[2012-05-22]
損保主要8社2011年度決算、タイ洪水などの影響で大幅減益
損保主要8社(東京海上日動、日新火災、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、日本興亜損保、富士火災、共栄火災)の2012年3月期決算(11年4月1日〜12年3月31日)が5月18日までに出そろった。それによると、タイの洪水をはじめとする国内外の自然災害や税制改正の影響などにより、単体ベースの当期純利益は6社で赤字となった。また、保険事業の収支を示す保険引受利益(保険引受収益から保険引受費用と保険引受に係る営業費・一般管理費を控除し、その他収支を加減)も前年度に続き2期連続全社で損失を計上した。
正味収入保険料を各社別にみると、6社で増収、2社で減収となった。
損害率は全社で前年度より上昇した。損害率が最も低かったのは共栄火災の73.2%で、以下、日新火災76.4%、富士火災79.6%、あいおいニッセイ同和損保79.7%など。一方、4社で80%を超えている。また、ソルベンシー・マージン(SM)比率は11年度からより厳格な基準が適用されたが、全社400%を超える高い水準を維持している。
3メガ損保(東京海上グループ、MS&AD、NKSJ)各保険持ち株会社の連結業績をみると、当期純利益は、東京海上ホールディングス60億100万円(前年度比91.7%減)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(▲1694億6900万円)とNKSJホールディングス(▲922億6200万円)では損失となった。
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[2012-05-21]
チャーティス・AIU、海外危機管理セミナー開催
チャーティスとAIUは5月9日、東京都千代田区のKKRホテル東京で「2012年 海外危機管理対策最新情報セミナー」を開催した。近年、超円高と国内需要の停滞に伴って海外マーケットに進出する国内企業が増加する中、駐在員・出張者についての海外安全対策・海賊対策は避けて通れない重要な課題になっている。今回のセミナーでは、チャーティス米国本社の危機管理部門のグローバルマネジャーが海外特殊危険保険について講演したほか、英国の危機管理対策に長年の実績と経験を持つコンサルティング会社NYAインターナショナルのシニアコンサルタントが、海外進出企業の危機管理対策の最新情報を紹介した。
セミナーの冒頭、AIUのロバート・ノディンCEOがあいさつし、「本日のセミナーに多くの参加者が集まったのは、海外危機管理対策という今回のテーマが日本において関心が高い証しだと考えている。チャーティスは世界における損害保険のリーダーであり、危機管理に関しても優れた経験を持っている。皆さまには本セミナーを通じて企業が海外進出する上での危機管理について学んでいただければと思う」と述べた。
チャーティス米国本社のチャーティス・インク グローバルファイナンシャルライン危機管理担当VPのトレーシー・トンプソン氏は「チャーティス・AIUから見た危機管理対応プロテクションの現状」をテーマに講演した。
トンプソン氏はまず、企業がグローバルにリスク管理を行う際、どういった点について配慮しなければならないかと問題提起し、海外事業を拡大する場合にはリスクのプロファイルが変化し、特に危険な地域においては対応の仕方そのものが変わってしまうことを理解しなければならないと強調。「組織がリスクに対してどのくらい脆弱(ぜいじゃく)なのかは企業によって、また、産業によって異なる。今回のプレゼンテーションを通じて、それぞれが直面するかもしれない複雑な状況について理解していただければと思う。チャーティスの目的は、誘拐や拘束、脅迫などのリスクに対して、お客さまやブローカー、専門的なコンサルティング会社であるNYAインターナショナル社との協力・パートナーシップの下、リスク転換やリスク管理についての解決策を見つけていくことにある」と述べた。
リスク管理する上で重視するポイントでは、「人命の保護」「会社の評判」「危機の軽減策」「法的な責任」などを指摘。また、企業は被害を受けた従業員がどのようにして社会復帰していくかにも十分配慮する必要があると述べた。
海外駐在員が巻き込まれやすい犯罪としては、「誘拐や脅迫」「海賊による拉致」のケースを解説。誘拐事件の特徴について、関係者が多くなり、それぞれの立場で目的が異なるなど状況が複雑になる点を指摘した。また、企業が誘拐事件に対応する際、犯人との交渉のほかにも、家族の感情面への対応、現地当局への対応、マスコミ対応などが必要となり、「組織として事業を継続しながら事故対応することが求められる」と述べた。
セミナー後半では、NYAインターナショナルのニール・ヤング代表が、海外で危機に遭遇した場合の具体的な対策や、同社が取引企業に提供するサポートについて説明した。また、大越修シニアコンサルタントは、国別の犯罪発生件数の統計データを紹介するとともに、在外邦人が事件に巻き込まれやすい国をピックアップし、最近の治安情勢について解説した。 |
[2012-05-21]
NKSJリスクマネジメント、企業リスクマネジメントセミナー開く
NKSJリスクマネジメントは5月9日、東京都中央区の日本興亜損保日本橋ビルで企業リスクマネジメントセミナーを開催した。当日は「消費生活用製品のリコールの動向と実践〜リコールマネジメントの具体的手法〜」をテーマに、リコールの枠組みや行政の取り組み、日本と米国のリコール事情、定量的なリコール判断手法(R―Mapによるリコール判断)などのリコールマネジメントについて、三人の専門家が講演。メーカー・小売業界などから105人が参加した。
セミナーでは、はじめに独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)製品安全センターの宮川七重主査が「消費生活用製品のリコール」をテーマに講演。NITEは経済産業省などが所管する対象製品と製品安全4法(消費生活用製品安全法、電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)を所掌範囲として、製品事故情報の収集や情報提供、原因調査、リスク分析などを行っている。
宮川氏は、リコールの指針として経済産業省の「消費生活用製品のリコールハンドブック2010」が消費生活用製品による事故や拡大可能性を最小限にするための事業者による対応を示していると紹介。また、リコールとの向き合い方について「日ごろからの心構えの徹底」「未然防止のための措置」「速やかなリコール実施のための日ごろからの準備措置」が必要と強調。その中で、「リコール対応費用の大きさに耐えられず倒産した会社もあるので、中小企業向けリコール保険(PL保険の特約)などでリスクに備える方法もある」とするとともに、製品事故などが発生した場合の対応と判断について、速やかに行動すること、およびリコールを実施するかどうか否かの判断は「疑わしい場合は消費者の安全を優先に考えること」の必要性を指摘した。
また、これからの課題として、「企業と消費者間の消費生活用製品リコールの意識統一、リコールの徹底、リコールへの備えと効率的なリコール、リスクアセスメントの実施が必要」とまとめた。
休憩を挟み、PSコンサルタント(NITE技術顧問)で財団法人日本科学技術連盟のR―Map実践研究会統括主査の松本浩二氏が「リコールマネジメントとリコール判断へのR―Mapの適用」について講演。
リスクアセスメントの波が欧州を中心にあるとし、ISO/TC240(ISO規格検討専門委員会)によるISO/DIS10393(ドラフト国際規格)「消費者用製品リコールガイドライン」の動向について説明。安全基準の統一に向けて国際的な動きがある中、日本では国際安全規格と日本の安全基準のダブルスタンダードがあると指摘した。
また、リコール判断について、「リスクアセスメント・ハンドブック」と「R―Map入門」を紹介し、「リコール判断で迷うときにはリスク評価で判断し、最悪のケースを想定すること」と強調。R―Map使用時にはリスク区分の正確性、客観的なリスク評価、都合の良い方に解釈しないなどの留意点を示した。松本氏は安全な製品の流通のためには供給と受給双方でのリスクコミュニケーションが必要とし、「サプライチェーン全体を通じてのリスクアセスメントが望まれる」と指摘した。
最後に、「国内及び米国における消費生活用製品のリコール動向」について、NKSJリスクマネジメントのリスクエンジニアリング事業本部リスクエンジニアリング部藤原俊明主席コンサルタントが講演した。
藤原氏は日本でのリコール事情について、2007年の消費生活用製品安全法の改正によりリコールが事業者の責務と定められた結果、リコール件数が増加したこと、また、原因に結び付く頻出単語の推移を追った結果、安全上の問題だけでなく品質上の問題でもリコールが行われ始めていることが分かったと説明。一方、米国では、リコール件数が1996年からの11年間で61件から471件に増加しており、中でも子ども向け製品にかかわる連邦法違反によるリコールが多いことなどを説明した。
製品安全分野が米国に倣ってきた経緯をかんがみて、藤原氏は「今後、子ども向け製品の安全に対する意識が高まり、製品のリスクアセスメントでも子どもの誤使用の対策が求められるようになるのではないか」と見解を示した。 |
[2012-05-16]
AIU、海外旅行保険加入者へのサービス拡充
AIUは、オリンピックの開催で今年7月から8月にかけて英国・ロンドンへの旅行者の増加が見込まれる中、通常の事故対応を受付ける「AIUアシスタンス・サービス」(24時間対応)に加え、現地での情報提供など海外旅行保険加入者へのサービスを拡充する。
開設時期は、7月27日から8月12日までの17日間で、現地のグループ関連会社(チャーティス)のオフィスを一時的に「AIUロンドンデスク」とし、同社の日本人社員が日本語で対応。保険金請求や保険事故対応のサポート、サービス提供などを行う。 |
[2012-05-15]
コープ共済連、震災受け、共済加入増加
コープ共済連は昨年度(3月20日時点)、CO・OP共済(元受共済)の加入者が730万人を突破した。CO・OP共済は、これまでも毎年右肩上がりの加入が続いており、昨年度は2007年度以来4年ぶりに元受共済の純増加入者が30万人を超えた。東日本大震災被災各県の多くの生協でも年間の加入目標を達成しており、共済推進本部の和田長太郎本部長は「全国の生協組合員に、生協の被災地支援に対する共感が広がったことや、生協職員が生協と共済の理念や意義を再認識したことも加入増につながった」と分析。昨年9月に販売を開始した終身共済《ずっとあい》も順調に契約を伸ばしている。
730万人超の内訳は、終身共済《ずっとあい》4万7488人(終身医療3万7707人、終身生命9781人)、医療共済《たすけあい》591万1867人、定期生命共済《あいぷらす》134万777人。
昨年度は、組合員の声を反映して初めて提供を開始した終身共済の推進に注力。共済推進スタッフや共済推進サポーターといった共済専任者を増強し、現場の担当者との連携も強化しながら取り組んだことが成果を生んだ。
また、終身共済推進のための「終身共済研究会」を一昨年10月、昨年4月、今年4月に実施。推進現場の報告や情報交換なども行い、進んだ取り組みを各生協に持ち帰って活用している。今年4月の研究会には、東会場(東京)で28生協68人、西会場(大阪)で26生協81人が参加。共済推進本部では「担当者が学習して、商品の良さを自分の言葉で組合員に伝えられることが最も重要だ。このような研究会は、今後も継続していきたい」との考えを示している。
終身共済の愛称は昨年組合員から募集し、2万5818件の応募の中からいつまでも続くという意味の「ずっと」と、既存共済商品の愛称(《たすけあい》《あいぷらす》など)に使われている「あい」を取り入れたいといった背景から「ずっとあい」に決定した。同名称には778人が応募しており、具体的には「終身なのでずっと愛が続くように」「ずっと(一生)保障(愛)が続くという意味で」「一生涯ずっと愛に包まれて安心して暮らしていけるよう」といった理由が多かったという。
今年度のプロモーションは、@生協組合員向けの「愛称決定記念クイズ」A愛称決定のお知らせチラシ(加入申込書付き)B加入者ニュース(《たすけあい》加入者には7月以降、《あいぷらす》加入者には9月末以降発送)C新規のチラシ(お薦めコースを絞ったチラシ=現在検討中)―などを用いて展開していく計画だ。
和田本部長は「昨年度は東日本大震災があり、全国からの支援が大きな力となった。被災地では、“共済加入を推進することが応援してくれた全国の生協への恩返し”との考えの下で取り組んだことが実績につながったと思う。今年は国際協同組合年でもあり、協同組合の力を一層発揮していきたい。終身共済については、全国の事例を共有しながら生協での推進方法を探り、14万7000件の年度末目標達成を目指す。《ずっとあい》単独の割り戻しを早期に実施できるようにしたい」と意欲を見せている。 |
[2012-05-14]
エヌ・エヌ・アイ、第1回新保険流通戦略研究会開く
保険代理店のサポートを行うエヌ・エヌ・アイは4月12日、東京都中央区の同社セミナールームで第1回新保険流通戦略研究会を開催した。当日は、宜安保険経紀有限公司(ギアン保険ブローカー)の裴漫玉(ペイマンユ)董事長が「中国の保険業界と日本の保険代理店―黄金の10年を迎える中国の保険業界―」をテーマに、中国保険業界の現状や保険ブローカーの実態などについて講演した。また、中国での営業方法や営業ルート、社員教育など海外における経営戦略について意見交換を行った。
第1回新保険流通戦略研究会では、冒頭、同研究会の事務局を務めるエヌ・エヌ・アイの新(あたらし)邦昭社長があいさつし、「近年、保険業界を取り巻く経営環境は厳しさを増し、保険代理店が生き残るためには海外にも目を向ける必要性がある。海外進出へのさまざまなノウハウや情報を提供し、少しでもお役に立てれば幸いだ」と述べた。
裴氏は中国保険業界の現状について、日本と中国のGDPや生損保の成長率を比較。GDPについては、日本が下落傾向にあるのに対して中国は伸びており、2050年には世界第1位になると予想されていることや、03年〜08年までの損保の年平均成長率が日本は1・0%に対して中国は26・7%、生保の年平均成長率も日本はマイナス0・3%なのに対して、23・7%と中国保険市場が飛躍的に成長している現状を説明した。
また、中国における保険代理店と保険ブローカーについては、その上位は大手企業系が占めているが、市場が急激に膨張していることから独立系の保険代理店や保険ブローカーが活躍する余地は十分にあるとし、今後は、法的な規制により保険会社や保険代理店、保険ブローカーの役割や市場での位置付けが明確化される方向にあることを明らかにした。
その後、参加者から中国で営業するに当たって注意している点や、個人消費者に対する営業施策などについて質問が出るなど、積極的に意見を交換。裴氏は「外資系企業の経営範囲は法律で定められているが、今後ますます保険市場が発展すると予想されている中で、医療保険やペット保険の普及の可能性があることや、法的な規制緩和によってダイレクト販売が可能となったことなどを踏まえると、海外進出を図るほかの業界と同様、日本の保険代理店や保険ブローカーも中国市場にもっと注目すべきである」と強調した。
同研究会では今後、「日本の保険代理店の将来を予測!『日本の保険業界の先行指標である米国保険流通業界の歴史と実態』」などをテーマに研究会を行っていく予定だ。 |
[2012-05-11]
三井住友海上とインターリスク総研、食の総合リスク対策でセミナー開催
三井住友海上とインターリスク総研は、5月28日午後1時半から5時まで(1時開場)、東京・神田駿河台のインターリスク総研本社6階会議室で、「食の総合リスク対策セミナー〜食品関連企業における重点課題解決のポイント〜」を開催する。
食品業界では、食中毒事故、製品回収が多発し、食品偽装を含めた不詳事は依然として後を絶たない。また、昨今では、人為的に食品に危険物質を混入させ、不特定多数に脅威・危害を加えることを目的とした食品テロも発生しており、食品リスク対策は食品関連企業にとって喫緊の課題となっている。
そこで、今回のセミナーでは、リスク管理部門、品質保証部門、製品開発部門などの担当者を対象に、昨今の食品事故や食品安全マネジメントシステム等の動向などを踏まえながら、現在、食品関連企業に求められている品質管理態勢や食品防御対策、危機管理対策などのポイントについて解説する。
当日のプログラムは次のとおり。
▽第1部「食中毒・異物混入防止対策」(インターリスク総研CSR・法務第一グループ上席テクニカルアドバイザー 笹川秋彦氏):昨今の食中毒事故事例、回収事故事例を踏まえ、HACCPシステムを基盤とした食品安全マネジメントシステムの概要、食品関連企業における実践のポイントについて解説する。
▽第2部「食品防御(フードディフェンス)対策」(インターリスク総研CSR・法務第一グループ上席コンサルタント 井上知己氏):実際に発生した食品テロ事例などを踏まえ、フードディフェンス対策(悪意に基づく食品汚染への対策)を強化するための方策や取り組み手順のポイントについて解説する。
▽第3部「食品事故発生時の緊急時対応策」(インターリスク総研CSR・法務第一グループ長上席コンサルタント 田村直義氏):過去の食品事故事例などを踏まえ、事故発生に備えた危機管理態勢整備および事故発生時の緊急時対応のポイントについて解説する。
参加費無料。定員80人(先着順で定員に達し次第、受付を締め切る)。同セミナーに関する問い合わせはインターリスク総研CSR・法務第一/第二グループ(電話03・5296・8912、ファクス03・5296・8941)まで。 |
[2012-05-10]
損保協会、一般社団法人に移行
損保協会(隅修三会長)は、4月1日付で一般社団法人に移行した。これは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」に基づき、内閣総理大臣の認可を得て行ったもの。
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[2012-05-10]
大同生命、「Jワイド特約」「Jタイプ」発売
T&D保険グループの大同生命は、2010年10月に発売した無配当重大疾病保障保険「Jタイプ」に対する顧客の要望に応え、6月1日から「Jワイド特約」と「Jタイプ(無解約払戻金・無死亡給付金型)」を発売し、ラインアップを拡充する。「Jタイプ」は、中小企業経営者が予期せず重大疾病に罹患(りかん)し、長期の就業不能となった場合の企業の運転資金や借入金返済資金などとして、最大1億円の保障を準備できる商品。この「Jタイプ」に、比較的軽度な上皮内がんなども保障する「Jワイド特約」を付加することで、より幅広く重大疾病保障を準備できる。また、Jタイプ(無解約払戻金・無死亡給付金型)」は、現行の「Jタイプ」から解約払戻金などをなくすことで、より低廉な保険料を実現した。
同社では、「中小企業のお客さまに“最高の安心”と“最大の満足”をお届けする生命保険会社」を目指し、中小企業の永続的な発展に役立てるよう取り組んでいくとしている。 |
[2012-05-09]
三井住友海上、労働災害総合保険で新特約と新割引
三井住友海上は、6月1日以降保険始期の労働災害総合保険について、コンサルティング費用補償特約と総合リスク診断評価割引の取り扱いを開始する。
同社では、新商品を積極的に提案していくことで、初年度約5億円の販売を見込んでいる。
労働災害が発生した場合、企業の使用者責任を果たすため、@労働災害で生じた問題を解決することA労働災害を発生させないための対策を行うこと―が必要だ。自社だけでこれらの対応を行うことは難しく、専門家のサポートが必要不可欠な場合が多いことから、同社では、労働災害が発生した場合の社会保険労務士への相談・書類作成費用や労働災害の再発防止のためのコンサルティング費用などの実額を補償限度額(注)を上限に補償する特約を開発したもの。
一方、総合リスク診断評価割引では、総合リスク診断評価シートの約20項目の質問に回答することで、最大50%の割引を適用する。この割引は、政府労災保険の全業種を対象に、補償条件にかかわらず適用され、多くの場合で、従来よりも高い割引率が適用できる仕組みになっている。また、同シートについて、質問項目を簡素化させることで顧客の利便性を向上させている。
(注)被用者が死亡の場合は1人につき100万円、それ以外の身体の障害は1人につき10万円、1回の災害につき合計100万円が限度額となる。 |
[2012-05-08]
オリックス生命、がんの保障手厚くする2特約
オリックス生命は、6月2日から、がんの保障を充実するため、がん診断治療給付金特約と、がん通院特約の販売を開始する。
がん診断治療給付金特約は、初めてがんと診断されたとき、またはがんの治療を目的とする入院を開始したときにがん診断治療給付金を支払う特約で、「医療保険(2007)[キュア]」「医療保険(2007)[キュア・レディ]」に付加できる。
一方、がん通院特約は、がんの治療を目的として通院したときにがん通院給付金を支払う特約で、「医療保険(2007)[キュア]」「医療保険(2007)[キュア・レディ]」「新がん保険(2010)[ビリーブ]」に付加できる。
医療技術の進歩に伴い、がんは早期発見、早期治療により治せる時代になりつつある。また、治療方法も、入院ではなく通院による治療が増加している。今回、2特約をラインアップに加えることで、顧客の選択肢が広がり、ニーズに合わせて保障を手厚くすることが可能になる。
これにより、「医療保険(2007)[キュア]」「医療保険(2007)[キュア・レディ]」では、手ごろな保険料で、通常の医療保障のほかに、がんと診断されたときや、がんで約款所定の通院をしたときに給付金を受け取れる。「新がん保険(2010)[ビリーブ]」は、がん初回診断一時金とがん治療給付金のダブル保障に加え、がん通院特約を付加することにより、入院から通院へとシフトする最新の医療事情にマッチした商品となる。 |
[2012-05-02]
生保協会、郵政民営化改正法成立で見解表明
生命保険協会の筒井義信会長は4月27日、「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」の成立を受けて、次のようなコメントを発表した。
生保協会はかねてから、郵便保険事業の見直しに当たっては、健全な生命保険市場の発展の観点から、同種の業務を営む事業者との適正な競争関係を阻害しないための「公正な競争条件の確保」と引き受け・支払いなどの「適切な態勢整備」が実現しないのであれば、かんぽ生命の加入限度額引き上げや業務範囲の拡大は容認できない旨、繰り返し主張してきた。
4月27日、郵政民営化法等の一部を改正する等の法律(以下、改正法)が成立したが、改正法の成立を踏まえた生保協会の考え方について、以下のとおり表明する。
1.かんぽ生命への間接的な政府出資について
改正法では、政府が日本郵政の株式の3分の1超を常時保有するとともに、日本郵政はかんぽ生命の株式のすべての処分を目指し、できる限り早期に処分することとされているが、この点、完全民営化に向けた一定の配慮は見られるものの、政府出資が続き「政府が何らかの支援を行うのではないか」との消費者の認識が生ずるような状態では、「公正な競争条件」が確保されない懸念がある。従って、日本郵政の事業計画において、かんぽ生命の株式の完全処分につき適切な期限を定めるなど、かんぽ生命への間接的な政府出資の解消に向けた取り組みが速やかに進められるべき。
2.かんぽ生命の業務範囲拡大の手続きと加入限度額について
改正法では、かんぽ生命の業務範囲拡大の手続きについて、日本郵政がかんぽ生命の株式の2分の1以上を処分した後は認可制が届出制へ移行することとされているが、その場合も郵政民営化委員会による対等な競争条件の確保などのための事前検証・評価、関係大臣による是正命令権限の迅速な行使、郵政民営化委員会の公平・中立な運営など、公正な競争条件を阻害しないための取り組みが不可欠と考える。
また、かんぽ生命の加入限度額について、附帯決議では「当面は引き上げない」旨の考え方が示されているが、加入限度額の引き上げは、間接的な政府出資が解消されるまで認められるべきではない。
業務範囲と加入限度額などに関する規制についてはそもそも、日本郵政がかんぽ生命の株式の2分の1以上を処分した後は、内閣総理大臣と総務大臣の決定によりすべて撤廃できることとされているが、かんぽ生命への間接的な政府出資について適切な期限を付しての解消が義務付けられておらず、また、公正な競争条件が確保されない中では、関係大臣の決定による規制の撤廃は容認できない。
3.日本郵政などへのユニバーサルサービスの義務付けとそれに伴う「必要な措置」について
改正法では、日本郵政と日本郵便に生命保険のユニバーサルサービスを義務付けるとともに、政府はユニバーサルサービスの確保が図られるよう「必要な措置」を講ずるとされているが、例えば「郵便保険会社が日本郵便に業務委託する際に支払う手数料に係る消費税の非課税措置の創設」など、ほかの民間生命保険会社にはない優遇措置を講ずることは、生命保険業界における「公正な競争条件」を阻害するものとなるため、認められるべきではない。
生保協会としては、郵政民営化の本来の趣旨が実現されるよう、引き続き関係各方面で十分な取り組みがなされることを強く要望する。 |
[2012-05-01]
特別企画講演会、「東日本大震災と保険業界の一年」開催
損保総研、日本代協、保険毎日新聞社は3月19日、東京都千代田区の損保会館大会議室で、特別講演会「東日本大震災と保険業界の一年」を開催。生保協会の椿雅実総務部長、損保協会の栗山泰史常務理事、日本代協の岡部繁樹会長、金融庁監督局保険課の鮫島大幸課長補佐の4氏が講演した。東日本大震災がもたらした空前の大災害に保険業界がどのように取り組んできたかを振り返るとともに、今後の課題をあらためて確認した。当日は生損保業界をはじめ、保険代理店、共済関係者ら約250人が参集し、講演に熱心に聞き入った。
冒頭のあいさつで損保総研の濱筆治理事長は「この1年は保険業界にとって大変な1年だった。社員や代理店の皆さんも、被災者の役に立ち、安心をお届けするという使命感で奔走した。この講演会を保険業界が危機対応力をさらに高める機会にしてほしい」と述べ、また、保険毎日新聞社の真鍋幸充社長は「今回の震災を受け、膨大な保険金の支払い処理を短期間で的確にやり遂げた日本の保険業界に比肩する例はほかにない。この業績が将来適切に評価されるためにも報道を続けていきたい」と述べた。
【生保業界:業界内外で積極的な連携を図る】
災害地域生保契約紹介センター長も務める生命保険協会の椿総務部長は「東日本大震災に対する生命保険業界の取り組み」と題し、情報のプラットフォームの役割を持つ生保協会が震災に当たってどのように取り組んだかを説明した。
生保協会の大地震対策要綱は1984年に策定され、95年の阪神・淡路大震災を受けて改定された。東日本大震災を受けて生保協会では、即時対応と中長期的対応を整理した上で、それらを段階的に実施。また、協会長、副会長が早い時期に現地を訪問して実態を確認したことが、的確で迅速な判断に結び付いたと述べた。
義援金は生保協会の3億円をはじめ、各社累計で25億円。そのほか、現地からの要望に応じた物的支援や、現地支社への応援スタッフやボランティア派遣などの人的支援も行った。さらに、20年前から地方生保協会が行っている活動の延長として、30台の福祉巡回車を被災3県計23カ所の社会福祉協議会に寄贈した。
また、安心感の提供を目的とした各種施策も実施。生保各社が地震免責条項の不適用を決めたほか、保険料払込猶予期間の延長を行い、約23万件の契約が対象となった。生保会社によっては、契約者貸し付けの特別金利の設定(32社)や被災地企業への返済猶予・返済条件の変更といった措置を取っている。さらに、着のみ着のままの避難に加えて、津波で書類などが流出した可能性を踏まえ、支払いなどに必要な書類の一部を省略した手続きを可能としたほか、役所や病院も被災したことに配慮し、保険金・給付金支払時の提出書類の一部省略や「みなし入院」などの特別取り扱いも実施した。椿氏は「生保協会が主導的役割を果たすことで、こうした施策をスムーズに進めることができた」と強調した。
これらの即時対応に続く中期的な対応としては、顧客からの照会や請求手続きに関するものが挙げられる。今回の震災では津波により家屋などが流出したり、契約者・被保険者・受取人が同時に死亡あるいは行方不明となった場合も多く、遺族や法定相続人が、亡くなった被保険者の生命保険加入の有無や加入生保会社を知らないケースが多数生じることが想定された。そのため、会社の枠組みを超えた業界全体で、契約の有無に関する調査体制を整備し、災害地域生保契約照会制度を4月1日から開始。3月15日現在、3647件・延べ6411人についての照会を受けたが、そのうちの63%に当たる4062人分の契約が判明した。
そのほかにも相談対応として、各社コールセンターや生保協会の生命保険相談所・地方連絡所、避難所の出張窓口などでも相談の受け付けを行った。一方で、避難の広域化と長期化を踏まえ、各種取り扱いの周知や連絡の必要性からさまざまな告知活動を展開したほか、個別訪問やアウトバウンドコール、メール、DMなど複数の連絡手段により、3月14日現在で東北3県の顧客延べ293万人のうち99・97%について安否確認を完了した。椿氏は「安否確認作業の中でアウトバウンドコールや通知発信など、各社で有効だった取り組み事例などを協会が定期的なアンケートにより集約し、業界内で共有化したことが役立った」とした。
また、確実に保険金を支払うため、警察発表と会員会社の情報、災害地域生保契約照会センターの情報を集約した業界共通データベースで被保険者に関する死亡情報を共有。被保険者と保険金受取人の両者が死亡している場合に法定相続人を特定して保険金請求の案内を行うため、生命保険会社が直接、行政当局に戸籍・住民票の開示請求ができるように要望し、承認を受けた。行方不明者の取り扱いについては、金融庁を通じた要望を受けて法務省が死亡届の簡易取り扱いに踏み切ったことから、生保協会のワーキングチームメンバーが被災地の市町村役場を訪問し、実務の確認などを行い、保険金支払い実務が円滑に行えるよう対応した。また、震災孤児への適切な保険金支払いや支援に向けて未成年者生保支援ネットワークを構築し、行政機関や地方弁護士会などとの連携を進めた。こうした取り組みの結果、3月14日までに1万9969件、1521億8550万円の死亡保険金が支払われている。
これらの取り組みを踏まえて椿氏は、今後の課題として、@残る0・03%の契約者の安否確認や、保険金請求をまだ行っていない顧客に対する保険金支払いの完遂A保険料払い込み猶予措置を取った23万件のうち、分割払い込みなどの措置が続いている約4万件への適切なフォローの継続B復興・復旧に向けた貢献C災害地域生保契約照会制度の今後の災害時活用を見据えた継続Dさらなる迅速・確実な支払いに向けた大地震対策要綱の改定とマイナンバー制度の活用E生命保険の意義についての一層の啓発―の6点を挙げた。
【損保業界:協調と競争のバランスで迅速な支払い実現】
損保協会の栗山常務理事は「東日本大震災における損害保険業界の取り組みと今後の課題」と題し、地震によるものとしてはこれまで最大の保険金支払額となった東日本大震災に業界がどのように対応し、その結果としてどのような課題が明らかになったかを解説した。
栗山氏によると、今回の損保業界の取り組みは、@中央と現地の迅速かつ適切な連携による新たな施策の導入A施策導入における一致団結した協調と迅速かつ親切な支払いの競争Bマスコミへの適切な情報発信を通した損保業界の取り組みへの理解―の3点から高く評価されたという。地震保険金は3月12日現在では76万4398件、延べ1兆2185億円に上っている。
東日本大震災は、1966年に地震保険制度が創設されて以来、損保協会が初めて「大規模震災」と認定して対応体制を取った地震となった(阪神・淡路大震災は「中規模震災」)。協会では震災当日に損保協会本部に「地震保険中央対策本部」、東北支部(仙台)に「地震保険現地対策本部」を設置して損害処理に備えるとともに、政治・行政・マスコミとの調整を行った。
相談対応については、ポスターやチラシを作成して代理店や現地支社の協力の下に周知を徹底したほか、広告やラジオによる相談窓口の告知も行った。さらに、被災地では現地社員の自主的な判断で、契約している保険会社が分からない顧客のために会社の枠を超えた情報提供が行われていたことを受けて、会員各社に自社契約者以外の相談についても適切な対応を行うよう徹底。3月19日には「契約会社照会制度」を設置、3月28日からはフリーダイヤルによる対応を開始した。4月以降は、地震保険の支払いだけでなく、それ以外の保険の払い戻しや解約も視野に入ってきたため、この点についても会員各社が受け付けることで被災者の負担を軽減。そのほか、代協などと協力した相談・出前の金融相談窓口など、被災者からの相談に対応する機会の提供に努めた。
また、損害調査においては、全損認定地域の策定、津波や液状化などについての基準の明確化、顧客の自己申告に基づく書面調査の導入など新たな施策を実施した。栗山氏は「損保各社が業界共通の基準を順守した上で、対応の迅速性でサービスの質を競ったことは、今後の業界の在り方を考えるに当たり重要だ」と強調。加えて、「阪神・淡路大震災時の経験を踏まえ、各種の特別措置が震災当日に決定されたが、そうした情報を業界として積極的に発信し、マスコミ取材に迅速に応じるほか、悪い情報も隠さず伝えることで、社会の不安や不信を払しょくすることに成功した」との見解を示した。
栗山氏はさらに、外部調査による保険金支払い結果の分析レポートについて報告。相談や損害調査についてはほとんどの顧客が満足とした一方で、調査方法や支払い基準、保険金額などに関しては相対的に不満の割合が高かったことを明らかにした。
また、被災者を支える被災者生活再建支援金(公助)、義援金(共助)、地震保険金(自助)の三つの柱の一つとしての地震保険金の重要性を指摘。その用途が、建築修繕費だけでなく、自動車や飲食料の購入、娯楽費などの生活関連費用にも使われていることから、生活安定のための費用保険としての性質を示していると結論付けた。
今後の課題として栗山氏は「地震保険金の支払いの完遂と一層の普及促進のほか、業界内で“37の課題”を策定し、今回の実務を通して明らかになった調査や相談体制、対応品質の向上、BCPなどについて見直し、さらに質の高い対応ができるように準備していく必要がある」とするとともに、「次に災害が起きた時は、少なくとも今回と同じレベルの対応が出発点となる。後戻りは許されない」と強調した。
また、個人的な考えと前置きした上で、地震保険の役割分担を官民の間で適切なものとすべきと指摘。4月2日から地震負担の民間負担額が変更されることにも触れながら、地震保険は一度支払いが発生すると、その規模の大きさから民間のキャットボンドや再保険では対応し切れないとして、政府が再保険を引き受けるかどうかが地震保険制度の生命線だとの考えを示した。その上で、地震保険は自助の原則に基づき、民間も政府もノーロス・ノープロフィットで、赤字になった際に国の会計からの一時的な借り入れは行うが、税金の投入や利益収入を前提としていないという基本理念を説明。契約者の希望を満たす自助の保険として補償内容などの改善を行う一方で、改善の結果、保険料が高騰して保険加入を断念する人が出る事態を避けることが大切だと訴えた。
【保険代理店:地域社会の要として】
日本損害保険代理業協会の岡部会長は「東日本大震災の教訓〜地域社会のために代理店ができること」と題し、震災の経験を生かしてこれから代理店が地域社会の中で目指す役割について解説。最初に、自ら被災しながらも社員一丸となって保険金支払いに奔走した岩手代協会員を取材したドキュメンタリーを上映した後、保険金の早期支払い実現の背景にあった各代理店の取り組みを紹介した。宮城県代協では1994年の三陸沖地震を契機に地震対策委員会を設け、地震保険の普及を図った結果、同代協会員の地震保険付保率は8割を超えていたことで、今回の保険金支払いが多くの顧客の生活再建の支援につながったことを紹介。また、保険金支払い業務への注力、友人、親戚、紹介者など独自のネットワークを駆使して契約者を探し出すなど、日常の取り組みが有効に働いたケースが多くあったことや、その一方で、契約時の説明を問われたり損害認定についての不満を訴えられたケースもあったなど、代理店の困難と苦悩は並々ならぬものがあったことを強調した。
岡部氏は「こうした被災地代理店の経験を通して全国の代理店が自分たちの仕事の原点をあらためて認識した」と述べ、代理店は保険会社と連携し、契約者と地域社会をリスクから守るリスクマネジャーとしての責任と同時に、地域に貢献し、契約者を守ることで自らも生かされるという両面性を指摘。「震災で得た教訓を今後の事業に継承していくことと、リスクの専門家として防災・減災に貢献していくことの二つがこれからの代理店に求められる」との考えを示した。
岡部氏はまた、地震保険の普及に努める立場から、現地の代理店や顧客の生の声を踏まえた意見・要望として、@損害区分の細分化A補償水準の引き上げB保険料体系の変更(区分の精緻(せいち)化と一律化の両方の意見がある)C損害調査の代理店への委託(損害保険大学課程への組み込みなど)D損害処理基準の明確化E自動車の補償F中小企業の事業資産を補償の対象にG防災・減災の視点から免震・耐震建築物の保険料割引などによる推進H地震保険を火災保険とは別個に契約可能にする、もしくは火災保険の一般条項に取り込む―の9点を挙げ、今後の地震保険制度改革に向ける決意を示した。
こうした一連の実情を踏まえて岡部氏は「地域に根差す代理店の価値は、保険商品にとどまらない幅広いリスク解決策の提供により、地域の防災力を高めると同時に、災害が起こった後も保険金の支払いだけでなく、自分たちのネットワークを生かして顧客を総合的に支えることの両面から生まれる」と強調。「リスクに関する専門的知識と、自営業として多くの顧客と取引する立場を生かし、地域のネットワークの中心、リスク管理の推進役として活動していくことが大切だ」と述べた。
【金融庁:業界との連携軸に対応推進】
金融庁監督局保険課の鮫島課長補佐は「大震災への行政としての対応」と題し、行政の立場から大震災への対応を振り返った。95年の阪神・淡路大震災当時の対応など、過去の対応例について幅広く情報収集しながら対応したこと、当初より保険会社からさまざまな情報提供を受けたこと、震災発生の3月11日、金融上の措置についての声明が自見庄三郎特命担当大臣と白川方明日銀総裁の連名で、「当局からの強いメッセージ」として発信されたことを明らかにした。
また、業界との意見交換の中で、苦情・不満に一つ一つ対応することの大切さを認識したとするとともに、迅速で適切な支払いを進めることを国民に伝えて安心感につなげることが重要との考えから、損保協会と積極的に意見交換を行ったほか、国会などから地震保険の支払い能力に関する質問を受けた際には、準備金は十分な水準にあり、支払いには問題ないとの答弁を行ったこと、損保各社に迅速な情報提供を依頼したこと、これに呼応して損保業界からは50項目を超える規制緩和の要望が出たことを受けて、契約者自身の写真提出による損害査定を実現したことなどを説明した。
一方、火災保険や自動車保険の免責条項により保険金が支払われないケースについて多方面から改善を求められ、その結果、全損車両については一時金で50万円までを支払う特約商品が開発され、今年1月に発売されたことについて、鮫島氏は「災害を踏まえて必要な商品が開発・販売されたのは良い流れだ」と評価した。
また、原発事故に伴う避難区域内の査定などに関しても損保業界から意見を求め、立ち会い調査なしに一時帰宅時の自己申告で査定を行う制度の導入や、液状化の査定基準の明確化などの施策に結び付いたことなどに言及した。
一連の動きを振り返って鮫島氏は「金融庁と損保協会が日夜を問わず密接な情報交換を行った上で、行政側から一方的な介入を行うのではなく、業界側からの提案を受ける形で対策を進めたことが功を奏した」と強調するとともに、「損保協会を中心に業界全体が真摯(しんし)にマスコミに対応した結果、世論からも業界を支援する空気が生まれたのが大きかったのではないか」と述べた。
また、今回の大震災で示された損保各社の危機管理能力の高さを賞賛した鮫島氏は「地震保険制度の改善については、今後とも契約者の利便性と損保会社が支払いに耐えられる仕組みとなるよう、見極めていきたい」との考えを示した。 |
[2012-05-01]
日本興亜損保、「トッピング保険」発売
日本興亜損保は、潟Wェーシービー(川西孝雄社長)とJCBのフランチャイズ会社などが発行するJCBカード会員向けに、「トッピング保険」の提供を4月26日から開始した。同商品は、JCBカードの付帯保険でカバーされていない補償を希望する会員に有償で提供する保険で、インターネット上で、住所などの入力の手間がなく、24時間・365日加入手続きが可能な上、加入手続き完了後は翌日から補償が開始するため、レジャーなどの予定に合わせて急に保険加入を希望する場合にも便利な保険。
JCBカード会員から以前よりJCBに対して「JCBカードの付帯保険でカバーされていないリスクを補償する保険がほしい」「簡単に申し込みができて、すぐに補償が受けられる保険がほしい」といった要望が寄せられていた。そこで、これらの要望に応えるため、JCBと日本興亜損保が共同で、JCBカード会員専用のインターネットサービス「My JCB(マイジェーシービー)」を経由して加入を可能にするスキームを開発したもの。
「トッピング保険」では、@携行品プランA旅プランB日常生活賠償プランC自転車プランDゴルフプラン―の五つのプランを用意。各プランとも傷害保険をベースとして、プランごとのコンセプトに合わせた設計を行っている。また、いずれも保険料が月400円以下と少額の保険で、例えば月額わずか130円の保険料で最大1億円の個人賠償責任が補償される「日常生活賠償プラン」など、少額な保険料で高額な補償が受けられるプランも取り揃えている。今後も、保険料は少額ながら補償内容の充実した商品ラインアップの拡大を予定している。 |