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どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
                                                  
[2016-10-31]
 伊予銀行がペーパーレス申込みを全店導入へ、事前同意から契約まで完結

 伊予銀行(愛媛県松山市)は来年4月に、「事前同意」から「意向把握確認」を経て「契約」までの保険申し込みの一連の手続きを、電子サインを用いてタブレット端末上で行うペーパーレスの申し込み(注1)を全店でスタートさせる。保険業法に対応しつつ、保険会社や保険商品ごとに異なる保険申し込み手続きの画面を共通化する。同行によると、申込書類の電子化手法を取り入れる金融機関が出てきている中で、保険申し込みの手続き全てをタブレット端末で行うことができる仕組みの採用は地方銀行で初めてだ。
 保険募集人(銀行員)による保険取り扱い業務は、「保険の提案をする前に顧客が同意書面、意向把握書面および募集制限先確認書面に署名」「顧客の意向に沿ったコンサルティングにより保険商品を選定」「顧客が保険会社ごとの申込書・告知書などに記入」「銀行の管理者が取引の適切性を検証」「銀行の担当者が保険会社に書類を送付」「保険会社が申し込みを精査し契約が成立」といった流れだが、今回の仕組みでは、顧客署名までをタブレット端末を用いてペーパーレスで対応するだけでなく、その後の銀行の取引検証などもパソコン端末を用いてペーパーレスで行える。契約後のアフターフォローの活動管理や高齢者などに配慮し、紙で募集した場合の申込書類のイメージ保管もシステム上で行う。
 同行が10月1日時点で取り扱う保険商品は、医療・がん保険、学資保険、個人年金保険、定期保険・収入保障保険、終身保険などと幅広く、合計すると17保険会社の87商品。来年4月に電子化を予定しているのは15社49商品に上る(注2)。
 事務統括部の鴨川哲司課長代理は「当行では法人向けに押印が必須の商品があり、それらの商品を除いて、ほとんどの商品を今回の仕組みで取り扱うことができる。お客さまの申込書などへの記入の負担が半減するとともに、記入ミスなどの不備が大幅に減少することで、契約成立までの期間も短縮する。また、改正保険業法が求める帳簿備付や事業報告にも対応しており、管理機能も万全だ」と話す。
 同行では、保険の取り扱いをいち早く開始しているが、2010年には平準払い商品の販売をメーンとする来店型の保険専用ショップ「いよぎん保険プラザ」を設置。現在6カ所にあるいよぎん保険プラザを今後も増やしていく計画で、鴨川氏は「商品の電子化率が9割を超える営業店だけでなく、いよぎん保険プラザでもこの仕組みを活用する。今後も先進的な取り組みでお客さまのニーズに応えていくため、保険会社には参画と対応商品の拡大をお願いしていきたい」と意欲を見せている。
 (注1)同申し込みは、ニッセイ情報テクノロジーの保険販売支援パッケージ「INPLUS(インプラス)」の導入で実現。インプラスは、金融機関の事務と保険会社の申し込み事務の両方をシームレスにシステム化する。金融機関ごとに異なる法令順守のための検証もシステム化する。
 (注2)参画しない2保険会社の商品の他、販売休止商品や本部渉外専用である事業用保険(法人向け商品)などが対象外。

 
[2016-10-28]
 東京海上日動あんしん生命が就業不能保障保険に新商品

 東京海上日動あんしん生命は11月2日から、就業不能に関する保障を刷新した新商品「家計保障定期保険NEO 就業不能保障プラン」(正式名称:家計保障定期保険〈無解約返戻金型〉特定疾病・重度介護保険料払込免除特則、5疾病・重度介護家計保障特約付加)を発売する。併せて、「家計保障定期保険」についても保障の充実を図り、「家計保障定期保険NEO」(正式名称:家計保障定期保険〈無解約返戻金型〉)として発売する。
 今回刷新した就業不能保障プランでは、従来の月払給付に加え、5疾病(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全)で入院した際に一時金(特約給付金月額×2)を支払う。従来の就業不能保障プランでは、所定の就業不能状態が60日を超えて継続した場合などに給付金を支払っていた。また、より手厚く就業不能に備えたいというニーズに応えるために、5疾病で所定の就業不能状態となった場合か、病気やけがで所定の要介護状態になった場合に一時金(100万円〜300万円)を支払う特約を新設する。
 さらに、最新の医療実態を踏まえ、重度5疾病・重度介護保険料払込免除特則における対象疾患を従来の「急性心筋梗塞」「脳卒中」から、それぞれ「心疾患」「脳血管疾患」に拡大。保険料免除事由についても、従来は、重度5疾病・重度介護給付金の支払い事由に該当した場合に限って将来の保険料払い込みを不要としていたが、これに@悪性新生物:初めて診断確定した場合A心疾患、脳血管疾患:手術または継続20日以上の入院治療を受けた場合―の2条件を追加する。
 保険期間満了時年齢の上限は、従来の65歳から75歳に引き上げ、顧客のニーズに合わせて、より柔軟な設計を可能とする。これに伴い、契約年齢の上限も55歳から65歳に引き上げる。
 「家計保障定期保険NEO」「就業不能保障プラン」共通の特長としては、新たに非喫煙者保険料率を導入し、非喫煙者に対して割安な保険料を実現する。
 昨今、従来の医療保険や死亡保険ではカバーしきれなかった就業不能リスクへの社会的な関心が高まっている。同社は2012年10月から、このリスクを保障する「家計保障定期保険就業不能保障プラン」(正式名称:家計保障定期保険重度5疾病・重度介護保険料払込免除特則、重度5疾病・重度介護家計保障特約付加)を発売し、販売件数は11万件を突破した。一方で、同社アンケートによると、就業不能保障保険を知っている人の割合は約29%と低く、同社は「働けない日々」のリスクについて周知するとともに、これらニーズに応えるため、新商品発売を決めたとしている。


[2016-10-27]
 第一生命とキヤノンMJがチャット相談サービス導入、大手生保で初めて

 第一生命とキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)はこのほど、ウェブサイト上でチャット形式により顧客とコミュニケーションを取れる「リアルタイムチャットサービス」を構築した。同サービスは、第一生命ホームページに導入し、11月1日からコンタクトセンターで本格的に受け付けを開始する。両社によれば、同サービスの導入は大手生保会社で初めてとなる。
 第一生命コンタクトセンターでは、多岐にわたる商品や加入手続きに関する問い合わせを受けるため、一般的な問い合わせには平均9分程度の時間を要している。同サービスでは、「チャットで相談する」ボタンをクリックすると、即時にオペレーターとの会話がスタートするため、顧客は電話をかける手間がなくスムーズに問い合わせが可能になり、問い合わせ中に他の作業もできるようになる。今後、同サービスは、加入商品に関する手続きページなどにも展開し、より多くの問い合わせにチャット形式で応対できるようにする予定だという。
 さらに、ICT技術の進化やスマートフォンの普及に伴い、移動中や空き時間でメールやインターネットを利用できる環境が整ってきていることから、チャット形式の応対サービスを採用することで、通勤時間などを活用してスマートフォンなどから気軽に問い合わせができるようにする。特に、スマートフォンの保有率が8割を超える20〜40代での利用ニーズが高いと見込んでいる。
 また、聴覚障がい者は、主にメールでの問い合わせを利用しているが、タイムラグが生じて即時にコミュニケーションをとることが難しいという課題があった。チャット形式によるコミュニケーションを導入することで、聴覚障がい者にもリアルタイムで問い合わせに対応できるようになる。
 同サービスはコンタクトセンター側にもメリットがあり、応対履歴をテキスト形式で蓄積できるため、過去のやり取りの分析結果を基に、問い合わせに応じた適切な回答をオペレーターに提示するなど、品質の高いサービスを安定的に提供できる仕組みづくりが可能となる他、1人のオペレーターにつき、同時に最大5人の応対が可能となることで、同時並行で問い合わせに対応できるので、生産性が上がるとみている。
 また、資料請求ページに同サービスを導入することで、保険の加入を検討している顧客を、オペレーターがリアルタイムでサポートすることができるようになる。顧客にとっても即座に疑問の解決につながり、ウェブページからの資料請求数の向上などが見込める。  一方、キヤノンMJはカスタマーセンターを中心に同サービスを展開し、今後はさまざまなコンタクトチャネルの顧客情報や履歴をSFA(営業支援)やCRM(顧客管理)と連携してONEtoONEマーケティングを実現するデジタルマーケティングソリューションを展開していくとしている。
 

[2016-10-26]
 あいおいニッセイ同和損保、「365日お客さま訪問サービス」開始

 あいおいニッセイ同和損保は10月から、顧客一人一人のニーズに寄り添った事故対応の実現を目的に、「24時間365日事故対応サービス」を強化した新たな訪問サービスとして、高齢者・障がい者向け「365日お客さま訪問サービス」の提供を開始した。高齢化の進行や障がい者の差別解消など、社会環境の変化や顧客ニーズの高まりに対応する。
 同社が従来提供していた「お客さま訪問サービス」は、電話でのやり取りが困難な顧客に対し、専門スタッフが訪問し、対面で事故内容・状況の確認やその後の事故対応の流れを説明するもので、主に交通事故で入院した顧客(契約者・被保険者)から要望があった場合に実施していた。
 新たな訪問サービスでは、従来のサービスに加えて、高齢または障がいのある顧客が、電話でのやり取りが困難な場合は、入院の有無を問わず、「お客さま訪問サービス」の積極的な活用を案内する。全国各地の事故対応拠点(サービスセンター)が対応できない休日についても、夜間休日の事故対応を行うあんしんサポートセンターが、「お客さま訪問サービス」を案内する。また、これまでの「お客さま訪問サービス」の利用可能時間(午前9時〜午後7時)を拡大し、午前9時〜午後9時まで利用可能にする(365日利用可能)。
 また、耳と言葉の不自由な顧客に配慮し、「お客さま訪問サービス」の申し込みは専用ファクスならびにホームページで分かりやく表示して受け付ける。
 その他、スマートフォンや携帯電話に事故対応状況(経過情報)を提供する同社独自の「経過情報提供サービス」(注)について、訪問時に案内する。
 同社では、顧客一人一人のニーズに応え、24時間365日全力でサポートすることを目的として、2016年度から「24時間365日事故対応サービス」を開始している。同サービスは、交通事故に遭った顧客に対し、平日や夜間休日を問わず迅速で親切丁寧な事故対応を実現するものだが、年々進む高齢化や障がい者の差別解消の推進などの社会環境の変化に伴い、高齢者や障がい者にはより一層迅速で丁寧な事故対応が求められていた。こうした環境変化やニーズの高まりに対応するため、同社では、今回のサービス拡充を実施したとしている。
 (注)スマートフォンや携帯電話のショートメールサービスを活用し、経過情報を見ることができるサービス。 

[2016-10-25]
 金融庁が平成28事務年度金融行政方針を公表、持続可能性に注目保険ビジネス

 金融庁は10月21日、平成28事務年度金融行政方針を公表した。保険会社については、事業環境が大きく変化する中、各社のビジネスモデルが顧客ニーズに応えつつ、持続可能なものになっているかの実態把握を行うとした。また、昨事務年度に引き続き、資産運用の最適化、ERM態勢の高度化、ガバナンスの発揮状況などに注視していく意向を示した。
 金融行政方針は、金融行政の方向性や目標を明確化したもので、昨年度から導入。進捗(しんちょく)状況や実績を年ごとに評価し、後に金融レポートとして公表する。本事務年度については@金融システムの安定/金融仲介機能の発揮A利用者保護・利便B市場の公平性・透明性/活力の確保―を通じて企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成などによる「国民の厚生の増大」を目指すとし、その実現のために@金融当局・金融行政運営の変革A国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れへの転換B「共通価値の創造」に向けた金融機関のビジネスモデルの転換―を図っていくとしている。
 保険業界への具体的な施策としては、昨事務年度に続き、環境変化が保険ビジネスに与える影響について一層の分析を進め、保険会社のビジネスモデルが顧客ニーズに応えつつ、持続可能なものになっているかの実態把握に努める。加えて、生保会社にとって長期の保険負債を持つという特性が、リスク管理や資産運用の高度化の在り方を考える上で重要なことから、生保各社自らが保険負債の質の改善を視野に入れつつ、リスク管理と一体となった資産運用の最適化の観点でどのような取り組みを行っているか、また、どのような経済・市場の急激な変化の可能性(ストレスシナリオ)を想定し、どのような対応を行うかについて対話していくとした。
 また、現在の低金利環境下で、経済価値ベースでの必要資本の確保とリスクテイクによる収益確保とのトレード・オフが生じていることから、保険会社による統合的リスク管理(ERM)態勢の高度化がより重要となっていることを踏まえ、各社のERM態勢の高度化の状況を確認するとともに、国際的に検討が進められている資本基準(ICS)の動向も注視しつつ、保険会社との対話を通じ、環境変化に対応するリスク管理を伴った健全なリスクテイクを促していく。
 ガバナンスについては、昨事務年度に実施したM&A事例を題材とした大手生損保各社のガバナンスの発揮状況の検証についてフォローアップを行う。とりわけ、相互会社形態の保険会社について、経営陣が自社のビジネスのリスクを踏まえながら、どのように経営資源を投入し、どのような考え方で重要課題に対する意思決定を行っているかなどを引き続き実態把握していくとともに、経営陣と対話を行う。
 保険会社の業務運営面では、5月に施行された改正保険業法において、顧客に対する情報提供義務、顧客の意向把握・確認義務、保険募集人の体制整備義務が導入され、これまでに実施した保険会社や乗合代理店における保険募集管理態勢などに関する水平的レビューの結果も参考にし、引き続き保険各社や保険募集人で顧客本位の取り組みが行われているか、対応状況などを確認する。
 一方、かんぽ生命については、昨年11月の株式上場を踏まえ、企業価値の向上に資する観点から、民間金融機関との連携や、郵便局ネットワークの活用などを通じ、経済の持続的成長や国民の資産形成に貢献する取り組みの推進とともに、資産規模のコントロールや資産運用の多様化、およびそれに応じたリスク管理の高度化への取り組みを促すとした。 


[2016-10-24]
 太陽生命がミャンマー保険公社と覚書締結、医療保険の普及へ協働

 太陽生命は10月6日、ミャンマーのヤンゴンで、同国の国営保険会社であるMyanma Insurance(ミャンマー保険公社)との間で、「健全なミャンマー生命保険産業を発展させるための協働に関する覚書」を締結した。
 覚書に基づき太陽生命は、ミャンマー生保業界の健全な発展に寄与するため、ミャンマー保険公社と協力して、@医療保険のさらなる販売促進・普及A既存の生命保険商品の見直しB新たな生命保険商品の検討・開発C国民への医療保険に関する啓発活動D国民の生命保険に対する意識調査―の五つの取り組みを行う。
 ミャンマー保険公社は、ミャンマー計画財務省傘下の国営保険会社。2013年に保険業が民間に開放されるまでは、50年にわたり同国唯一の保険会社として国民生活の安定に寄与してきた。現在でも民間保険会社をけん引し、保険業界を代表するリーディングカンパニーとなっている。今回の覚書締結は、ミャンマー政府の許可の下で行われた。国外の生保会社との覚書締結は初めてのこととなる。
 太陽生命は、15年7月にミャンマー初となる医療保険プロジェクトのリーディングコンサルタントに単独で認定され、コンサルティング活動を継続してきたが、今回の覚書締結により、今後より広い分野でミャンマー保険業界に貢献していくとしている。
 

[2016-10-21]
 損保ジャパン日本興亜が義援金付火災保険発売、1契約ごとに100円熊本へ寄付

 損保ジャパン日本興亜は10月17日、熊本地震で中心的な被害を受けた熊本県の復興支援を目的として、ご当地独自商品「くまもとの火災保険」を発売した。
 同商品は、「建物のみ、家財一式のみ、建物および家財一式の補償」「地震・噴火・津波の補償」「熊本地震義援金」がセットになっているのが特徴で、契約件数1件ごとに取扱代理店と損保ジャパン日本興亜がそれぞれ100円ずつを義援金として寄付する。
 同社では、2月に熊本県と「地域防災力向上に関する包括連携協定」を締結し、熊本県の防災力向上のための支援を行っている。熊本地震の発生を受け、同社では迅速な保険金の支払いを通じて復興を間接的に支援しているが、復興支援と防災・減災力向上にさらなる貢献を図るため、同県の保険代理店からの声を基に、今回の「地震義援金付き火災保険」を開発したとしている。

 
[2016-10-20]
 損保ジャパン日本興亜「弁護のちから」販売が好調、日常の法的トラブル解決支援

 損保ジャパン日本興亜の弁護士費用を補償する保険「弁護のちから」の団体契約の販売が好調だ。同保険は、「傷害総合保険」もしくは「新・団体医療保険」に「弁護士費用総合補償特約」をセットした契約で、個人の日常生活における法的トラブルを解決するための弁護士費用を補償するものだ。同内容の保険は国内の損保会社としては初めてで、現在も多くの企業・団体から問い合わせが寄せられているという。
 内閣府大臣官房政府広報室が発表した「総合法律支援に関する世論調査」によると、約90%の人が法的トラブルは増えていると感じているという。実際に法的トラブルが発生した場合、多くの人は相談したくても身近に相談できる弁護士がおらず、また、高額な費用負担などの懸念から弁護士への法律相談を行いにくいのが現状だ。
 同社は誰もが加害者にも被害者にもなる可能性があることに着目し、被害事故などで法的トラブルに巻き込まれた場合での備えが必要と考えた。そこで、先行して弁護士費用補償保険を導入している海外諸国に赴き、研究を重ね、3年の歳月をかけて顧客が抱く金銭面での不安を和らげ、トラブル解決に向けて踏み出すための保険として「弁護のちから」を開発した。
 同保険は、企業などを契約者とする団体契約で団体の構成員が加入できる。被害事故、借地・借家、遺産分割調停、離婚調停、人格権侵害(ストーカー行為、いじめまたは嫌がらせにより精神的苦痛を被ったことによるトラブルなど)、労働に関するトラブル(オプション)に関する法的トラブルが発生した初期段階で、弁護士に法律相談を行う場合の「法律相談費用」や、相談した結果、弁護士との委任契約を締結し、訴訟を提起することになった場合の着手金・報酬金などの「弁護士委任費用」が保険金支払いの対象となる。
 リテール商品業務部傷害医療業務グループの藤本和真特命課長は「遺産相続や賃貸借契約など日常生活での法的トラブルに巻き込まれた場合に当事者本人や家族の精神的・経済的な負担は非常に大きい。この保険を活用することによって、金銭的な負担を軽減してトラブルの早期対策・解決につなげることができる。また、昨今はSNSなどのネットでのトラブルも多発しており、このような社会問題を解決する一助になれば」と期待を込める。
 保険金支払いの対象となる案件で、顧客が弁護士紹介を希望する場合は、日本弁護士連合会の「リーガル・アクセス・センター(LAC):協定会社からの弁護士紹介依頼に基づき、日本弁護士連合会の各地の弁護士会を通じて紹介を行う機関」を通じて弁護士を紹介する。
 同部同グループの岩本実特命課長は「発売以来、多くの企業・団体に好評をいただき、傷害総合保険の団体契約を中心に弁護士費用総合補償特約の導入が順調に伸びている。同特約の付帯率についてはまだ向上の余地があると思っているので、販売促進を図っていきたい。業界初の新商品なので、分かりやすいパンフレットを用意し、訴求力を高めている。お客さまにとってどういう補償が必要なのか、声を吸い上げることで、今後の商品開発にも生かしていきたい」と話している。

 
[2016-10-19]
 収入保障・就業不能保険が活況、ニーズ捉え商品が急増

 被保険者が死亡または高度障害状態になったときに年金が支払われる死亡保険「収入保障保険」や、病気やけがによる長期入院などで働けなくなった時に備える「就業不能保険」、就業不能状態を保障する「特定疾病保険」「終身医療保険」などの発売が相次いでいる。背景には、顧客ニーズの高まりと同時に、「マイナス金利の影響で売り止めが相次ぐ貯蓄性商品を補完したい」との保険会社の考えもある。収入保障保険に“就業不能状態の保障”を加えた商品の増加や、商品バージョンアップの動きも顕著だ。
 主力商品に特約を付加する形の商品では、13年12月発売の第一生命「ブライトWay」や15年9月発売の住友生命「未来デザイン(1UP)」などが好調。
 1UPは、社会復帰を支援することをコンセプトに、生前保障から死亡保障を分離して別々に保障を準備できるようにし、「生活保険」との考え方を示した。中小企業市場に強みを持つ大同生命は、経営者の就業不能状態を保障する保険に力を入れているが「今年度も就業不能保障分野を一層開拓していく」としている。
 昨年末以降の動向をみると、15年12月にエヌエヌ生命が新しい「収入保障保険」を、今年3月には太陽生命が「働けなくなったときの保険」を発売した。オリックス生命は、今年5月に発売した特定疾病保障保険「ウィズ」で「生活水準保障」(休業中でも罹患(りかん)前と同じ生活水準を維持できるようにする)という考え方を打ち出した。
 8月にはT&Dフィナンシャル生命が収入保障2商品について、最低年金月額の引き下げや保障範囲の拡大などのリニューアルを行った。
 昨年5月に死亡保障分野に本格参入したメディケア生命は、今年9月に「メディフィット収入保障」の収入保障年金、高度障害年金額毎月5万円タイプの提供を開始した。14年7月に「収入保障保険プレミアム」を発売したチューリッヒ生命は、今年9月に「くらすプラス」(終身医療保険)で就業不能リスクを保障する保険を投入している。
 同社の商品はストレス性疾患を保障する点も特長で、「今後も両商品の拡販を図る」方針だ。さらに、9月後半には、ネオファースト生命が「ネオdeしゅうほ」の販売を開始するなど、関連商品の勢いが止まらない。
 また、収入保障保険の取り扱いが10年超となる損保ジャパン日本興亜ひまわり生命や三井住友海上あいおい生命は、安定的な販売を継続。09年3月に収入保障保険を発売したアクサダイレクト生命は、販売が一時落ち込んだものの、昨年度からは大きく回復させている。
 一方「就業不能保険」を明確に打ち出しているのがライフネット生命とアフラック。ライフネット生命は、10年に発売した「働く人への保険」をバージョンアップさせて今年6月に「働く人への保険2」としてリリースしている。アフラックは、7月に「給与サポート保険」の提供を開始し、がん保険・医療保険に続く「3本目の柱」に位置付けた。テレビCMなどで認知度の拡大を図っており、販売も順調だ。
 全般的には、非喫煙による保険料の割引を導入する会社が増え、標準体だけでなく健康体(優良体)によって一層割安にするというさらなる細分化も見られる。
 「保険料低減の仕組みを設ける」「保険料払い込み期間の選択肢を増やす」「保険期間を90歳まで延長する」といった商品改良の動きも目立っており、保険料払い込み免除とする範囲も広がる傾向にある。
 その他、「確定年金により、被保険者死亡後も支払う」「支払い開始当初などの一時金と年金の組み合わせができる」「傷病手当金が最長1年半支払われることを考慮してハーフタイプを設ける」など各社が独自性を競っている。
 直近の状況については、「商品数や認知度アップの取り組みが増えてきたことで、販売環境が好転している」とみる保険会社が多い。

 
[2016-10-18]
 オリックス生命が直販とダイレクトチャネル融合

 オリックス生命は10月1日から、顧客の契約と生活を守るための活動を行う営業社員(コンサーブアドバイザー)による対面販売を東京、大阪の2拠点で開始した。同社では、本年度中に名古屋、福岡に拠点を設置し、早期に全国20拠点・1000人体制を目指すとしている。
 同社はこれまで、代理店チャネル・ダイレクトチャネル・銀行窓販チャネルの三つの販売チャネルを軸に、業容を拡大してきた。
 新たに募集活動を開始する直販チャネルでは、コンサーブアドバイザーがダイレクトチャネルで加入した顧客の契約保全や既加入保険内容の見直しに加えて、新契約時に対面でのコンサルティングサービスを希望する人への相談対応や新規提案先の開拓などを行う。
 コンサーブアドバイザーは同社の正社員(期限の定めのない固定給制)として採用し、安定した雇用環境の下、顧客から預かった保険を守る「一生涯寄り添うパートナー」となることを目指す。
 また、ダイレクトチャネルでの加入を検討している顧客には、希望に応じて対面でのコンサルティングサービスを行うことで、不安や悩みを解消し、より納得して同社の商品を選んでもらうことが狙い。
 同社は、この直販チャネルとダイレクトチャネルを融合した「ハイブリッドチャネル」により、これまで双方のチャネルが抱えていた課題を解決し、高品質のコンサルティングサービスの実現と顧客満足度の向上を図っていくとしている。

 
[2016-10-17]
 プルデンシャル信託が「生命保険信託」機能を拡充、財産交付の設定をより詳細に

 プルデンシャル生命の子会社のプルデンシャル信託(本多巨樹代表取締役社長)は昨年の10月1日から案内を開始している「生命保険信託」について、10月3日から新たな機能を追加・拡充して提供を開始した。財産交付の期間に応じて交付金額を細かく設定できるようにした他、指定した期日での受益者の変更や信託契約の終了、複数の受益者に対する同時交付を可能にした。保険金の使途をより詳細に設定できるようにすることで、より幅広く顧客のニーズに対応する。
 新たに提供する機能では、従来、信託期間を通じて一律のみとしていた交付金額の設定を拡充し、顧客が契約時に指定する期間ごとに交付金額を細かく設定できるようにした。これに伴い、最低月額交付金額は従来の10万円から5万円に引き下げた。これにより、例えば、子どもの成長に合わせて必要となる学費や生活費を設定しておくなどといった設計を可能にした。
 また、これまで保険事故発生後は、信託財産がなくなるかまたは死亡するまでは、受益者の変更や信託契約を終了できなかったが、新たに顧客が契約時に指定することで、定められた期日で受益者の変更や信託契約の終了を行えるようにした。これにより、子どもが成人する年をもって信託契約を終了し、残高を一括で交付するといった活用を可能にした。
 なお、従来は一つの生命保険契約に対して一つの生命保険信託契約の締結しかできなかったが、新たに一つの生命保険契約を原資に複数の生命保険信託契約を締結し、同時に複数の受益者に交付できるようにした。これにより、一つの生命保険契約の保険金を配偶者と子どもそれぞれに同時に交付するといった指定を可能にした。
 生命保険信託は、顧客に万が一のことがあった場合に、信託で死亡保険金を管理し、生前に顧客と契約した内容に沿って保険金を届ける商品。顧客が保険金をいつ、誰に、どのように渡していくかなどを生前に設計し、保険金の使途をより確実にすることができる。

 
[2016-10-14]
 富士フイルム・アニコムHD 合弁会社が本格始動

 富士フイルムとアニコムホールディングス(アニコムHD)が設立した合弁会社「セルトラスト・アニマル・セラピューティクス株式会社」(牧野快彦社長)が、10月1日から本格的に業務を開始した。同社は、富士フイルムが持つ高度な生産技術や品質管理技術、再生医療(注1)・画像診断・血液の化学成分分析の技術と、アニコムHDの動物病院ネットワーク、電子カルテシステム、豊富な診療情報とを組み合わせて、動物の先端医療分野で再生医療を中心とした革新的で高度な医療技術・サービスの開発と実用化に取り組む。実用化した技術・サービスの普及に向けては、動物病院やアニコムグループのペット保険とも組み合わせ、動物先端医療の新たな仕組みの提供を目指す。
 セルトラスト・アニマル・セラピューティクスは資本金5000万円、富士フイルムが51%、アニコムHDが49%を出資した。
 同社が取り組む事業内容の具体的な流れは次の通り。
 まず、同社は動物の先端医療技術・サービスのトランスレーショナルリサーチ(注2)を実施し、動物の先端医療の開発と診療行為が一貫して行える実用化拠点を神奈川県に開設。同拠点で大学や企業と共同で、細胞治療に関する診断方法から治療方法までの診療法を開発し、さらに実際の診療に応用することで、先端医療技術・サービスの実用化を図るとしている。
 開発した先端医療技術・サービスなどの先端医療ソリューションは、一次診療(注3)を行う動物病院で実践できるように提供していく。また、医療費負担の軽減に向けて、アニコムHDのグループ会社での新規ペット保険の開発にも協力する。
 さらに、一次診療病院での先端医療の実施を実現するために、一次診療病院で撮影した検査画像を外部の読影の専門家と共有し、専門家が所見を送るサービスを提供する。また、診療で得られた効果や画像データなどのエビデンスを蓄積・活用することで、より精度の高い診療法の開発につなげる。
 両社では、こうした新たな仕組みの構築は「ヒトの再生医療への応用にも資する先駆的な取り組み」だとしている。
 (注1)人工的に培養した細胞や組織などを損傷した臓器や組織に移植し、患部の機能を回復させる医療技術。
 (注2)研究室で発見された基礎的な知見や技術について、臨床応用の可能性を評価し直し、臨床の場に使われるまでに育てること。基礎(研究)と臨床(実用)との橋渡しをする研究。
 (注3)通常の外来診療のことで、広く一般の患者の受け入れを行う病院を一次診療病院という。特定の疾患領域など、専門的な診療を行う病院を二次診療病院という。

 
[2016-10-13]
 日本生命が営業職員向けに新システム導入、ライフイベントの手続き支援

 日本生命は9月26日、約5万人の営業職員が使用する携帯端末「REVO」に、新システム「まごころナビ」を導入し運用を開始した。同システムを活用することで、結婚や就職などのライフイベントに伴って必要となる手続きでの利便性を向上させた。
 「まごころナビ」は、ライフイベントごとに必要な手続きを一覧で表示でき、顧客に現在の契約内容を確認してもらいながら、各手続きについて漏れなく希望を確認することができる。また、特に利用の多い20種類の手続き(2015年度実績で約470万件)については説明を充実させ、より分かりやすくスムーズな案内を可能にした。ライフイベントが発生した顧客に必要な手続きを漏れなく案内する仕組みについては、特許も出願中だという。
 また、従来、書面でのみ受け付けていた「受取人の変更」「指定代理請求人の変更」「契約者・被保険者の改姓」「送金口座(取引口座)の変更」の4手続き(15年度実績で約92万件)についてペーパーレスを実現。画面の案内に沿って必要項目を入力することで、これまで約1週間必要だった手続き期間を短縮し、最短で翌日に完了するようにした。
 同社では顧客を訪問して説明や確認を行う「ご契約内容確認活動」をはじめ、営業職員による対面のアフターサービスの充実や手続きの利便性向上に取り組んでいる。

 
[2016-10-12]
 第一生命が国立がん研究センターと共同研究、疾病予防・健康増進シナリオ開発

 第一生命はこのほど、国立がん研究センター(中釜斉理事長)と疾病予防・健康増進に向けた共同研究を開始すると発表した。研究を通じ幅広く「医療ビッグデータ」の活用を推進する。同センターの持つ優れた技術や実績と、第一生命の持つ保険医学分野の知見、顧客や社会に対する情報発信のノウハウ・機能とを組み合わせることで、個人別のリスクに基づく効果的な疾病予防・健康増進シナリオの開発と、健康寿命延伸に関する共同研究・開発につなげる。
 共同研究では、一人一人の健康状態や運動・食事、喫煙・飲酒などの生活習慣の情報に基づいて、重大な疾病リスクの軽減・予防、健康増進に役立つ効果的な生活習慣(運動、食事、喫煙・飲酒など)の改善シナリオとアドバイスの開発・提供を行う仕組みづくりを検討する。
 また、日本人の健康寿命延伸に資するエビデンスの蓄積を目的に、健康状態、生活習慣、ライフステージ・ライフイベントと、疾病罹患(りかん)や入院、死亡などとの関連性の解析にも取り組む。
 国立がん研究センターは、世界最高水準のがん医療、国のがん登録制度の運営、発がんリスクに関する先進的研究などに加え、がんを含めたさまざまな疾病の予防や健康増進について先進的で高度な取り組みを展開している。その代表的な取り組みとして、がんや循環器疾患、脳卒中などの重大な疾病に関するリスクやその要因について、国立循環器病研究センターや大学・保健所などとの連携により、長期にわたる大規模な観察に基づく研究である「JPHCスタディ(注1)」(多目的コホート研究)を行っており、幅広く生活習慣病に関するリスクチェックツール(注2)を開発するなどのノウハウ・技術を持っている。
 一方、第一生命は、保険ビジネス(Insurance)とテクノロジー(Technology)の両面から生命保険事業独自のイノベーションを創出する取り組みを“InsTech”(インステック)と銘打ち、優先的な戦略課題としてグループ全体で推進。中でも特に重要なテーマとして「医療ビッグデータ」の活用に取り組んでいる。
 共同研究に際して第一生命は、同社に所属する医師を国立がん研究センター「社会と健康研究センター」に9月から派遣するとともに、本社スタッフもリスクチェックツールの高度化に向けた取り組みに参画。同ツールの高度化により、リスク増加に影響を与える因子ごとに、より一人一人の健康状態や生活習慣に沿った改善アドバイスの提供の実現を図る。
 第一生命は、国立がん研究センターと2012年に包括的連携協定を締結し、これまでも同センターのがんに関する専門性の高い情報を、セミナー、リーフレット、営業職員の携帯パソコン用コンテンツなどを通じて幅広く提供してきた。
 同社では今後、これらの取り組みをさらに発展させ、広く疾病予防・健康増進をサポートすることで、健康寿命の延伸などの国民的課題の解決に向け、さらなる貢献を図るとしている。
 (注1)「Japan Public Health Center−based Prospective Study」のこと。日本の約10万人の地域住民を対象に10年以上にわたる長期追跡を実施し、生活習慣や健康に関する情報などを提供してもらうことで、どのような生活習慣を持つ人ががん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病などになりやすいのか、あるいはなりにくいのかを明らかにすることを目的としている。
 (注2)「JPHCスタディ」の研究結果を基に、国立がん研究センターが11年4月に開発したツール。生活習慣や検診項目など10問以内の簡単な設問に回答するだけで、今後10年間の疾病罹患リスクが診断できる。「がんと循環器の病気リスクチェック」を公開して以降、男性を対象とした「大腸がんリスクチェック」「脳卒中リスクチェック」「5つの健康習慣によるがんリスクチェック」「胃がんリスクチェック」の全5種類を公開している。

 
[2016-10-11]
 メットライフ生命、提携先施設数が55に増加

 メットライフ生命は、9月にリニューアルした契約者向け付帯サービス“MetLife Club”内で提供する「乳がん検診コンシェルジュ」の提携施設に新たに40施設を追加し、計55施設(9月29日現在)に拡大した。「乳がん検診コンシェルジュ」は乳がん検診施設の紹介から専用コールセンターによる相談受け付け・予約代行までを総合的に提供するサービス。10月が世界的に乳がんの啓発月間とされていることに合わせて、女性の要請に応えられる体制を強化する。
 昨今の乳がんへの関心度の高まりを受けて、同社は昨年に引き続き今年も、20〜59歳の女性を対象とした「女性の乳がん」に関する意識調査を実施。その結果、乳がん検診を受けたことがある人は全体の56.5%と前年比4.3ポイント増にとどまる一方、35〜39歳では56.6%で同18ポイント増という結果になった。
 調査対象の8割以上が乳がん検診の必要性を「感じている」と答えていることを考慮すると、同結果からは、必要性は理解しているものの受診に至っていない人がいまだ多いことが見て取れる。また、「がんを見つけにくい」とされるデンスブレスト(注)について85%が「全く知らない」と答えていることからは、検診率の向上だけでなく、それぞれの乳房の個性についての理解を促進する必要性がうかがわれた。
 こうした女性の声に応えることを目的に生まれた「乳がん検診コンシェルジュ」は、乳がん検診の結果(陽性/陰性)だけでなく、検診ではがんを見つけにくいとされるデンスブレストであるか否かなどの自分自身の乳房の特性を理解し、継続的に、かつ、適切な検診を受けてもらうための契約者、被保険者、家族向けのサービス。検診施設の紹介では、「女医による診察」「女性技師による対応」など、女性が安心して検診を受けられる施設を案内する。
 これまで同サービスに対応する提携施設は関東圏に限られていたが、今回、提携施設のエリアを北海道や関西などにまで拡げたことで、より多くの女性のニーズに応えられるようになる。また、同社では今後も提携施設を拡大していく予定だという。
 (注)日本語では「高濃度乳腺」と訳され、乳腺濃度が高いためにマンモグラフィーで「白く」写る乳腺のことをいう。一般に日本人は欧米人と比べて乳腺濃度が高いために、デンスブレストの比率が高い(日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」)とされる。

 
[2016-10-07]
 SOMPOHDがエンデュランス社を買収、取得価額は6394億円

 SOMPOホールディングス(SOMPOHD)は100%子会社の損保ジャパン日本興亜を通じて、米国を中心に事業基盤を持つEndurance Specialty Holdings Ltd.(エンデュランス社、本社:バミューダ)を買収する手続きの開始について、10月5日に同社との間で合意した。株式の取得価額は約6394億円で、同社グループがこれまで実施した買収の中では最大規模。買収資金は同社グループ内の手元資金により充当する予定だという。エンデュランス社の持つ高いレベルの保険引き受けとリスク管理のノウハウをグループ内に展開し、顧客へのソリューション提供とERM体制の強化につなげることで、真にグローバルに統合された保険事業の構築を目指す。SOMPOHDは今回の買収について、「当社海外保険事業にとって大きな進展、かつ変革となるもの」としている。
 今回の買収は友好的なもので、エンデュランス社の取締役会は同買収について全会一致で賛同。チェアマン兼CEOのジョン・シャーマン氏を中心とする同社経営陣は、買収後も経営を継続する。
 エンデュランス社は2001年創業、米国を中心に英国・バミューダなどで元受け・再保険事業を展開するスペシャルティ保険グループ。米国第5位(15年度元受保険料ベース)のプレゼンスを持つ農業保険をはじめ、賠償責任保険や財物保険、スペシャルティ保険などの保険種目を幅広く取り扱い、元受けと再保険のバランスの取れた事業ポートフォリオとともに、高度なERM体制の確立により安定的で高収益な事業経営を実現している。また、規律あるアンダーライティングによる「収益性の向上」とM&Aなどによる「成長の追求」が図られており、15年には買収によりロイズに進出するなど、英国などでの保険事業にも領域を拡大している。
 低い経費率を維持することで15年までの10年間の平均コンバインド・レシオは90.2%と高い収益性を確保している他、同じ10年間のグロス保険料の年平均成長率は7.1%と高い成長性を実現している。良好な財務健全性を保持しており、民間の格付け会社からも高い保険財務力格付け(S&P:シングルA、ムーディーズ:A2)を取得している。
 SOMPOHDは今回の買収の戦略的意義について、エンデュランス社の優れた経営陣と優秀なアンダーライター、スペシャルティ保険・再保険分野でのグローバルな事業基盤を取り込むとともに、先進国マーケットでSOMPOHDグループの海外保険事業との統合を行うことで、グローバルな保険事業プラットホームが構築できるとした。また、世界最大の保険市場を持つ米国における強固な事業基盤を獲得することで、海外保険事業がさらに地域分散の効いたポートフォリオになるとともに、グループ全体に占める海外保険事業からの収益比率も12%から27%に拡大することで、同社事業全体のポートフォリオの分散を進め、経営基盤を強化できるとした。
 SOMPOHDは中期経営計画(16〜20年度)で、20年度以降の目指す姿として「3000億円水準の修正連結利益」と「10%以上の修正連結ROE」を掲げている。この中で、海外保険事業については修正連結利益ベースで25%以上の貢献を目指しており、今回の買収はその達成に大きく貢献する。15年度実績の単純合算による試算では、修正連結利益は1643億円から1958億円(315億円増)に、修正連結ROEは6.9%から8.2%(1.3ポイント増)に上昇すると見込まれる。
 SOMPOHDグループは、同中期経営計画の中で「サービス産業への構造転換」とともに「グローバルプレイヤーに伍して戦えるポジションの確立」を目標に掲げ、これまで新興国では10年にトルコ、11年にマレーシア、13年にブラジルで買収や子会社化を実施するとともに、先進国では14年のロイズのキャノピアス買収などを通じて、海外保険事業への経営資源シフトを積極的に推進。さらなる成長と資本効率向上の観点から、グローバルで分散の効いた事業ポートフォリオの構築を念頭に、先進国・新興国の双方で元受け事業に強みを持つ保険会社の買収について検討を重ねていた。

 
[2016-10-06]
 あいおいニッセイ同和損保が社外の革新的事業モデル募集

 あいおいニッセイ同和損保はCreww鰍ニ共同で、新規事業の創出を目指す「オープンイノベーション(注1)プログラム」を開始し、10月12日まで同プログラムへの参加を希望するスタートアップ企業(注2)を募集している。同プログラムは、「保険から新たなビジネスを!!」をテーマに、あいおいニッセイ同和損保が持つ経営リソースと、スタートアップ企業の事業とを掛け合わせて、革新的な価値を市場に創り出すことを目的としている。協業を実施する上では、必要に応じて投資も検討していくという。同社では同プログラムの枠組みの活用を、新たな価値の創出に向けた検討のスピードアップにつなげたい考え。
 同プログラムの枠組みを提供するCrewwは、スタートアップ企業とそれらの成長に必要な経営リソースとのマッチングを目的に、スタートアップコミュニティー、オープンイノベーションプログラム、企業アクセラレータープログラムの運営を行う企業。9月現在で同社に登録するスタートアップ企業は2300社に上る。同プログラムでは、スタートアップ企業の選定からマッチング、新規事業創出までの過程をあいおいニッセイ同和損保と同社が共同で行う。
 プログラムの参加対象はCrewwのスタートアップアカウント(登録は無料)を持つ企業で、マッチングに至ったスタートアップ企業はあいおいニッセイ同和損保のリソースを活用することで、サービスの成長の加速や、認知度の向上につなげることが期待できる。
 また、同プログラムでは、具体的・革新的な事業モデルを既に持つスタートアップ企業から協業案の募集を行うとともに、事業内容のブラッシュアップをオンライン上で行うため、一般的なアイデアコンテストに比べて早期に事業化の検討を進めることが可能だという。
 近年、人工知能やビッグデータの活用など技術が飛躍的に進歩し、顧客のライフスタイルや購買行動なども変化している。こうした社会の変化と将来を見据えた取り組みとして、あいおいニッセイ同和損保では今年4月にICTプロジェクトを組成し、先進的な技術を活用した新たなビジネスチャンスの創出や既存業務の飛躍的効率化など、イノベーションの創出に向けた検討を行っている。
 イノベーションの創出では、社内リソースだけでなく、先進的な技術やアイデアを持つスタートアップ企業とのオープンイノベーションが必要になると同時に、持続的にイノベーションを起こし続ける仕組みを創り上げていくことも重要となる。
 今回のプログラムの実施はこうした背景と考え方に基づくもので、同社ではスタートアップ企業との共創を通じて、オープンイノベーションに取り組む企業風土と社員の意識の醸成を図るとしている。
 (注1)自社の持つ経営資源や技術だけでなく、社外の技術やアイデア、サービスを有効活用して革新的なマーケットを創造すること。
 (注2)独自の技術やアイデアによって前例のないビジネスモデルを創り出し、既存マーケットに挑戦する成長速度の速い企業。

 
[2016-10-05]
 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントが個人型DC運営管理業に参入

 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントは、今年の12月をめどに個人型確定拠出年金(個人型DC)の運営管理業に参入する。2017年1月に確定拠出年金法が改正されることをにらんだもので、取り扱うプランは加入者が負担する口座管理手数料を現行の業界水準よりも低廉なものとし、より多くの人が加入しやすい競争力のあるプランとする。
 加入者が負担する口座管理手数料は資産残高と掛け金月額に応じて定め、一定条件を満たす場合には無料とする。また、加入時の資産残高が低い場合でも、業界水準に比べて割安に設定する。
 運用商品のラインアップは、老後に向けた個人の継続的な自助努力を支援するというDC制度の趣旨に鑑み、「中長期・分散・積立型」の商品をラインアップすることが重要との考えに基づいて選定。資産運用会社として培ってきた長年の経験・ノウハウを生かし、資産分散されたバランス型ファンドや各アセットクラス別ファンドから資産運用会社ならではの商品選定を行い、アクティブファンド中心の商品ラインアップを予定しているという。
 加入申し込みの受け付け、運用商品のスイッチング、残高報告などの加入者向けの事務対応業務については、コールセンターやウェブサービスなどで実績のある、SOMPOホールディングスグループの確定拠出年金専門会社である損保ジャパン日本興亜DC証券に委託する。
 個人型DCは、加入者が拠出した掛け金を自らが商品を選んで運用し、原則60歳以降に給付を受けることができる年金制度。運用成果によって将来の受取額は変動するが、掛け金の拠出、運用、給付の3段階の税制優遇が受けられることから、老後の資産形成のための有効な制度の一つとされている。
 17年1月の制度改正では、現在の加入対象である「企業年金のない会社員」「自営業者」に、新たに「公務員」「主婦」などが加わることで、加入対象者数は現在の約4000万人から、ほぼすべての現役世代を意味する約6700万人へと拡大するものとみられている。
 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントでは、今回の法改正を機に、今後、加入者数のさらなる拡大と加入者ニーズの多様化が見込まれることから、資産運用会社の強みを生かして、個人型DC事業への参入を決めたとしている。

 
[2016-10-04]
 AIUが環境汚染賠責の販売強化、韓国の付保義務化契機に

 韓国で7月から、環境汚染を引き起こす恐れのある企業に環境汚染賠償責任保険の加入を義務付ける法律が施行されたことを受け、AIUは韓国に工場施設などを持つ日本企業に同保険を推進している。主に大企業・中堅企業を対象として、強制保険の上乗せ補償などを日本国内物件のカバーと組み合わせて契約するマルチナショナル保険プログラムを提案する。隣国の規制強化を契機に、なかなか浸透しない国内マーケットを開拓していく考えだ。
 7月1日に韓国で施行されたのは「環境被害救済賠償責任法(Act on Liability for Environmental Damage and Relief Thereof)」。政府が指定する有害物質を排気・排水する工場の保有企業に対して環境汚染への厳格な責任を負わせ、工場単位で保険加入を義務付ける。工場の規模などで高リスク(ア群)、中リスク(イ群)、低リスク(ウ群)に分け、賠償限度額をそれぞれ2000億ウォン(約200億円)、1000億ウォン(約100億円)、500億ウォン(約50億円)に定めている。被害者への迅速な補償を可能にする一方で、事故原因企業の倒産などを防ぐ狙いがある。2012年に化学メーカーの工場で大規模な環境汚染事故が発生したことが法制化のきっかけになっており、未加入企業には罰則規定と行政処分を設けている。
 環境汚染賠償責任保険は、保険始期日以降に発生した突発・蓄積性の環境汚染に起因する工場敷地外への損害(身体障害、財物損壊、汚染浄化費用)や弁護士費用を補償。リスク区分に応じて保険金額をア群300億ウォン(約30億円)、イ群80億〜100億ウォン(約8億〜10億円)、ウ群30億〜50億ウォン(約3億〜5億円)に設定している。幹事会社の東部火災やNH農業損保と共に、AIGグループのAIG損保(韓国)が共同保険方式で引き受ける。加入義務の対象は約1万施設に上り、韓国に進出している日本のメーカー数百社の施設も相当数含まれるとみられる。
 AIUは、法的な賠償限度額に対して強制保険の保険金額が低く設定されていることや、補償範囲が限定的であることから、当該施設を持つ日本の大企業・中堅企業を中心に、強制保険の上乗せ分や、補償対象外となっている工場敷地内の汚染浄化費用などを補償し、日本国内の物件に対する補償と併せて一元的な補償を提供するマルチナショナル保険プログラムを提供。海外拠点に付保する保険を本社で一括管理できる他、まとめて契約することによるスケールメリットが得られる。
 同社は、世界100以上の国・地域で事業展開し、そのうち60以上の国・地域で現地証券を発行できるAIGグループのネットワークとノウハウにより、1992年から同保険を販売。最大保険金額を原則、5000万USドル(約50億円)まで設定できる上、グループ全体のキャパシティーでの引き受けにより、国内マーケットより低水準の保険料で提供している。企業保険担当執行役員の御厨志郎氏は「グローバルに事業展開しているAIGが企業向け保険を引き受けているノウハウを、今回の環境汚染賠償責任保険の推進に当たっても活用していきたい」としている。欧米では環境汚染賠償責任保険の付保は一般的だが、日本では普及は進んでおらず、韓国での規制導入により、ブローカー、直販営業社員、プロ代理店チャネルを通じて積極的にアプローチしていく。スペシャリティーライン統括部環境保険チームの城智宏マネージャーは「今回の保険加入義務化では、グループのノウハウが評価されたこともあって韓国の現地法人が引受会社に名を連ねており、当社では制度の仕組みや補償内容を把握している。対象となった日本企業の環境汚染リスクに対する補償が十分でない可能性があることから、リスクに応じた補償プログラムを積極的に提案していきたい。また、韓国・日本以外に工場を保有する企業にも、環境汚染賠償責任保険のマルチナショナル保険プログラムを検討する機会としていただきたい」として、今後の推進に意欲を示している。
 
[2016-10-03]
 朝日生命が女性向けに新ユニット型保険を発売、特定部位手術を重点的に保障

 朝日生命は10月3日から、同社が推進する“女性の「私らしく輝いて生きる」を応援する”をコンセプトとした取り組みの一環として、女性のための保険「やさしさプラス」と新特約を発売する。「やさしさプラス」はライフステージの変化に合わせて必要な保障を必要なだけ組み合わせることができる同社の「保険王プラス」のユニット型の保障を引き継ぐ商品で、女性特有の手術を重点的に保障する特約の他、付帯サービスとして女性向けの健康相談、専用サイトを通じた情報提供を行う。同社では発売に合わせて、女性の活躍を支える各種社会貢献活動も開始。同商品のブランド育成を図る。
 新たに提供を開始する特約「マイメディーナ」(無配当女性手術重点保障特約〈返戻金なし型〉)は、乳がん、子宮がんの他、子宮筋腫や子宮内膜症など、女性が不安に思う疾病に対する手術(注)を幅広く重点的に保障。手術の内容にかかわらず給付金額は一律で、良性腫瘍による子宮や卵巣の一部摘出の場合でも最高30万円を女性手術給付金として支払う。給付金は手術痕や副作用などの手術で低下したQOLを向上させるための費用に活用できる。U型を選択した場合は、手術給付金の支払いがなかったときに5年ごとに女性応援給付金を支払う。
 付帯サービスとして、加入者には専用の無料電話相談サービス「女性のための健康相談サービス」を提供。女性の専門相談員を配置し、女性ならではの症状や悩みの相談に対応する。また、専用サイト「やさしさプラスONLINE」を開設し、商品の特長や乳がん検診の基礎知識や、治療の副作用による外見の変化について対面でカウンセリングを受けられる専門施設やメークなどのワンポイントアドバイスの紹介などさまざまな情報提供も行う。
 なお、同社では新商品発売に合わせて、女性を後押しする各種社会貢献活動を実施。従来、ピンクリボン運動とともに実施してきた、自治体ごとに異なる乳がん検診の情報を営業職員が地域の顧客に知らせる「乳がん検診お知らせ活動」を強化する他、NPO法人や企業と連携して、乳房再建についての正しい情報提供とNPO法人への寄付、体調の自己管理や主治医・職場での相談に活用できる「がんと働くリワークノート」の提供を通じたがん治療と仕事の両立の支援、治療の副作用による外見の変化をカバーする方法の紹介を行う。さらに、同社では加入者数に応じて寄付を実施し、(公社)日本ユネスコ協会連盟を通じて、女性が教育の機会を得て自立し、地域が活性化することを目指す活動を支援する。
 同社では、新商品の発売に合わせて、営業職員を通じて寄せられる顧客の声を女性職員の視点・感性・価値観に基づいた新たな商品・サービスの開発や社会貢献活動につなげる「やさしさの輪プロジェクト」を立ち上げ、同プロジェクトを全社で推進することを通じて同商品を多くの顧客から選ばれるブランドに育てていくとしている。
 (注)対象部位は、乳房(乳頭・乳輪を含む)、子宮、卵巣、卵管、甲状腺、上皮小体(副甲状腺)。


 

 (保険毎日新聞から抜粋)