっている。不正アクセスやサイバー攻撃の手口は、多様化・巧妙化が進み、セキュリティー対策のためのIT投資を行ってもサイバーリスクを完全に排除することは困難な上、自社システムだけでなく、関係先を含めた総合的なセキュリティー対策を講じないと事故を防ぎきれない。
 こうした状況は諸外国でも同様で、米国ではすでにサイバーセキュリティー対策の一環として保険を利用する動きが広がっている。日本でも、個人情報漏えいのリスクを補償する保険が以前から販売されてきたが、保険金が支払われるのは、実際に情報漏えいが発生するか、またはその恐れが対外的に公表された場合に限定されているなど、制限的な補償にとどまっていた。


 [2015-02-12]
 あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス用いた新自動車保険を発売

 あいおいニッセイ同和損保は、4月から最先端のテレマティクス技術と融合した先進的・合理的な自動車保険「つながる自動車保険」を発売、2月18日から募集を開始する。トヨタ自動車との連携で開発された商品で、あいおいニッセイ同和損保は、車に搭載されたT―ConnectナビからスマートフォンやDCM(Data Communication Module:音声通話や高速データ通信などを可能にする通信モジュール)を通じて車両運行情報を取得し、保険料算出や安全運転アドバイスなどを提供する。一方、契約者はスマートフォンなどから365日24時間同社への連絡が可能となる。
 トヨタ自動車のテレマティクスサービス「T―Connect」は、T―Connectナビが通信でつながり、運転に関するサービスを提供するというもの。あいおいニッセイ同和損保は、このサービスを活用し、トヨタスマートセンターから契約車両の運転時間帯やエンジン始動から停止までの走行距離・時間、燃費、走行距離情報などを取得。取得した情報から前月分の車両運行情報を分析し、安全運転に関するワンポイント情報や、過去成績との比較に基づき「安全運転アドバイス」を毎月、専用ナビアプリや専用スマホアプリを通じて提供する。その他、実際の走行距離を1キロメートル位で保険料に反映し、走行距離に基づいた保険料の算出などに活用する。
 また、契約者はT―Connectナビやスマホからワンタッチで365日24時間、つながる自動車保険専用事故受付デスクに接続可能。事故・故障・トラブルなどで車が自力走行不能となった場合に、専任のオペレーターがレッカー・修理業者の手配や移動手段・宿泊施設を案内するなどのサポートをする。
 テレマティクス技術の進展で、自動車の走行データを活用したさまざまな商品やサービスの提供が可能となり、自動車を取り巻く環境が大きく変化しようとしている。政府も自動車のテレマティクス技術を活用した自動車保険を通じて、事故の削減を掲げており、国内外の自動車メーカーやIT企業による技術開発競争が活発化。テレマティクス技術を活用した商品・サービスに関するマーケットが加速度的に大きくなることが想定される中、同社は、トヨタ自動車の最先端のテレマティクス技術「T―Connect」に対応した新商品として同商品を発売。いつでもどこでも「つながる」ことで、「安心」「安全」「お得」な自動車保険の提供を実現した。


 [2015-02-10]
 ソニー生命が健康不安のシニアに一時払終身保険、資産承継対策に有効

 ソニー生命は、5月2日から「一時払終身保険(無告知型)」を発売する。健康状態などの告知や医師の診査が不要なため、健康状態に不安があっても申し込むことができる。男性は50歳から80歳、女性は50歳から85歳とシニア世代も幅広く契約でき、生涯にわたって死亡保障を確保できる。
 今年1月の相続税法改正により、相続時の円滑な資産承継を目的とした生命保険の活用に関心が高まっている。一方、比較的多くの資産を保有するシニア層では、健康状態に不安を抱える人の割合が多く、生命保険を活用した資産承継対策へのニードがあるにもかかわらず、健康上の理由で生命保険に加入できないケースがある。健康状態に不安があっても、生命保険を活用した資産承継を可能とするため、同社では、健康状態に関する告知や診査が不要の一時払終身保険を開発した。
 同商品は一時払いのため、支払った保険料の金額が基本保険金額となる。死亡保険金額は、契約後の15年間は契約時に定めた逓増率で1年ごとに増加。16年目以降は、終身にわたって定額のまま推移する。
 急な資金が必要となった場合は、解約返戻金の一定範囲内で貸付を受けられる契約者貸付制度の利用が可能だ。また、複数の死亡保険金受取人を指定している場合は、代表者への支払いの他、死亡保険金受取人ごとへの個別払いにも対応する。


 [2015-02-09]
 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が共同開発、職場復帰に係る費用を補償

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、中堅・中小企業向けに「業務災害補償保険」を共同開発し、販売を開始する。保険始期は4月1日から。従業員らに業務災害が生じた場合に、事業者が支出する各種費用を補償するもの。けがだけでなく、パワーハラスメントによる賠償リスクや精神疾患で休職した従業員を職場復帰させるために事業者が支出する費用なども補償対象となる。同社によると職場復帰に関する費用補償は業界で初めてだという。また、メンタルヘルスなどに関する相談サービスも付帯している。2015年度は10万社の加入を見込む。
 共同開発した商品は、三井住友海上では「ビジネスJネクスト」、あいおいニッセイ同和損保では「タフビズ業務災害補償保険」の名称で取り扱う。同商品は、補償内容が異なる「エコノミー」「ベーシック」「ワイド」の3プランと六つのオプションを用意。従業員らが業務災害に遭った際の事業者が支出する補償金や賠償金などの費用補償から、ハラスメントなどの不当な行為で従業員から事業者が賠償請求された場合の費用などもカバーする。政府労災保険で認定された精神障害で休職した従業員の職場復帰に関する費用を事業者が支出した場合も補償対象としており、職場復帰に関する費用を補償する保険は業界で初めて。
 また、医師や保健師らによる従業員ストレスチェックの導入方法のアドバイスなど、メンタルヘルスに関する相談サービスを付帯。今年12月に施行される改正労働安全衛生法にも対応している。
 費用は、所定の質問項目に回答してもらい、その結果に応じて保険料を割り引く仕組みで、リスク実態に見合った保険料水準となっている。標準的な年間保険料は約50万円。売り上げ高1億円の製造業者を例に見ると、支払限度額は死亡・後遺障害1000万円、使用者賠償3000万円、事業者費用1000万円、メンタルヘルス対策費用100万円、雇用慣行賠償1000万円などとなる。
 多様な働き方の推進を掲げる政府の「日本再興戦略」をはじめ、50人以上の従業員を雇用する事業者の従業員のストレスチェック実施義務を明記する改正労働安全衛生法によって、企業の従業員に対する労働環境の整備が課題となっている。こうした変化に対応するため、両社は同商品を開発。商品の提供を通じて雇用に関わる問題解決をサポートしていく。


 [2015-02-06]
 AIUがS&Pと提携し中小企業格付けを仲介

 AIUはスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン(S&P)と提携し、2月から(公財)全国法人会総連合(全法連)の制度商品として採用された「日本SME格付け」の取り次ぎ業務を開始した。全法連の損保受託会社であるAIUが法人会会員企業の申し込みを仲介する。1月30日にAIU本社で行われた新制度発表会には、同社の小関誠社長やS&Pの三宅伊智朗社長、全法連の横山恒美専務理事らが出席し、今後の普及への意欲を示した。
 「日本SME格付け」は、S&Pと日本リスク・データ・バンクが共同開発した日本の中堅・中小企業を対象とする信用格付け。独自の格付けモデルを使って債務を期日通りに履行する総合的な能力を評価するもので、S&Pは2005年の提供開始以来、銀行などの金融機関を通じて延べ550社以上に格付けを付与している。
 今回の新制度では、法人会の会員で直近期の売上高5〜100億円の未上場企業を対象としており、12〜13万社が該当するとみられる。過去5年の財務諸表、業績分類、実在確認などを示す書類を提出すると、2週間程度でアルファベットの小文字aaaからcccまでの7段階で信用格付けを付与する。格付けの証明書を発行する他、財務分析リポートを提供する。
 格付けを取得した会員企業は、自社の財務状況などの信用力を対外的にアピールできることから、新規営業や人材採用、海外事業、金融機関からの融資などでの効果が期待できる。
 全法連では費用補助金制度を設け、会員企業が通常料金(初回50万円)よりも割安で利用できるようにした。また、AIUは取り次ぎ業務の他、会員企業が希望すれば、リスク診断プログラムを無償で提供し、BCP(事業継続計画)構築を支援する。
 新制度発表会ではまず、小関社長があいさつし、「当社はこれまで、唯一の受託損害保険会社として法人会と長くお付き合いさせていただいてきたが、保険サービス以外でも会員企業を支援することはできないかと社内で議論した結果、今回の格付けサービスを発案した」と今回の提携に至る経緯を説明。その上で「今後は取り次ぎ業務をしっかり行い、会員企業のお役に立つ制度にしていきたいと思う」と述べた。また、三宅社長は「当社の日本SME格付けでAIUと全法連・法人会と提携させていただくことができて本当にうれしく思っている。当社は今年で30周年を迎えるが、AIUと全法連のリレーションシップも30年と聞いており、今回の提携がAIUと全法連の歴史に名を刻むことになればと考えている」とした。横山専務理事は「S&PとAIUから格付けサービス提供の申し出をいただき、検討したところ、中小企業にとって非常に有効であり、ぜひ導入したいと考えた。3者がうまく連携しながら制度を進めていき、会員企業に利用してもらえばと思う」と述べた。
 法人会は、戦後導入された申告納税制度の知識普及を図るために1947年に企業間で自主的に設立した団体。54年に発足した全法連の他、県法人会連合会や、単位法人会など重層的な組織となっており、2014年に全ての団体が公益法人などに移行した。現在は「よき経営者を目指す団体」として、税に限らず経営向上に必要な知識を提供しており、中小企業を中心に約85万社の会員が所属している。


 [2015-02-05]
 全労済が火災・自然災害共済を大幅改訂

 全国労働者共済協同組合連合会(全労済)は、2月1日から自然災害保障付火災共済を大幅にリニューアルした「全労済の住まいる共済」を提供している。同商品は、組合員の要望やニーズの多様化に対応するために内容を充実させたもので、建物の構造区分の見直しや新たな特約・タイプを新設。これまで以上に高い安心感を提供する。ペットネームは「住まい」と「スマイル」を合わせて命名した。
 今回のリニューアルでは、火災を保障する「新火災共済」に、風水害や地震などに対応する「新自然災害共済」を組み合わせることで、保障の一層の充実を実現する。
 新火災共済では、耐火性能や建築方法の進歩に合わせて建物構造区分を変更し、これまでの「木造・モルタル等」「鉄筋コンクリート」の2区分から、「木造」「鉄骨・耐火」「マンション」の3区分に分類した。また特約として、「個人賠償責任共済」「類焼損害保障特約」「盗難保障特約」の三つを新設した。日常生活や住宅の所有・使用・管理に起因する偶然の事故で法律上の賠償責任を負った場合に最高1億円を保障し、火災によって近隣住宅に被害を与えた場合には、法律上の賠償責任の有無にかかわらず最高1億円まで保障する。さらに、エコ住宅専用の保障では、エネファーム(家庭用燃料電池)、エコフィール(高効率石油給湯器)を新たにエコ設備の対象に加えた。
 新自然災害共済では、総支払限度額を従来の最高2000億円から2700億円に引き上げ、さらに2016年4月には3500億円にする予定だ。地震の保障については、生活再建に向けてよりきめ細かい支払いができるよう「全壊・全焼」「半壊・半焼」「一部壊・一部焼」の3区分を見直した。これまでの半壊・半焼を「大規模半壊・半焼」「半壊・半焼」に細分化して計4区分とした。その他にも、住まいによって異なるさまざまなリスクに合わせる細かな改定を行っている。
 商品提供の方法については、過去の調査結果などを参考に取り組んでいく方針を打ち出した。13年1月のウェブ調査の結果からは、約9割が住宅購入時に火災保険・共済を契約しており、約8割は比較検討せずに加入していることが判明した。一方、14年に実施した火災共済契約者への調査では、半数以上が「見直し」で加入していることが分かった。こうした実態を考慮し、組合員が生活設計に関する知識を高めるための生活保障設計運動を中心に、住宅ローン支払い中、ローンの完済時、売却・引越・退職といったタイミングなども意識してニーズ喚起を図っていく。見積もりには、インターネット、電話、窓口、郵送で対応し、全国に約200カ所ある窓口での説明にも力を入れていく計画だ。
 今回の提供開始に先立ち全労済では1月29日に「全労済の住まいる共済」制度説明会を開催。会場にはファイナンシャルプランナーや社会保険労務士などの専門家を中心に約30人が集まった。
 説明会では中世古廣司理事長が「最近では自然災害が多発しており、これまで以上に災害に対する危機感を持ち防災・減災への意識を高めなければならない」と述べ、1954年に大阪で火災共済が誕生して全労済の活動が始まったこと、「被災者生活再建支援法」制定への取り組みや自然災害共済開発などで保障を充実させてきたことを振り返った。さらに、「全労済の住まいる共済」が、2017年度までの期間で取り組んでいく中期経営政策「Zetwork―60」の成否のかぎの一つと言えると、同商品への期待を語った。


 [2015-02-04]
 損保ジャパン日本興亜が介護事業者対象に休業補償保険を販売へ

 損保ジャパン日本興亜は、介護事業者を対象とした集団感染発生時の休業補償保険を2月上旬から販売する。店舗休業保険に、新たに開発した「食中毒・感染症による休業損失補償追加特約」を付帯したもの。施設利用者がインフルエンザやノロウイルスなどの感染症を発症した場合の施設の一時閉鎖といった事態は、介護事業者の収益喪失に直結し、経営を圧迫する可能性がある。こうした介護事業の経営課題に対する保険ニーズの高まりを受けて、同社では商品を開発。事業休止中の収益を補償することで、介護事業者が感染拡大防止に向けた対策を着実に実行できるようサポートする。
 今回販売を開始するのは、火災や落雷、風災などによる収益減少を補償する通常の店舗休業保険に、新型インフルエンザを除くインフルエンザやノロウイルスなどの食中毒・感染症による休業損失補償追加特約を新設したもの。これまでも結核などの感染症法上の1類〜3類感染症や食中毒による休業損失補償特約は付帯されていたが、対象外だった感染性胃腸炎の集団感染発生に伴う収益減少リスクを補償する。
 集団感染が発生した場合、保健所への報告後に施設閉鎖や利用者受け入れ停止となった際に最長15日間の収益を補償。介護事業者は感染拡大防止に向けた対策を講じることができる。
 同社が新たな特約を販売する背景には、感染症への抵抗力が弱いとされる高齢者が利用する介護施設での集団感染リスクがある。施設利用者にインフルエンザ、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が発症した際、症状が重篤化するリスクが高く、感染症発生時の対策は大きな経営課題だ。また、通所介護事業、短期入所生活介護事業などでは、感染拡大防止のため、施設の一時閉鎖、利用者受入の一時停止を行うケースも多く、集団感染の発生は収益喪失に直結し、経営を圧迫する可能性が高くなる。こうした経営課題に対応する保険ニーズが高まる中、同商品で介護事業者専用の感染症による休業リスクを補償する。
 また、商品の販売開始に併せ、損保ジャパン日本興亜リスクマネジメントが作成した、介護事業者向けのノロウイルス感染拡大防止マニュアルを無償配布し、事故発生の抑制に寄与する。
 同社では、商品を通じて、安心・安全・健康に資するサービスを提供することで、介護事業の安定経営を支援し、地域包括ケアシステム(注)の構築に貢献していく。
 (注)厚生労働省が構築を推進する高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的の下、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービスを提供する体制。


 [2015-02-03]
 第一生命が神奈川県と9分野で包括協定、協働事業進展に意欲

 第一生命は1月28日、神奈川県と「連携と協力に関する包括協定」を締結した。国の政策である「国家戦略特区」(注)を通じて神奈川県が目指す「ヘルスケア・ニューフロンティア」(健康・未病産業、最先端医療関連産業の創出や、県民の健康寿命日本一)を両者で協働して進めていくもので、県民の健康増進やスポーツ振興など9分野にわたる。同県が生保会社と包括提携を結んだのは初めて。同日、県庁本庁舎で行われた締結式では、黒岩祐治県知事と第一生命の渡邉光一郎社長が出席し、協定書に署名した。
 今回の協定では、両者が緊密な相互連携と協働によって活動を推進し、地域のニーズに迅速かつ適切に対応するとしている。連携するのは@健康増進A「未病を治す」取り組みの普及啓発Bスポーツ振興Cセカンドライフにおける課題の啓発Dライフエンディング・ステージにおける支援Eワーク・ライフ・バランス、男女共同参画の推進F中小企業支援G災害対策Hその他、県民サービスの向上・地域社会の活性化に関すること―の9分野と多岐にわたり、今後、両者で具体化に向けた検討を進めていく事項も含まれる。
 当日の締結式では、まず、黒岩知事があいさつし、「神奈川県は現在、圧倒的な勢いで進んでいる超高齢社会に対してどう備えるべきかについて、国から国家戦略特区と認められるかたちで健康・医療分野での取り組みを進めているが、今回の協定で第一生命が同じ思いを持っていただいていることをあらためて感じた。今後、どのように具体的な話が進んでいくのか本当に楽しみだ」と述べた。
 また、渡邉社長は「神奈川県の健康増進をはじめとする取り組みは、当社が従来行っている社会貢献の理念と驚くほど重なるものがあり、これから県民のために、また、国の成長戦略に向かって協働していけることを大変光栄に思う」として、今後の進展に意欲を示した。
 両者が協定書に署名した後、第一生命の担当者から、実施予定の連携事業としてシニア向け情報発信イベントとファミリー向け運動普及啓発イベントが紹介された。その後の記者との質疑応答で、自社にとっての意義やプラス効果について問われた渡邉社長は「健康増進によって平均寿命と健康寿命を近づけていくという方向性は、国の社会保障制度の健全化に向かうとともに、社会保障制度の補完という位置付けにある当社や生保産業全体の健全化にもなる。また、県民の皆さんの健康を支援し、国の成長戦略を担うという使命は、当社職員の使命感ややりがいにもつながる。そうした使命感が最も大きな効果だと考えている」と述べた。
 (注)国家戦略特区:経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた特別区域において、規制改革などの施策を総合的かつ集中的に推進する政策。


 [2015-02-02]
 東京海上日動、超ビジネス保険の販売が快調

 東京海上日動が販売する中堅・中小企業向けパッケージ商品「超ビジネス保険」の好調が持続している。2013年1月の全面刷新後、1年間の契約件数が約12万件と前年の2倍以上伸ばし、14年12月末でも対前年比20%増の約14万件。2年間の累計で約2.4倍に伸長した。収入保険料ベースでも1年目が前年対比177%の約240億円、2年目が同121%の293億円と300億円が目前に迫っている。商品内容の拡充や、事務・システム面での利便性向上によって、取り扱い代理店数が急増したことが原動力となっている。
 超ビジネス保険は、企業向け火災保険や賠償責任保険、休業費用保険など複数の補償を一つにまとめたパッケージ商品。全面刷新により、原則全ての業種を対象とし、それぞれの補償を着脱可能にするなど自在性を高めたことで、代理店は顧客の事業活動を取り巻くリスクをまとめて説明してニーズを顕在化し、必要な補償を漏れなく提案できる。あらゆる業種で複数補償を組み合わせての追加販売が従来以上に伸長しており、一般の工事保険に当たる工事特約の件数は刷新後の2年間で約4.2倍に増えた。
 社会情勢とマッチした新補償・新特約も好評で、例えば、リース・レンタル財物の損壊などに対する賠償責任の範囲を広げた「盗取・詐取事故を補償する特約」は新設後、建設業での付帯率が約40%に上る。震災復興などで工事用建機類のリース・レンタル利用が増加したことに対応している。この他、東日本大震災で顕在化した中小企業における休業リスクや事業継続に備える地震休業補償特約も評価が高い。
 商品面ばかりでなく、代理店がきめ細かな提案を行えるようシステム・事務面も簡素化。保険料試算や見積書・申込書の作成、計上事務のオンライン化とともに、タブレット端末での試算機能も導入した。従来の自動車保険、火災保険と同一のインターフェースにリニューアルしたことで代理店の取り扱いが容易になった他、顧客の付保内容を保険種目ごとに○×で一覧表示する「ご加入一覧」「セット提案書」といったツールを加えたことで、コンサルティング営業に最適な同商品の長所が存分に生かせるようになった。
 刷新後に同商品を取り扱う代理店の裾野も広がっており、12年12月末に5149店だったのが、1年後に8029店(対前年比56%増)、2年後の14年12月末には9163店(同14%増)と約1.8倍に増加。個人分野は超保険、企業向けには超ビジネス保険から提案するスタイルが定着しており、顧客からも「リスクの種類の把握と、必要な補償の選択が容易に行える」といった声が多く寄せられている。併せて、優良割引・セット割引があってリーズナブルに加入できる自動車保険や傷害保険、さらに生命保険といった他種目を同時に勧める総合提案がプロ代理店を中心に確立されつつある。
 今後は、付帯件数が伸びているものの、いまだ半数以上の契約者が未付帯の工事財物や休業に関する補償の推進、また、情報漏えい事故やネットワーク事故に対する補償の手配が遅れている中小企業に向けて、ニーズの顕在化を踏まえた提案を進めていく考えだ。企業商品業務部超ビジネス保険チームの森高陽子副主事は「超ビジネス保険の取り組みでは、新規のお客さまを増やすとともに、既存のお客さまに対する未加入補償の追加販売も重要。両面で推進していきながら、現在の勢いを落とすことなく契約規模を拡大していきたい」としている。



 (保険毎日新聞から抜粋)