保険NEWS&TOPICS
バックナンバー一覧
 2012年04月のニュース
 2012年02月のニュース
 2012年01月のニュース
どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
[2012-03-30]
 三井住友海上、新規事業開拓支援セミナー開催

 三井住友海上経営サポートセンターは3月6日、東京都千代田区の同社駿河台ビルで「新規事業の成功事例と経営セオリー」と題したセミナーを開催した。今回は経営戦略研究所の所長で、公認会計士の資格も持つ高畑省一郎氏が、具体的な成功事例を踏まえて、成功する新規事業展開のパターンと戦略構築について解説。当日は製造業、運送業、不動産業などから多数の参加者が集まった。
 高畑氏ははじめに、企業経営について、短期的課題としての資金調達と、長期的な課題としての新規事業の開拓という二つの側面を指摘。環境や技術の変化、経営者の世代交代などの背景から、企業の成長サイクルは30年が目安だとした上で、有望な新規事業の開拓は、本業が苦境に陥った際の資金獲得手段(株式売却など)として重要との見解を示した。
 また、新規事業の開拓では、景気の先行指標を把握することが重要だと強調。日本企業の強みとして「おもてなし(サービス)」がある一方で、欧州のソブリン危機や中間財産業の空洞化、急速な高齢化などの弱みを抱えているとし、「ピンチの裏側にはチャンスがある。弱みの部分をよく見て商機を探してほしい」と述べた。
 さらに、成功するビジネスモデルの条件として「顧客に満足を与える」「コストを下げる」「回転率を上げる」の3点を挙げ、日本の「おもてなし」の価値は満足度に根差していると指摘。今後は積極的に需要を創造していくビジネスモデルを目指す必要があるとする一方、実体経済の悪化の中で、支出を減らせるものが実質的な資産になるとし、そうした着眼点からビジネスチャンスを生み出していくことが重要だとした。
 これらを踏まえて高畑氏は、国内消費市場や下請け・ニッチ市場、衰退市場などで成功した企業の例を紹介。新規事業を機会発見の難易度とリスク負担度の二つの軸から分析し、新分野への進出は成功の可能性が低く、本業からの水平展開・垂直展開や、技術・販路の応用が成功の鍵になるとの考えを示した。
[2012-03-27]
 損保ジャパンと日本興亜損保、2014年度上半期めどに合併

 NKSJホールディングス、損保ジャパンおよび日本興亜損保の3社は、国内損害保険事業の再編について検討・協議を重ねてきたが、3月23日開催の各社取締役会で、関係当局の認可などを前提として、2014年度上半期をめどに損保ジャパンと日本興亜損保が合併することを決議。同日、合併基本合意書を締結した。合併新会社の名称(商号)は、「損害保険ジャパン日本興亜株式会社」(本店所在地:東京都新宿区西新宿一丁目26番1号)で、取締役会長に損保ジャパンの櫻田謙悟社長、取締役社長に日本興亜損保の二宮雅也社長がそれぞれ就任する。
 NKSJホールディングス、損保ジャパンと日本興亜損保は、今年1月27日に公表した「グループ戦略の加速と業績回復に向けた今後の取り組み」のとおり、国内損害保険事業の効率性向上を目指し、“世界で伍して戦える新しい会社”に関する検討・協議を重ねてきた。
 その結果、損害保険業界を取り巻く厳しい経営環境の変化を踏まえ、損保ジャパンと日本興亜損保が培ってきた強みを一つの会社として発揮し、強固な事業基盤のもと収益力の最大化を図るため、損保ジャパンを存続会社として両社合併し、損害保険ジャパン日本興亜梶i以下、損保ジャパン日本興亜)を設立することにしたもの。
 損保ジャパン日本興亜では、最も顧客に評価される損害保険会社になることを最重要の経営戦略目標とし、持続的な成長を目指す。また、損害保険事業の社会的使命を踏まえ、引き続き持続可能な社会づくりに貢献していく。
 合併に向けた検討体制としては、損保ジャパン日本興亜の設立に向けた準備作業をスピード感をもって進めるため、これまでの検討委員会を再編し、4月から損保ジャパンと日本興亜損保による新会社創設委員会を設置。その事務局として、統合推進部を新設する。
 また、昨年9月21日に公表した新経営計画のとおり、共同本社体制や営業・サービスセンター拠点の同居による業務の共通化・効率化を2012年度から開始し、合併を待たずにシナジーを享受し収益性の向上を実現していく。
 新会社の業容(11年3月期の損保ジャパンと日本興亜損保の合算数値)は、正味収入保険料1兆8772億円、総資産7兆2455億円、従業員数2万9196人、代理店数6万6661店。単体の収保ベースで国内トップの損保会社となる。
[2012-03-26]
 LPH、3月を「生命保険見直し月間」に

 「ほけんの窓口」をはじめとする来店型保険ショップを全国約250店舗展開する潟宴Cフプラザホールディングス(本社:東京都渋谷区、今野則夫代表取締役社長)は3月1日から31日までの期間中、“保険を見直すと家族が強くなる”をスローガンに掲げ、「生命保険見直し月間」を制定した(日本記念日協会から認定)。
 同社は、2010年から毎年11月に「生命保険見直し月間」を設けていたが、東日本大震災から1年が経ち、震災後、多くの顧客が家族の絆を再認識。保険に求める役割が特に大きくなっていることを受け、同社の社会的使命を全うするため、3月にも「生命保険見直し月間」を制定することを決定したもの。
[2012-03-26]
 JDパワー、生保契約満足度調査(保全編)の結果発表

 CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である鰍iDパワーアジア・パシフィック(本社:東京都港区、アルバート・ラパーズ代表取締役社長、略称:JDパワー)は3月21日、2012年生命保険契約満足度調査(保全編)の結果を発表した。同調査は、生命保険加入後2年以上経過した顧客を対象に、加入保険に対する最新の意識や、契約後における保険会社・代理店の対応実態や満足度を調べたもの。
 調査結果によると、調査対象である加入者のうち、約2割がその契約を解約したいという意向(以下、解約意向)を持っていることが明らかになった。また、解約意向の割合は保険会社によって5%〜27%となっており、顧客流出のリスクに約5倍の差があるといえる。この差は、契約時における加入者の保険内容に対する理解度の違いによるところが大きく、「保険内容が分かりやすかった」という理由で保険を契約した人が多い会社ほど解約意向が低い傾向にある。さらに、解約意向は契約後5年以上経過すると高まる傾向があるが、保険内容への理解度が高い加入者は、契約後5年以上経っても解約意向が高まらないことから、契約段階でいかに保険を分かりやすく説明し、納得感を生み出すかが、顧客流出を防ぐための前提条件だといえる。
 一方、契約後であっても、営業担当者から契約内容や請求手続きの確認や説明を行うことで、加入者の保険内容への理解度を高めることができる。契約内容の説明を受けた人は受けなかった人よりも、契約期間や保障金額といった内容を「よく理解している」割合が10%高く、請求に関する説明を受けた人は、さらに請求方法や手続きの理解も高まる。現在、多くの保険会社は訪問での契約確認活動を強化しており、同調査でもこの1年間に営業担当者から訪問による説明を受けたと答えた人は約2割であった。しかし、そういった活動を受けていても、まだ請求条件や手続きに対する理解度が低く、実際に請求手続きの案内を実施している割合は8%に過ぎない。従って、訪問活動では保険内容だけでなく、どんな時にどうすれば請求できるのかといった具体的な点まで一歩踏み込んで説明を行うことが、加入者の保険に対する理解度をより深め、保険会社への信頼感やロイヤルティーを高めるポイントになるといえよう。
 同調査は、生命保険加入後2年以上経過し、更新手続き・請求を直近1年以内に行っていない顧客を対象に、加入保険に対する契約後における保険会社・代理店の対応実態や満足度を調べたもの。調査初年度となる今回は、11年12月にインターネット調査を実施し、6634人から回答を得た。
 なお、同調査では、生命保険商品の主契約のタイプを顧客認識・顧客ニーズの視点から分類し、それぞれにおける満足度を測定している。
 各部門の詳細は次のとおり。
 ▽生活保障タイプ:死亡保険、収入保障保険、介護保険など
 ▽医療給付タイプ:がん保険、医療保険など
 ▽資産形成タイプ:個人年金保険、養老保険、変額保険、学資・こども保険など
[2012-03-15]
 住友生命、生存給付金付定期特約など発売

 住友生命は、3月23日から、主力商品「Wステージ〈5年ごと利差配当付新終身保険〉」のレベルアップと貯蓄ニーズの高い若年層への訴求力向上を目的に「生存給付金付定期保険特約(12)」を発売。また、「Wステージ」の若年男性・女性向け専用プランとして、保障額を抑え手ごろな保険料で加入できる「きちんと未来 スマート年金プラン」と「ごほうび宣言」を発売する。
 「生存給付金付定期保険特約(12)」は、死亡・高度障害時の保障に加え、契約後3年目から2年ごとの契約応当日と特約の保険期間満了時に生存している場合に、生存給付金を支払う。生存給付金は必要なときにいつでも引き出せるほか、積み立てておくことで、老後資金・保障の充実にも活用できる。
 同社では、「あなたの未来を強くする」という企業メッセージの下、真に顧客の役に立ち、長い人生を守り抜くという保険本来の使命をしっかりと果たすことのできる保険商品として、2011年3月に「Wステージ」を発売した。今回、「Wステージ」の商品ラインアップを充実し、商品魅力を一層向上させることで、より多くの顧客へさらなる安心と満足を提供していく。
 併せて、企業経営者や個人事業主向けの商品として、「エンブレムGP・グランドパスポート〈低解約返戻金型無配当定期保険〉」を発売するほか、昨年3月から開始しているスミセイ未来応援活動を拡充し、継続的なコンサルティング・サービスを通じてマイルが貯まる新サービス「スミセイ・マイル」を導入する。「スミセイ・マイル」は、貯めて各種賞品と交換できるほか、同社イメージキャラクターの相葉雅紀さん・北川景子さんセレクトの賞品が当たる抽選に応募することもできる。
[2012-03-13]
 金融庁監督局保険課、「保険財務基準・リスク分析室」設置

 金融庁監督局保険課はこのほど、「保険財務基準・リスク分析室」を設置した。ソルベンシー・マージン比率規制の短期的・中期的見直しなど保険会社の財務の健全性確保に向けた取り組みを推進している中で、さらに深度ある保険監督行政を実現することが狙い。同室では@統合的なリスク管理の高度化促進A高度なリスク管理手法と整合的な「経済価値ベースのソルベンシー評価」導入の検討B保険会社に対するモニタリング機能の強化―の三つの行政課題に一体で対応する。同室の室長を兼務する小原広之保険課長は「保険会社によるリスク管理の高度化を積極的に支援したい。各社は経営課題として取り組んでほしい」と強調する。
 金融庁は「平成23事務年度保険会社等向け監督方針」の中で、統合的なリスク管理の促進について、「保険会社を取り巻くリスクの多様化・複雑化に鑑みれば、規制上求められる自己資本等の確保や財務情報の適切な開示に加え、当該保険会社の経営戦略と一体で、全てのリスクを統合的に管理し事業全体でコントロールする態勢を整備することが望ましい」とし、「このような観点から、昨年度実施した経済価値ベースのソルベンシー規制の導入にかかるフィールドテストの結果も踏まえ、前年度に引き続きERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)ヒアリング等を実施し、各保険会社において、経営陣による主導性と強いコミットメントの下で、自社の自己資本等の状況を踏まえつつ、会社の規模やリスクの特性等に応じた適切なリスク管理態勢が整備されているか検証する」ことなどを明示している。
 一方、ソルベンシー評価の見直しに関しては、「リスク計測を厳格化したソルベンシー・マージン比率及び保険会社又は保険持株会社を頂点とするグループに適用する連結財務規制(いずれも平成24年3月末から施行)について、円滑な導入に向けた準備を進める」とした上で、経済価値ベースのソルベンシー規制について、「フィールドテストを通じて把握した実務上の様々な課題等について、日本アクチュアリー会や損害保険料率算出機構等の専門組織と連携しつつ、当該規制導入に向けた検討を引き続き行っていく」との考えを示している。
 こうした監督方針にのっとり、今回、「保険財務基準・リスク分析室」を設置。保険課の小原課長が室長を兼務し、今回新設された統合リスク管理専門官など合計14人の体制で業務を遂行する。保険会社のリスク管理態勢を検証して、高度化を促していくとともに、高度なリスク管理手法と整合的な規制・監督の枠組みである経済価値ベースのソルベンシー評価の導入に取り組む。
 同室の植村信保統合リスク管理専門官は、保険会社の統合的なリスク管理に関する注目点として▽経営陣による主導性と強いコミットメント▽資産負債の総合的な管理(ALM)の状況の二つを挙げる。「リスク管理は経営陣が主体的に行う必要がある。ALMについては、保険会社が負債特性を的確に把握した上で管理することがポイントだ。全体として重要なリスクを認識してコントロールする仕組みを経営が主体的に構築し、会社の規模やリスク特性に応じた管理態勢を整備することが肝要だ」と指摘する。
[2012-03-07]
 AIU、公益法人制度改革対応でRMセミナー開催

 AIUは2月16日、大阪商工会議所で、リスクマネジメントセミナー特別講座として「“公益法人制度改革対応”『役員の個人責任と訴訟リスク』」を開催した。「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」の施行で発生する社団法人と財団法人の役員個人責任や想定される訴訟事例を、北浜法律事務所の渡辺徹弁護士と原吉宏弁護士が解説。会場には、法人関係者や企業経営者など約70人が参集した。
 主催者を代表して関本秀樹大阪企業営業部長は、「公益法人制度改革関連3法の制度改革で、社団法人・財団法人の運営に当たる理事・監事に対する責任が明文化され会社法並みのガバナンスが求められる。特に一般社団法人、一般公益法人に代表訴訟制度が導入され、これまでと全く異なった個人責任と訴訟リスクにさらされる」とした上で、「上場企業の役員同様、リスクヘッジの対策が必要となる」と強調した。また、清水経営保険業務アンダーライターは、リスクヘッジの対策の一つとして、社員代表訴訟(社団法人)の流れと同社の社団法人・財団法人向け役員賠償責任保険「マネジメントリスクプロテクション保険」の案内をした。
 渡辺弁護士は、オリンパスや大王製紙を例に挙げ、改革関連3法による役員の責任の在り方や代表訴訟の留意点について講演した。両社の問題で、関与した役員が責任を負うのは当然だが、関与しなかった役員の責任はどのようになるのか、「役員責任の当事者は、関与の認識をしていないにもかかわらず不注意によって見過ごした場合でも責任が問われる」と強調。今回の改革は、主務官庁の指導監督から自律的運営となり、活動が自由になった反面、会社法並みのガバナンスが求められ、役員責任が強化されたと述べた。また、善菅注意義務・忠実義務を怠った法人に損害を負わせた役員は、法人に対して損害の賠償責任を負うとした「任務懈怠責任」や、「任務懈怠責任が免除される場合」「第三者責任」の内容などについてその考え方を示した。代表訴訟の留意点では、訴訟の仕組みや導入の理由、代表訴訟での賠償義務が家族や相続にも及ぶという点が挙げられた。また、監視義務を尽くしたかどうかが問われる、内部統制システムとの関係についても触れた。
 原弁護士は、理事に責任があった事例として「青森住宅供給公社事件」「大原町農協事件」「えりも町漁協事件」、また、取締役の責任が問題となった「内務統制違反の日本システム技術事件」「反社会的勢力に関与の蛇の目ミシン事件」「不祥事発生時の対応でのダスキン事件」に触れた後、責任を問われないためにどのようにすればよいのか、考え方を示した。内容、賠償額、責任を肯定した理由を述べた後、社団法人の役員の責任は、会社法と同じで、たとえ無報酬の名義貸しであっても責任が生じるとした。そのために「法律を正しく理解する」「内部統制システムは十分か」「義務違反(特に監視義務違反)に問われないように備える」「責任を問われた際のことを考えておく」ことも必要で、D&O保険に入るのも一策との考え方を示した。
[2012-03-05]
 日本保険学会関西部会、11年度第3回報告会開く

 日本保険学会関西部会は、2011年度第3回報告会を2月18日午後1時半から富士火災大阪本社ビルで開催した。「中国の自動車保険における保険需要に関する実証研究」「契約当事者間の個別同意のある団体保険契約における約款解釈について」「医療保障領域におけるリスク認知と生命保険需要契約」の三つの研究が報告された。当日は、会員35人が出席した。
 まず、神戸大学大学院の陳大為氏(経営学研究科博士課程)が「中国の自動車保険における保険需要に関する実証研究」と題して報告。
 陳氏は、10年に中国での自動車販売台数が1800万台を突破、11年10月末には自動車保有台数が1億台に近づき、日本を抜き米国に次ぐ世界2位の自動車大国となったことを説明。その上で、自動車保有の激増はエネルギー消費、大気汚染、自動車事故増加などさまざまな社会問題をもたらしており、「中でも交通事故問題は最も深刻な状態で、10年に中国で発生した交通事故は390万件、事故による死亡人数は6万5000人に上る。1日当たりの交通事故件数は1万件を上回り、約200人が自動車事故で亡くなっている」と述べた。自動車保険収保に関しては、損保全体の4分の3を占めているが、損害保険の浸透率は世界70位、損害保険密度は75位であると問題を示した。「自動車購入者は自動車保険の負担ができるにもかかわらず、自動車保険が主力の中国の損害保険の水準は世界の下位にとどまっている」と、中国の損害保険、特に自動車保険市場を調査し、立ち遅れの原因を考察した。
 同氏は、中国の損害保険市場の概要、中国に進出した日本社の損保の伸び、中国で損害保険業が立ち遅れた歴史的要因について、所得・事故率・損害額・リスク回避度などを年齢、教育、性別、婚姻状況などの要因を分析。その結果、「所得と貯蓄は自動車保険需要に正の影響を与え、貯蓄より所得の影響が強い」「高等教育は自動車保険需要との間にマイナス」「国家法律による最初の強制保険制度の自動車交通事故責任強制保険がもたらす自動車保険需要への影響はさほど大きくない」との見解を提示した。
 続いて、東京海上日動の吉澤卓哉氏が「契約当事者間の個別合意のある団体保険契約における契約解釈について」報告。「保険約款規定内容に関する個別合意の効力」について「個別合意」が行われる背景事情から論旨を説明した。
 「裁判所は、保険約款よりも保険契約者に有利な『個別合意』について個別合意の成立や効力を容易には認めない」とし、「このことは、保険契約者に不当に不利かもしれない。保険契約者は、契約の履行を求められなければ、意思表示の瑕疵(かし)を理由に錯誤無効を主張するか、あるいは不法行為に基づく損害賠償を求めるよりほかはない。錯誤無効が成立すれば、支払い済みの保険料相当額が返還されることになるが、得べかりし保険金相当額の支払いを求めるなら損害賠償を請求することになる。損害賠償請求は因果関係で阻まれることが多く、仮に損害賠償請求権が認められても過失相殺される可能性がある」と述べた。団体契約では、現状を説明し保険契約者側に有利な「個別合意」の成否や効力について吉澤氏の私案を述べた。
 最後に生命保険文化センターの林晋氏が「医療保障領域におけるリスク認知と生命保険需要」を報告。同氏は、マーケティングに携わってきた経緯から、「需要はニーズから始まる」として、コトラーの需要形成プロセスに触れ、ニーズ、欲求、需要から保険の需要形成プロセスを説明した。
 医療保障領域における有力な生活保障資源の一つである生命保険について、保険需要の出発点がリスクの認知に求められるのか否か、保険需要の間接性はリスク認知とかかわっているか否か、パス解析を用いて実証的に検証した。まずパス解析の留意点などを説明し、パス解析の結果、医療保障領域における生活者の「リスク認知、リスク保障ニーズ、生命保険需要」をどのように推定できるかなどを解説した。
[2012-03-02]
 金融庁、資産運用比率規制撤廃へ

 金融庁は、「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」などを取りまとめ、2月29日に公表した。改正の概要は次のとおり。
 (1)保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)
 ア.保険会社の資産運用に関して、保有する資産の種類ごとに総資産額に一定の比率(※1)を乗じた額を上限とする資産運用比率規制を撤廃する(保険業法施行規則第48条)。
 ※1:国内株式30%、外貨建資産30%、不動産20%など。
 イ.損害保険会社(外国損害保険会社などを含む。以下同じ)が共同行為(※2)の認可を受けようとするときの認可申請書の記載項目から代表者の住所を削除し、当該認可を受けて共同行為を行う損害保険会社の代表者の住所が変更された場合の届出を不要とする(保険業法施行規則第55条第1項第1号、第85条第1項第3号)。
 ※2:航空保険事業、原子力保険事業、自賠責保険事業、地震保険事業について、ほかの保険会社と行う保険料率協定、約款協定、損害査定協定などをいう。
 ウ.外国保険会社などについて、保険会社に準じて資産運用比率規制を撤廃する(保険業法施行規則第140条)。
 (2)保険業法施行令第40条第1号などの規定に基づく生命保険募集人に係る制限が適用されない場合などを定める件の一部を改正する件(案)
 資産運用比率規制の撤廃に伴い、金融庁長官が定める資産などの規定を撤廃する(第3条〜第5条)。
 なお、(1)については公布の日から施行し、(2)については官報掲載の日から適用する予定。

 (保険毎日新聞から抜粋)