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どんどん変わっていく保険と金融。
今年は新製品も多く、目が離せません!
FPからのアドバイスも注目。新しい保険の時代がはじまります。
                                                  
[2016-02-29]
 損保協会が16年度の自賠責運用益拠出事業を発表、高齢者対策事業を拡充

 損保協会は2月19日、業界紙向け定例記者会見を行い、2016年度自賠責運用益拠出事業を発表した。新規の3事業を含め38事業に総額19億6748万6000円を支援する。特に、高齢者の自動車事故防止と被害者救済に関する事業への支援に注力する。また、障害者差別解消法が4月に施行されるのを受け、業界ベースでの対応を検討し、基本方針を同協会ホームページに公表した。
 16年度の自賠責運用益拠出事業は、高齢者の自動車事故防止や被害者救済に関する事業への支援を拡充する一方、交通事故無料法律相談事業や交通事故防止用機器の寄贈事業への支援を削減する。新たに@地域住民との協働による高齢者交通事故防止のためのモデル事業(NPO法人安全と安心 心のまなびば)A高次脳機能障害者支援における多職種連携に関する研究(神奈川工科大学)B脳外傷・脊髄損傷患者に対する経頭蓋磁気刺激を併用したリハビリテーションによる運動機能改善効果の検証に関する研究(千葉県身体障害者福祉事業団)―の3事業を追加する。
 1月21日に金融庁で行われた自動車損害賠償責任保険審議会には、同協会自賠責保険特別委員会の大川畑文昭委員長が出席し、自賠責運用益拠出事業案の内容や、自賠責診療報酬基準案について山梨県医師会との間で合意に至り、全都道府県の地区医師会の合意を得たことを報告した。また、同審議会では、基準料率を据え置くこと、回送運行許可証の有効期限が12カ月から60カ月に延長されるのに伴い商品自動車の保険期間を60カ月まで追加することが承認された。
 一方、4月から障害を理由とする差別の解消を推進する障害者差別解消法が施行されるのを受けて、同協会では、例えば契約締結や保険金支払いの際の代筆をどう扱うかについて業界ベースでの対応を検討するとともに、基本方針をホームページに公表した。
 会見ではこの他、東日本大震災発生から5年が経つことを契機に、リスク認識や防災・減災意識の向上を図る「東日本大震災5年シンポジウム」を東京で開催することや、防災・減災に役立つ消費者向け啓発活動について報告した。東日本大震災5年シンポジウムでは、首都直下地震など巨大自然災害への備えについての基調講演の他、被災地ボランティアや防災活動に取り組んでいる大学生を交えたパネルディスカッションを行う予定。


 
[2016-02-26]
 損保ジャパン日本興亜が埼玉県と協定、防災啓発など17分野で連携

 損保ジャパン日本興亜は2月16日、地方創生など県民サービスの向上、地域の活性化に関する取り組みで、相互の協力が可能な分野を推進するため、埼玉県と「埼玉県と損害保険ジャパン日本興亜株式会社との連携と協働に関する協定」を締結した。埼玉県が損保会社と包括連携協定を締結するのは今回が初めて。また、同社が都道府県と幅広い分野での包括的な連携協定を締結するのも今回が初めてとなる。
 同協定は、同社と埼玉県が、防災啓発や交通安全など幅広い分野での緊密な相互連携と協働により、県民サービスの向上、地域の活性化に取り組むことが目的。@防災啓発イベントにおける連携A自転車や高齢者の交通安全施策に係る事業連携B埼玉県の文化・芸術施設などと東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館との連携―の三つの事業を中心に、同社の強みや特徴が生かせる17分野で業務連携を行う。
 同社では、「市民、行政、NPOなどとの地域の課題解決に向けた協働を通じ、持続可能な社会づくりに貢献をすること」をCSRの重点課題の一つとしていることから、県内トップシェアの損保会社として、安心・安全・健康の分野を中心に地域と産業の安定的な繁栄を支援するノウハウを生かし、県民サービスの向上と地域の活性化に貢献するため、包括的な連携について提案し、協定に至ったとしている。


 
[2016-02-25]
 生保協会が「長寿安心年金」創設提言、ドイツのリースター年金模範に

 生命保険協会の筒井義信協会長は2月19日に行われた日銀記者クラブの定例会見で、社会保障制度改革に関して、公的年金を補完する「長寿安心年金」の創設を提言した。これは協会長就任会見で掲げた注力施策の一つ、持続可能な社会保障制度の構築に向けた取り組みに対応するもの。今後は関係各所との連携を図りつつ、実現に向けた議論を深めていく方針だ。
 筒井協会長は「長寿安心年金」提言の背景について、少子高齢化が進展する中、老後の生活の柱である公的年金が中長期的に給付水準の調整を見込まれていること、また、公的年金を補完する企業年金や個人年金といった私的年金も歴史的な低金利下でその機能が低下している点を説明。ドイツが2002年に導入したリースター年金を模範に、特に低・中所得者が生涯にわたる年金を安定的に確保するための私的年金制度として「長寿安心年金」の創設提言に至ったと経緯を紹介した。
 同制度は国民年金の保険料納付を加入要件とすることを盛り込んでおり、国民年金そのものの納付率向上にも寄与したい考えだ。筒井協会長は「今回の提言はあくまで基本形を提示した段階だが、長期的な視点で関係各方面としっかり課題を共有し、議論を展開していく」と今後の見通しを語った。
 同会見では「保険教育に関する生命保険業界の取組事例集」のリリースについても報告した。同事例集は自助努力の役割や重要性への理解を促すことを目的に会員各社の具体的な取り組み事例を取りまとめたもので、各社の取り組み事例を共有し、各取り組みを支援することで業界全体の取り組みを推進していく方針だ。また、さらなる保険教育機会の充実に向けて学校教育現場での保険教育機会の拡充をテーマとした報告書を4月に提示すると説明した。
 この他、質疑応答で記者から日銀によるマイナス金利政策についての考えを求められた筒井協会長は、保険商品と資産運用の両面で非常に厳しい環境が当面続いていくとの見方を示し、資産運用について「外債へのシフトが主にならざるを得ないのではないか」と述べた。その一方で、政策に対しては「世界的にリスクオフ傾向が高まっている中で物価上昇トレンドを逆戻りさせないという非常に強いコミットを感じさせるもの。業界としては非常に厳しい環境下に置かれることは事実だが、保険商品も資産運用も、もっと創意工夫を凝らせということだと受け止めている」と前向きな姿勢を示した。


 
[2016-02-24]
 明治安田生命がみずほ銀で「ゆめの階段」を販売

 明治安田生命は、3月1日からみずほ銀行で、顧客の多様なニーズに応える平準払終身保険「ゆめの階段」(5年ごと利差配当付逓増終身保険〈低解約返戻金型〉)の販売を開始する。
 「ゆめの階段」は、死亡保険金額が一定期間増加する終身保険であると同時に、顧客の中長期にわたる幅広い資産形成ニーズにも応えることが可能な保険。「ゆめの階段」は、みずほ銀行での販売名称で、同行以外の取扱金融機関では、「しあわせの階段」「コツコツ持続成長ジャンプ」の販売名称で販売している。
 同商品の主な特徴は次の通り。
 ▽被保険者が死亡したとき、基本保険金額(注1)に、保険年度(注2)に応じた所定の率を乗じて得られる金額を死亡保険金として支払う。
 ▽被保険者が、責任開始時以後に発病した疾病または発生した傷害によって身体障害表の第1級の障害状態に該当したとき、高度障害保険金として、死亡保険金額と同額を支払う。
 ▽契約日の1年後から一定期間、基本保険金額の20%(単利)ずつ毎年死亡保険金額が増加し、その後一生涯にわたり万一の保障を準備できる。
 ▽契約時に、死亡保険金額が基本保険金額の2倍まで増加する「2倍型」と、基本保険金額の3倍まで増加する「3倍型」から選べる。契約後、契約の型を変更することはできない。
 ▽解約返戻金(注3)を活用することで、子の教育資金や老後の生活資金の準備など、顧客の中長期にわたる幅広い資産形成ニーズに対応できる。
 (注1)保険契約締結の際、明治安田生命の定める金額の範囲内で、保険契約者の申し出によって定めた金額のことをいう。
 (注2)契約日または年単位の契約応当日から起算して、次に到来する年単位の契約応当日の前日までの1年ごとの期間をいう。
 (注3)この保険は、保険料払込期間中は解約された場合の返戻金の額を低く設定しており、保険料払込期間中に解約された場合に支払う返戻金の額は、返戻金の額を低く設定しない場合の7割となる。


 
[2016-02-23]
 大同生命が「設計書[契約概要]」でUCDA認証「伝わるデザイン」を取得

 大同生命はこのほど、一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)から、「複数の保険商品を組み合せた複合設計書など全13種類の設計書[契約概要]」で、分かりやすさのUCDA認証「伝わるデザイン」を取得した。
 同設計書は、@リスク・商品別に基調カラーを設定し、保障内容を一目で識別A文字の大きさや行長に配慮して分かりやすさを向上B自動冊子化によりページの抜け落ちや入れ違いを防止C読み上げて説明する部分や注意事項をピクトグラム表示し視認性を向上D契約のしおりの該当ページを掲載し、詳細情報を参照方式とすることで、情報過多を抑制―といった点が特長。優れたコミュニケーションデザインを表彰する「UCDAアワード2015」の「情報のわかりやすさ賞」の受賞に続き、顧客にとって「見やすい、分かりやすい、伝わりやすい」書面であるとのUCDAの評価基準を満たしての認証取得となった。
 同社は、2014年度から高齢の顧客に「分かりやすく利便性の高いサービス」を届ける「ベストシニアサービス」を推進し、顧客応対品質の向上に全社をあげて取り組んでいる。
 この取り組みの一環として顧客向けの帳票・画面の改善を進めており、15年9月に認証取得した申し込み手続き画面などに続いての認証取得となる。


 
[2016-02-22]
 太陽生命が新商品「働けなくなったときの保険」を発売、収入減や生活費の不安に備え

 太陽生命は、働けなくなった際の収入減などの不安に備える新商品「働けなくなったときの保険」を3月に発売する。
 同商品は、三大疾病(がん・上皮内がん、急性心筋梗塞、脳卒中)や不慮の事故による傷害を原因として、入院または同社所定の就業不能状態が30日継続した場合に給付金を支払うのが特長。また、所定の就業不能状態が30日継続するごとに150日継続まで(累計5回)給付金を支払う。
 さらに、公的介護保険制度の要介護2以上に認定されたとき、または、同社所定の就業不能状態が180日継続したときに年金を支払う。死亡・高度障害の場合も保障する。
 近年、病気やけが、親の介護などにより働けなくなったときの収入減や日々の生活費負担などに不安を感じる人が多くなっている。
 生保文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」では、実に約8割の人が世帯主が就労不能になったときの生活資金に対する経済的備えについて不安を感じているとの結果が出ている。また、女性の社会進出に伴って、女性の収入が家計に占める割合も大きくなってきている。同社では、このような不安に備えて安心できる商品を開発したとしている。


 
[2016-02-19]
 損保ジャパン日本興亜の外国人旅行客向け保険、海外での販売が拡大、日本到着後契約の保険も発売へ

 損保ジャパン日本興亜の外国人旅行客向けの保険販売が拡大している。2015年6月に発売した中国の通販旅行保険「愛旅」の昨年末時点での契約件数は2万7479件で収入保険料は267万元(4694万円、1元=17.58円換算、以下同じ)となっている。また、2月末に発売予定の訪日後に加入するタイプの旅行者向け保険では、東京オリンピック・パラリンピック開催の20年までに販売件数50万件、収入保険料15億円を目指す。
 「愛旅」は、損保ジャパン日本興亜(中国)が中国最大手インターネット(ネット)通販型旅行代理店の南京途牛科技有限公司(途牛網)と提携して提供している。パックツアーの商品と組み合わせて、損保ジャパン日本興亜の海外旅行傷害保険(海旅)を中国全土で販売している点が最大の特徴だ。
 旅行の申し込み手続きの1項目として海旅の加入を促しており、契約漏れ防止、手続きの簡素化、リーズナブルな保険設計(7日間の旅行で70人民元〈1231円〉)を実現している。
 同社では「中国で、ネット型通販旅行サイトを通じた海旅を販売する日系損保会社は当社だけ。中国ではネットの利用人数が14年末時点で6億5000万人に達し、今後さらに増加が見込まれるためネットでの販売としているが、従来の旅行代理店を介した販売も検討中」と話し、今年は件数4万件、収入保険料340万元を目指している。
 「愛旅」は、15年11月に旅行の対象国に韓国も加えており、今後さらに広がる可能性がある。また、同社は、訪日客向け海外旅行保険のネット販売をシンガポールやタイでも開始しており、両国での累計販売件数は1000件を超えた。
 一方、国内で販売する訪日客向け旅行保険は、日本入国後に加入でき治療費用補償に特化した商品。英語、中国語、韓国語に対応していることで訪日客の7〜8割をカバーする。外国人旅行者がスマホなどからネットで加入でき、具体的には、保険金額が1000万円、保険期間が1週間程度、保険料は3000円程度になる見込みだ。
 同商品の認知度アップに向けては、空港やホテル、鉄道・バスなどの交通機関、旅行会社での「保険加入サイト案内チラシ」の設置や配布などを行う予定で、「チラシに掲載したQRコードを読み取って簡単に手続きが完了できるようにする」という。
 損保ジャパン日本興亜による外国人旅行者を対象とした保険販売が急速に拡大しそうな様相だ。


 
[2016-02-18]
 MS&ADグループが自然災害モデルプラットフォームを導入、非モデル化リスクの評価容易に

 MS&ADインシュアランスグループは2015年11月に、米国のインパクト・フォアキャスティング社が開発した自然災害リスク評価プラットフォーム「ELEMENTS」のライセンス契約を結び、本格導入を進めている。同プラットフォームを活用することにより、火山の噴火などリスク量の計測が難しい非モデル化自然災害リスクの評価がしやすくなる。グループ全体として自然災害リスク管理の高度化を進めていく。
 ELEMENTSは、大手再保険ブローカーエーオン・ベンフィールドの100%子会社インパクト・フォアキャスティング社が開発した自然災害計測モデルを運用するためのプラットフォーム。主にリスク管理、再保険政策、保険引き受け判断などで海外の保険会社や共済団体、再保険会社が導入しているが、国内では同社グループが初めてとなる。
 一般的に、自然災害モデルのリスク評価では、特定の災害事象の発生確率や強度(ハザード)と、対象地域の集積に関する情報(エクスポージャー)とを組み合わせ、被害関数を用いて損害の規模を算定。これに保険契約に関する条件を加味することで保険リスク(被保険損失)を計測する。
 ELEMENTSは、最新の知見やデータを組み込んだハザードや、自社の保険実績ロスを反映させた被害関数を組み込んで保険リスクを評価・計量できるなどカスタマイズ性に優れている。導入によって、モデリング会社が開発した自然災害モデルや自社開発のモデルを用いる場合に比べて開発期間の短縮、コストの削減、計算精度の確保が図れる。
 今回、MS&ADグループでリスク関連サービス事業を担当するインターリスク総研と共にライセンス契約を結んだMS&ADインシュアランスグループホールディングスは、事業会社の三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保と連携してグループの国内自然災害リスクの管理強化を進めている。
 とりわけ、一般的な計量モデルで計測できる台風リスクや地震リスクと異なり、火山の噴火など評価が難しい非モデル化リスクへの対応に注力することで、自然災害リスク管理の一層の高度化を図る考えだ。
 同社グループは11月のライセンス契約締結後、ELEMENTS用ハードウエアの装備や、インパクト・フォアキャスティング社の研修を経て本格的な取り組みを始めており、現在は、新たな非モデル化リスクの計測を進めている。
 MS&ADホールディングスリスク管理部の佐藤陽介次長は「今後、計測する自然災害リスクの優先順位などを検討しながら、ELEMENTSを活用してリスク管理の高度化を図り、グループ経営の健全性向上に努めていきたい」としている。


 
[2016-02-17]
 日本生命が死亡保険金支払時に新サービス、遺族の諸手続きをサポート

 日本生命は4月1日から、個人保険における死亡保険金支払時のサービスとして「ニッセイご遺族あんしんサポート」をスタートする。
 同サービスは、死亡保険金の支払いと合わせて、公的機関への届け出や相続など、被保険者が死亡した際に必要となる広範な手続きについて、死亡保険金受取人(または遺族)に対し、電話による相談、相続税額目安の案内、サポート・代行が可能な専門家の紹介を行うもので、同社によれば業界初のサービスとなる。


 
[2016-02-16]
 業法施行規則改正 その背景と議論、高まる不妊治療への関心、モラルリスクや逆選択への対処必要

 金融庁は2月10日、「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」を公表し、保険会社が不妊治療に係る保険の引き受けを行うための法的位置付けを明確化した。以下に、同改正の背景と、金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」での検討結果について紹介する。
 2010年現在、不妊の検査や治療の経験がある夫婦は6組に1組(国立社会保障・人口問題研究所調べ)とされ、中でも、より高度な不妊治療である体外授精が急増している。不妊治療を実施しているクリニックの数(日本産婦人科学会に登録している不妊治療の医療機関)は552(12年7月現在)を超え、米国や欧州を抜いて世界1位である。
 アベノミクス新3本の矢の一つとして子育て支援が位置付けられ、一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策(15年11月26日一億総活躍国民会議決定)において、不妊治療への支援が盛り込まれ、公的助成が大幅に拡充されることとなった。同改正は、この対策とは直接リンクはしないものの、社会的ニーズは高まっている。厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業」では、法律上の婚姻をしている夫婦に対する不妊治療のうち、1回の治療費が高額な特定不妊治療(体外受精および顕微受精)に対して、要する費用30万〜50万円程度のうち、国が1回15万円を助成しているが、同助成の09年度実績は8万4485件で、04年度比で4.8倍に増加している。
 このように不妊治療への社会的関心は高まっており、また、その治療内容によっては多額の費用を要することから、当該費用をてん補するための保険に対する需要が高まりつつある。しかし、原因が特定できない不妊については、その治療費に係る保険が引き受けられるかどうかが不明確な状態となっている。
 不妊治療に係る保険については、不妊という事由の発生には偶然性が認められ、不妊治療に要する高額な費用を経済的にてん補するニーズもあることから、保険の対象となり得る要素を備えており、また、社会的意義も十分認められると考えられる。一方、不妊治療を受けるかどうかの判断は専ら被保険者の意思に委ねられていることなど、モラルリスクや逆選択の問題への対処の必要性をはじめとして、保険を引き受けた際のリスク管理が難しい面が存在することから、具体的な商品開発に当たっては、こうした課題に対応できるものとする必要がある。また、その際、保険商品が複雑になり、利用者に分かりにくくならないように留意する必要もある。
 以上のような点を踏まえ、同ワーキング・グループでは、今後、当該保険の特性を踏まえた適切な商品設計・リスク管理が行えるよう、諸課題への対応について実務的にさらなる検討を行った上で、実際の商品開発・引受が行われることが適当だとしている。
 米国、ドイツでは、不妊治療費を保障する医療保険商品が存在しており、英国、フランスでは公的医療保険の対象となっている。死亡保険などの特約の形で商品化されており、日本での不妊治療保険もこれにならったものとなる可能性がある。


 
[2016-02-15]
 三井住友海上が小形風力発電に総合補償プランを開発、喪失利益や賠償責任も補償

 三井住友海上はこのほど、小形風力発電設備を取り巻くリスクを包括的に補償する「小形風力発電総合補償プラン」を開発し、2月から本格的に販売を開始する。
 同商品は、施設内の全ての小形風力発電設備一式を包括して、火災、落雷、風災・雪災などの事故や電気的・機械的事故などによる物的損害を補償する。要望に応じ、地震による物的損害を補償することも可能。小形風力発電設備が火災などの事故で物的損壊を受けたことによる喪失利益・収益減少防止費用や、小形風力発電設備の所有、使用または管理に起因して第三者に身体障害や財物損壊を与え、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害も補償する。
 また同社では、同商品の販売に伴い、小形風力発電設備の安定的な運営を支援する『小形風力発電設備に関するハンドブック』をインターリスク総研と共同で発行した。研究者やメーカーへのヒアリングなどに基づき、大型風力発電と比較したメリット・デメリット、風力発電の市場動向、設備の故障・事故リスクなどの情報をまとめており、これから事業参入を検討する人にも分かりやすい内容となっている。
 小形風力発電の市場規模はまだ小さいものの、設備規模やコスト、施工などの事業負担が少なく、導入が容易であることから、今後の再生可能エネルギー推進における重要な分野と見なされている。一方で、大型風力発電とは異なる事業化の難しさなどもあり、普及に向けたさまざまな課題も明らかになりつつある。こうした背景を踏まえ同社では、小形風力発電の普及を後押しするため、同商品を開発するとともに同ハンドブックを発行したとしている。


 
[2016-02-12]
 SBI生命がウェブ申込限定で低廉な保険料、「クリック定期!」販売開始

 SBI生命は2月1日から、インターネット申込専用定期保険(無解約返戻金型)「クリック定期!」の販売を開始した。
 同商品は、解約返戻金をなくして保障内容をシンプルにすることと、インターネット申し込みに限定することで、保険料を抑えたのが特長。また、保険期間・保険料払込期間を10年に統一し、保険金額は契約時に300万円〜1億円の範囲で100万円単位で選ぶことができるため、ライフステージの変化に合わせて保険金額を見直すことができる。保障は更新により最長80歳まで継続する。
 定期健康診断書の提出や医師の診査は保険金額によっては不要で、本人確認書類もインターネットでアップロードできるため、申し込み手続きは最短10分程度と簡単でスピーディーなものとなっている。
 同社では、ライフステージごとに備えるべきリスクの大きさは異なることから、顧客がそれぞれのライフステージで必要な保障を手頃な保険料で簡単に加入できる保険を提供したいとの考えから、同商品を開発したとしている。


 
[2016-02-10]
 SBIHDが16年3月期第3四半期決算説明会を開催、損保・少短共順調に推移

 SBIホールディングスは1月29日、東京都千代田区のホテルニューオータニで2016年3月期第3四半期の決算説明会を開催した。SBI損保の自動車保険の保有契約件数は約80万件(前年同期比12.8%増)、元受正味保険料は213億7400万円(同12.0%増)と高成長を持続した他、SBI少額短期保険、SBIいきいき少額短期保険共に保有契約件数が順調に増加した。北尾吉孝社長は「SBI損保は今期、通期黒字化を達成する」と強調した。
 SBI損保は約3億円の税引前利益を計上し、コンバインド・レシオ(元受ベース)も94.7%と順調。北尾社長は「今期は大口保険金支払いの発生や第2四半期に発生した天災の影響があるものの、出再割合の見直しやさらなるコスト削減で通期黒字化を目指す」と述べた。
 SBI少額短期保険の保有契約件数は1万5974件(前年比24.4%増)、SBIいきいき少額短期保険は4万4537件(同21.2%増)とそれぞれ実績を伸ばした他、SBI生命は営業体制が整ったことから、終身医療保険と定期保険の販売を開始した。北尾社長は「生命保険はネットだけで販売していくのは難しい」との考えを示し、対面チャネル販売にも注力するとともに、グループのシナジーをより生かせる商品を発売していく方針を示した。また、本年度内に進出を予定している再保険事業については、「グループ外に支払うコストを抑制し収益力を強化する」と述べた。
 今後は、保険事業とテレマティクスやウェアラブル端末などのIoT技術との融合を通じて、個人のリスクや特性に合わせて保険料が算定されるパーソナルな保険商品の開発をロボットベンチャー企業などと連携して推進していく考えを示した。
 グループの連結業績は、営業収益が1791億7900万円(前年同期比2.7%増)。税引前利益は306億6100万円で同38.1%減となったものの、前期に実施したアルヒ(旧SBIモーゲージ)とSBIライフリビングの売却による影響を除くと、前年同期比で5.6%増になる。


 
[2016-02-09]
 エースがチャブの買収を完了、社名引継ぎ新ブランド立上げ

 エース・リミテッドは1月14日、チャブの買収を完了し、世界最大の損保会社となったと発表した。エースは最終的に現金と株式を合わせて295億ドルでチャブを買収した(エース・リミテッド株の直近の終値とチャブの発行済普通株式数に基づく)。エースは直ちにチャブ・コーポレーションの社名をグローバルで使用し、ニューヨーク証券取引所で明日からCBというシンボルで取引を開始する。また、新たなビジュアル・アイデンティティとシグニチャー(ロゴ、署名)を掲げ、新Chubbブランドを正式に立ち上げる。新Chubbブランドは、エースとチャブ両社共通の信条である卓越したアンダーライティング、保険サービス、実行を象徴する。
 チャブは世界最大の損保会社であり、プロフォーマ・ベースでの時価総額は512億ドル、総収入保険料370億ドル、総資産は約1500億ドルとなる。世界54カ国で事業を展開しており、グローバルの企業系、スペシャリティ系、プロフェッショナル・ラインズ保険の、米国のミドルマーケットを対象とした企業系損保分野で業界トップである。また、米国の富裕層の顧客やその家族を対象とした個人保険分野の最大手であり、個人の傷害保険および補完的医療保険分野でもグローバル・リーダーである。
 2015年7月1日の買収発表後、エースとチャブによる統合計画は綿密に練られてきた。その後のプレスリリースで新組織におけるリーダーシップ体制が発表され、各ビジネス・セグメント、米国とインターナショナルのビジネス拠点、損害サービスなどの主要ビジネス部門の新リーダーが任命された。新体制は1月14日から正式にスタートする。新会社は18年までに年間約6億5000万ドルの経費削減(税引き前)を見込んでおり、会社が成長することで増収が期待される。また、効率化が進むことで人材やシステム、商品、ディストリビューションへの投資がより柔軟にできるようになるとしている。
 この統合によりEPS(1株当たり利益)と簿価は直ちに向上すると見込まれ、3年目までにEPSは2桁台に、またROE(株主資本に対する利益率)も向上する見込み。ROI(投資利益率)は2年以内にエースの資本コストを超過し、その結果3年目までに2桁台の還元、そして1株当たりの有形簿価は3年以内に現状レベルに到達すると見込まれている。
 親会社であるChubb Limitedという社名はスイスでの商業登記を経て正式なものとなる。直ちにChubbという社名での事業やマーケティング活動がグローバルで開始される一方で、各国のエースおよびチャブの現地法人は、監督官庁からの承認など名称移行に必要なプロセスが終了するまで現在の社名で事業を継続する。この移行プロセスにおける既存契約や補償内容への影響は一切ない。
 Chubb Limitedの会長兼CEO、エバン・グリーンバーグ氏は「エースとチャブは一つになった。新しい社員、そして新しいブランドと共にスタートすることを心から楽しみにしている。私たちは幅広く高いグローバル・プレゼンスと広範なディストリビューション・チャネルを有し、多種多様な企業・個人の顧客に保険サービスを提供する損保業界におけるグローバル・リーダーだ。アンダーライティングに対する熱意に加え、業界トップの損害サービスやリスク・コントロール・サービス、ロス・コントロール・サービス、そして大幅に増強された各種のデータにより、新生チャブは世界中の先進国および発展途上国のマーケットで新たな利益や成長機会を創出することができる。また、統合に伴う収支規模の拡大により世界トップの損保会社に躍進した。昨年7月の発表以降、新生チャブの社員と共に統合計画を念入りに進めており、既にこれを実行に移し始めている」と述べた。


 
[2016-02-08]
 ライフサポートジャパン少短が告知書不要のがん保険を販売、保障を一時金のみにシンプル化

 健康産業に注力する山田養蜂場の100%子会社であるライフサポートジャパン少額短期保険(本社:東京都新宿区、北健治社長)が、加入告知書不要の「無告知がん保険シンプル」を開発、2月8日から販売を始めた。従来のがん保険は健康状態を詳細に記入した告知書を保険会社に提出し、審査をパスして初めて加入できた。同保険はそうしたプロセスを不要にして、過去にがんにかかったことがなければ加入できるようにシンプル化した。
 告知を不要にした理由について同社では、一般的に医療保険は告知がなければ健康状態が分からないが、がんの場合は医師の診断書で明確化できるからだという。同保険は、保険金請求の時点で医師が所定診断書に過去のがん罹患(りかん)履歴を記入し、その診断をもって判断する。社長の北氏は「医療系の保険は告知が前提となっているが、そうした常識を打ち破った」と述べる。
 保険金を診断一時金のみとしたことも同保険の特徴だ。現在、がんの治療は手術、放射線治療、免疫療法、抗がん剤治療などさまざまな方法が確立され、入院期間も短縮化される傾向がある。用途を限定しない一時金給付タイプは、幅広いニーズに応えることが可能だ。また、待機期間も一般的ながん保険が90日なのに対し、同保険は60日と短い。
 加入年齢条件は満25歳から満70歳で、診断一時金は、年齢によって若干範囲が異なるケースはあるが20万円から80万円まで設定が可能。例えば45歳で診断一時金50万円の保障を希望する場合、掛け金は年払いで男性1万590円、女性1万3300円となり、月に換算すると約880円から1100円程度の負担で加入できる計算となる。
 診断一時金の額については健康保険の高額療養費制度を考慮したといい、健康保険の対象となる一般的な治療が賄える金額を基本にした。また、保険料は初めてがん保険に加入する若い世代や、40歳代から50歳代で保障を手厚くしたい世代、がんに対する関心の高い女性などが加入しやすい金額に設定した。
 販売チャネルは代理店を重視する方針だ。登録した代理店のホームページ上にバナー広告を提供してリンクを張ってもらい、加入希望者がクリックすることで保険内容の確認や加入手続きなどが行える仕組みを構築する。成約した場合には所定の手数料を代理店に支払う。申し込み手続きや保険料入金も全て契約者が行うことから、代理店は手間を省くことができ、効率的な新たな収益源を確保できる。


 
[2016-02-05]
 太陽生命が3月から新商品発売、業界初 認知症治療を支援

 太陽生命は3月に、認知症の治療を支援する新商品を発売する。
 同商品は、認知症と診断され、同社所定の状態が180日継続した場合に給付金を支払うというもの。選択緩和型商品のラインアップに追加しているため、健康に不安がある場合でも簡単な告知で加入することができる。さらに、認知症に関する保障の他、女性疾病・7大疾病などを原因とする入院・手術、骨折の治療に備えることもできる。同社によれば、認知症による所定の状態を保障する保険は、生保業界初となる。
 人口構造の変化により、2015年には65歳以上人口が26.7%を超え、超高齢社会を迎える。また、厚生労働省によると、認知症は25年には12年の1.5倍の700万人に達し、65歳以上のシニア層の約5人に1人が認知症になるといわれている。そのため、認知症治療や認知症を原因とする介護費用、家族の離職など、家庭の経済的負担が増加することが見込まれ、認知症が社会問題として認識されてきている。
 一方、認知症は早期にケアや治療を行うことで、進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることが可能となってきている。
 同社では、このような背景を踏まえ、認知症に前向きに向き合い、健康な老後を送ってもらうため、今回の新商品を開発したとしている。


 
[2016-02-04]
 SOMPOHDが介護事業戦略を発表、生損保に並ぶコア事業と位置付け

 損保ジャパン日本興亜ホールディングスはこのほど、潟<bセージに対する株式公開買付け成立を前提とした、同社グループの介護事業戦略について発表した。以下にその内容を紹介する。
 【背景】
 日本では高齢者人口が急速に増加しており、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の2割弱にあたる約2200万人となる社会が到来する。また、少子化や家族の形態の変化に伴って、高齢の単身世帯・夫婦世帯が増加するなど、高齢者のくらしを取り巻く環境も大きく変化し、介護が必要となったときに希望するくらしの姿も多様化している。こうした中、政府においても、介護に関する多様なニーズに対応した基盤づくりや、介護が必要な高齢者を社会ぐるみで支える環境づくりに向けて、さまざまな検討と対策がなされている。
 【介護事業への参入意義と同社グループにおけるこれまでの取り組み】
 同社グループは、介護事業が「安心・安全・健康」に資するサービスを提供する「同社のグループ経営理念」に合致し、また、介護市場が周辺事業領域を含めてマーケット規模が大きく、今後も高い成長が期待できる分野だと考えている。
 同社グループでは、これまで、2012年9月の潟Vダーへの投資事業有限責任組合を通じた出資(34%)、15年3月のメッセージとの資本・業務提携(出資3.5%)、15年12月のワタミの介護梶i新商号「SOMPOケアネクスト」)の完全子会社化など、介護市場における取り組みを強化・加速してきた。
 同社では今後、「介護事業」を「損害保険事業」「生命保険事業」に並ぶコア事業と位置付けて、取り組みをこれまで以上に強化・加速し、現代社会においてさまざまな課題を抱える介護事業そのものを変革することで、社会的課題の解決に貢献していきたいとしている。
 【同社グループ介護事業会社各社の特長】
 各社が有する事業の特長を組み合わせ、フルラインアップの介護サービスを顧客へ提供することで、時代の多様なニーズに応えていく。
 ▽SOMPOケアネクスト
 「レストヴィラ」「みずき」ブランドで、介護付有料老人ホーム113施設を首都圏中心に展開している。特に高齢化の進行が予測されている首都圏において、施設介護の分野でより多くの顧客に選ばれる最高品質のサービスを提供していくとしている。
 ▽メッセージ
 大都市圏を中心に、「アミーユ」などのブランドで介護付有料老人ホーム183施設、「Cアミーユ」などのブランドでサービス付き高齢者向け住宅125棟を展開するほか、約400事業所から訪問介護などの在宅サービスを提供している。15年2月からは、新たな在宅サービス「在宅老人ホームZアミーユ」を開始し、首都圏を中心にサービス提供範囲の拡大を計画している。同サービスは、老人ホームと同等のサービスを自宅に提供することをコンセプトとする、介護保険サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)と介護保険外サービス(生活支援サービス、配食など)を組み合わせた定額制の在宅サービス。
 また、同社関連会社であるシダーは、介護付有料老人ホーム「ラ・ナシカ」、デイサービスセンター「あおぞらの里」を展開し、リハビリテーションに重点を置いたサービスを提供している。
 【介護事業における品質向上に向けた取り組み】
 顧客が安心して介護サービスを利用できるように、同社グループが有するガバナンス、コンプライアンス、リスク管理のノウハウなどを介護事業において適切に導入し、顧客の「安心・安全・健康」に資するような最高品質の介護サービスを提供することを目指していく。
 介護事業の運営においては、情報管理システムやデジタルデバイス、センサー技術などのICT(情報通信技術)・デジタル技術の導入・活用を進め、より一層安心・安全なサービスの提供と介護職員の負担の軽減を実現し、介護事業の高度化を図っていく。
 また、介護サービスの提供に当たって十分な人材を計画的に採用・育成する体制を構築するとともに、介護職員の処遇改善にも取り組み、質の高いサービスを継続的に提供していく。
 【介護事業に関する諮問会議の設置】
 学会・業界を代表する、優れた知見を持った人たちで構成される諮問会議を設置する。諮問会議では、日本の介護事業におけるさまざまな課題の確認・整理と、解決に向けた議論を行い、同社グループの介護事業戦略や介護事業の進むべき方向性についての助言を行う。
 【介護事業における将来ビジョン】
 同社グループは、グループが有する広範なネットワークやグループ事業を通じて培った経営資源やノウハウを生かして、介護業界トップクラスのポジションを確立することを目指していく。また、これまで提供している保険に加えて介護サービスを提供することにより、一人でも多くの顧客が老後も「安心・安全・健康」な生活を送れるよう取り組んでいく。
 特に、介護が必要になったときにも住み慣れた地域で安心して暮らし続けたいとのニーズに対して、メッセージが首都圏で展開拡大を計画している「在宅老人ホームZアミーユ」をより多機能化し、自宅に医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するサービスの開発を検討していく。


 
[2016-02-03]
 三井住友銀行で生保電子申し込みの活用進む、効率化で販売拡大に期待

 三井住友銀行では、住友生命、三井住友海上あいおい生命と共同開発し2015年10月に導入した「生保申し込み手続き電子化」の活用が徐々に拡大している。今年度の販売状況は、一時払い商品が前年度を上回るペースで推移しており、平準払い商品は計画通りだ。同行では、「今後、電子申し込みを使う担当者がさらに増え、書類の確実性が向上し時間的な余裕も生まれる。改正保険業法施行後に意向確認などで必要となる対応時間を確保するだけでなく、コンサルティング時間も増やせる。さらなる商品拡大にもつなげられる」と今後への期待を示している。
 「生保申し込み手続き電子化」のメリットは「手続き完了が大幅に短縮される」「書類不備がなくなる」の大きく二つ。紙ベースの申し込みでは、手続き完了までに約10日間かかることもあったが、電子申し込みでは申し込み内容がすぐに保険会社に届くため、翌日には契約が成立し保険証券もすぐに発行される。また、従来は、記入漏れなどの不備が1割程度発生しており、書類の訂正などにさらに時間がかかっていた。
 同システムでは、必要事項の記入欄をナビゲーションし(オレンジ色に浮かび上がらせ)、記入漏れがあると次に進めないため、指示通りに進めていけば必ず1回で手続きが完了する。
 電子申し込みでは、複数保険会社で別々だった申込フローが共通化され、ボタンの色なども統一。どこの保険会社でも操作感が同じになっている。従来担当者が事前に行っていた、記入欄をマル印で指示したり付箋を貼ったりする手間が省けるため、手続き時間が約1時間から30分程度に短縮。さらに、担当者が手続き後の複数書類の取りまとめや分類にかけていた時間も削減することができる。
 コンサルティング業務部保険業務グループの伊藤祐輔グループ長は「担当者に余裕時間が生まれ、その分、顧客との対面時間を増やせる。電子化の活用は徐々に進んでおり、効果も少しずつ出てきている」と話す。現在は、電子申し込みのメリットを全国の担当者に説明するための取り組みを行っており、保険オフィサー(注1)が勉強会を開催して意識向上と浸透を図っている。
 こうした成果とも相まって、本年度はここまで一時払い商品が前年を上回る販売を記録。外貨建ての変額原資保証タイプが人気で、特に、三井住友海上プライマリー生命の商品がけん引している。値上がりが期待でき、一部解約ができることなどが好評な理由だという。一方、平準払い商品は、前年度並みの販売水準で推移。住友生命の円建て年金がロングランで売れている。
 今後について伊藤氏は「電子申し込みシステムでは、すでに6社(注2)に対応している。来年度中をめどにほとんどの保険会社が対応可能になる見込みだ。5月に施行予定の改正保険業法では確認書面が増えることも予想されるが、電子化が進めば効率化がさらに進むため、保険本来の『保障』を重視したコンサルティングにますます注力していきたい」と展望している。
 (注1)保険販売の全面解禁後、保険商品ならではの保障提案スキル向上といった人材育成や、各施策の推進などを担当している。
 (注2)現在の対応生命保険会社は、住友、ソニーライフ・エイゴン、三井住友海上あいおい、三井住友海上プライマリー、三井、メディケアの6社。


 
[2016-02-02]
 りそな銀行の一時払い、上半期最高実績、相続ニーズに保険で対応

 りそな銀行の年度上半期一時払い保険料は1081億円となり、過去最高を記録した。その後の12月末時点では1490億と順調に推移している。また、上半期の平準払い商品の販売件数は約9000件で例年のペースを堅持している。下期は、昨年10月に開始したライフプランニング提案手法の浸透を目指す「ストック型ビジネスプロジェクト」が始動。投信に加え、一時払い商品も顧客のライフプラン実現に向けた解決策として活用していきたいとしている。平準払い商品は、担い手(販売担当者)の育成、年中無休店舗の出店加速、法人取引先の職域強化、住宅ローン控除手続きセミナーなどの施策でさらなる拡販を図る。
 一時払い商品好調の主な要因は、昨年1月の相続税法改正後の相続ニーズの高まりに対する保険提案が受け入れられたこと。「家族に遺す」ことに主眼を置いた円建てのシンプルな定額タイプの終身保険や「殖やして遺せる」変額タイプの終身保険がけん引した。今後も信託商品のラインアップとともに、相続ニーズにもきめ細やかに応えていきたいとしている。
 平準払い商品では、昨夏から本格展開に入ったネオファースト生命の終身医療保険「安心これ一本(医療)」が業界初の新たな仕組みの適用で関心を集め、契約を伸ばしている。同商品の特長は、公的医療保険制度の自己負担に応じた実額給付タイプの治療保障特約を創設したことや、業界(生保協会加盟会社内)で初めて、終身医療保険に非喫煙者割引を適用したことなどだ。
 コンシューマービジネス部の吉岡史博グループリーダーは「非喫煙者の割引率が最大約30%と大きい。入院日数にかかわらず支払われる入院一時金や実損填補の特約もポイントで、家族での加入、親族の紹介などが目立って増えている」と分析。「安心これ一本(特定疾病)」ともに現在も好調が続いている。
 一方、「ストック型ビジネスプロジェクト」では、顧客の退職後のライフプランシートを作成し、投資信託や保険の活用を提案する。具体的には、「お客さまの資金枯渇リスクに備えるための運用提案」や「老後に資金が残るお客さまには相続対策提案」など、個々のライフプランに合わせてコンサルティングしている。タブレットで簡単にシミュレーションできる点が顧客から喜ばれており、「自分のお金の実態が分かってよかった」などといった声が寄せられている。
 吉岡氏は「銀行では保険以外にもさまざまな商品を扱っている。今後、商品横断的な提案から保険契約に結び付けたい。保険販売の集大成の手法としていきたい」と今後の展開に意欲を見せている。
 平準払いについては、研修に注力したことで課題だったきめ細かなコンサルティングが担当者に定着してきた。現在は、保険の見直し提案ができるスタッフを各店2人の割合で配置することを目指しており、今後の教育・研修にも一層力を入れる計画だ。
 同部の大賀智之担当マネージャーは「年中無休の店舗はりそな銀行で6店、グループ全体では10店になり、休日に相談いただける体制も充実してきた。また、窓販開始当初は渉外中心だったが、その後、窓口担当者、さらには職域などへもチャネルも広がってきた」と話す。確定申告の時期を控えて、1月から休日に実施している住宅ローン控除手続きセミナーも集客につなげる手法の一つだが、開催予定の14回分がほぼ満席になる人気ぶりだ。
 同行では、リアル、ネットを融合させる「オムニチャネル戦略」も推進しており、幅広い取り組みで一層の伸展を図る方針だ。


 
[2016-02-01]
 朝日火災の住宅向け火災保険が好調、10月以降も増加傾向

 朝日火災の住宅向け火災保険「ホームアシスト」が好調だ。改定前の駆け込み需要もあり9月単月では地震保険を含む増収率が前年比240%を記録。9〜11月のカカクコム・インシュアランスの火災保険契約ランキングでは、「戸建」「マンション」「総合」のすべてで1位を獲得した。山本淳商品部長は「費用保険金の手厚さなどが人気の秘密」と分析。新規件数は10月にいったん落ち込んだが、11月は前年同月比+25.5%、10〜12月では前年同期比+7.4%となった。業法改正については「情報提供や意向確認で弊社商品の優位な点がより鮮明化するため、従来以上にメリットを伝えられる」と法改正を追い風と捉えている。
 「ホームアシスト」は、ワイド、ベーシック、エコノミー、フリーの四つのプランで補償を提供する。全プランに共通する費用保険の種類は、地震火災費用、災害時諸費用、緊急時仮住まい費用、水道管修理費用、錠前交換費用など。その他各種特約も用意して消費者の細かなニーズに対応する。
 同保険の人気のもう一つの理由は、保険料試算システム「ラクラクWEB試算」であり、ウェブ上で必要事項を選択・入力していけば1、2分で見積もりが完了すること。具体的には、「マンション・アパート」か「戸建」を選択、「コンクリート造り・耐火建築物」「鉄骨造り・準耐火建築物・省令準耐火建物」「それ以外」から選択、建物の所在地(都道府県)や専有面積を入力、建物の建築年月の選択、建物の保険金額設定など、分かりやすい一問一答型の設問に順に答えれば試算結果が表示される。グループ会社の代理店である朝日火災ビジネス・サービス鰍ナは、同試算サイト経由でのホームアシストの成約率は76.9%と、試算サイト利用者の4分の3が成約に至っている。
 井嶋武洋営業推進部長は、「10月以降、最長36年だった長期契約が最長10年になったため、契約単価が半減したことで代理店は収入を確保する労力が倍増している。広報も募集も、ウェブの仕組みを使って効率的な営業を行うのが代理店にとっても有効だ。代理店ホームページなどへのリンクを働き掛けている」と話す。他方、同社と取引のない代理店から「ホームアシストを取り扱いたいので乗合したい」という依頼も増加しているという。
 カカクコム・インシュアランスでのランキング1位について同社では「当社は、それ以前も2位、3位のポジションにいたが、10月の商品改定以降、消費者の意向をさらに取り込むことができた。カカクコム・インシュアランスは、インターネット主力の代理店でありながら、見積もり依頼者に対してはコンサルティング担当者が全件電話をかけて要望を詳しく聞いている。それにより、顧客ニーズを把握し、保険内容に反映させている。保険業法改正を先取りした綿密な対応が当社の商品性とマッチした」と見る。
 また同社は、1月初旬に、YouTubeや同社ホームページでホームアシストの魅力が分かる動画の配信を開始した。山本氏と井嶋氏は「会社名よりも『ホームアシスト』の名称が浸透してきている。ウェブ動画サイトを活用して、消費者、代理店の認知度をさらに高めていきたい」「代理店は試算データを基に申込書などの帳票を作成できる。営業時間の短縮にもつながり、対面コンサルにより詳細を確認することもできる。ラクラクWEB試算の仕組みや操作性もさらに改善していく」と意欲を見せている。


 

 (保険毎日新聞から抜粋)