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[2016-05-31]
 明治安田生命の15年度決算、当初計画の達成を報告

 明治安田生命は5月26日、東京都千代田区の同社会議室で2015年度決算を発表した。15年度当初計画は、金利上昇リスク対応や「年金資産の時価変動部分」の償却負担増加の見込みなどから減収・減益を想定しており、マイナス金利政策といった想定以上の不安定環境下でおおむね計画を達成した。保険料等収入は、前年度比1.5%減の3兆3578億円となり、基礎利益は、運用収益が増加した一方、年金資産の時価変動部分に係る費用負担増などにより減少した。
 保険料等収入のうち営業職員チャネルは主力商品「ベストスタイル」や15年8月に発売した介護保障付終身保険「パイオニアケアプラス」などが好調だったことにより業績が伸展。前年度比13%増の1兆4941億円となり2年続けて伸展した。銀行窓販チャネルは、一時払終身保険の販売量を計画的に抑制したことにより、同26.3%減の6272億円となった。
 新契約年換算保険料は同9.3%増の1849億円となり、営業職員チャネルでは同33%増の実績を挙げた。第三分野業績は、同11.2%増の363億円に達した。保有契約年換算保険料は2兆1966億円(前年度末比2.6%増)を確保し7年連続の純増となった他、団体保険の保有契約高も6年連続で純増した。
 個人保険・個人年金保険の解約・失効・減額率は0.02ポイント改善して3.81%だった。
 資産運用収支のうち、利息および配当金等収入は、市場環境に応じた資産配分などにより前年度差72億円減の6908億円となった。
 基礎利益は、同464億円減の4599億円で、利差が円安による有価証券償還益の増加などで拡大した一方、危険差・費差が金利低下や株価下落といった影響による責任準備金の積増負担増などで減少した。
 ソルベンシー・マージン比率は938.5%(前年度末差102.5ポイント減)だった。
 一般勘定資産全体の含み損益は、前年度末差5525億円増の6兆1707億円となった。EEVは同2兆891億円減の3兆4014億円だった。
 15年度決算に基づく社員配当の状況は、個人保険・個人年金保険、団体保険は中長期的に安定した配当を還元する観点から配当率を据え置く一方、団体年金は単年度の運用実績をより反映させることから配当率を引き下げる。
 16年度業績の見通しについては、超低金利環境下での資産積み上げは、逆ざやや、国内金利上昇時のリスク増加につながる可能性があることから増加を抑制する。保険料等収入は、一時払終身保険を中心に貯蓄性商品や団体年金の一般勘定の販売をコントロールすることなどから約2兆6200億円、基礎利益は、利差の減少により約4300億円となる見通し。ただし、スタンコープ社を子会社化したことにより、グループベースでは15年度水準を確保する計画である他、EEVは中期経営計画目標の約5兆3000億円を達成する見通し。

 
[2016-05-30]
 日本生命の15年度決算、単体・連結共に増収・増益、三井生命の業績も反映

 日本生命が5月26日に発表した2015年度決算によると、単体・連結ともに増収・増益を確保した。日本生命単体の業績が堅調だったことに加え、三井生命の業績も今回の決算から反映されたことなどによる。日本生命は新契約で件数、保障額等、年換算保険料のいずれも前年度比増加、保有契約は件数、年換算保険料が増加、保障額等が減少したものの、減少幅は改善した。三井生命を加えた国内全体では新契約、保有契約ともに件数、保障額等、年換算保険料のいずれも前年度比増加となった。
 保険料等収入は、日本生命が前年度比13.9%増の6兆809億円、三井生命が連結反映分(第4四半期実績)1473億円(通年実績5501億円、同0.9%増)、海外保険・アセットマネジメント事業等が同0.2%増の338億円で、合計は同16.6%増の6兆2620億円だった。 基礎利益は、日本生命が利差益が好調だったことなどにより、同2.8%増の6981億円と6年連続の増益となった。三井生命の基礎利益は連結反映分が74億円(通年実績316億円、同46.5%減)、海外保険・アセットマネジメント事業等の基礎利益は同16.4%増の52億円で、合計は同3.9%増の7076億円だった。日本生命を除く三井生命、海外保険・アセットマネジメント事業子会社などの当期純利益に持ち分比率を乗じた利益総額であるグループ事業純利益の合計値は同59.7%増の156億円となった。
 個人保険・個人年金保険の新契約業績の件数については、日本生命が同0.6%増の463万件、三井生命が連結反映分5万件(通年実績18万件、同4%増)となり、合計で同1.7%増の468万件と前年度実績を上回った。保障額等は、日本生命が同18.5%増の10兆8636億円、三井生命が連結反映分3086億円(通年実績1兆1259億円、同6.9%増)で、合計は同21.9%増の11兆1722億円と大幅な伸びを示した。年換算保険料は、日本生命が同12.2%増の3229億円、三井生命が連結反映分96億円(通年実績338億円、同0.3%増)で、合計は同15.6%増の3326億円だった。
 日本生命は、「ニッセイみらいのカタチ 継続サポート3大疾病保障保険付プラン“5つ星”」の販売が好調だったことに加え、外貨建て定額終身保険「ロングドリームGOLD」の販売開始によって銀行窓販チャネルの業績が大きく増加した。
 個人保険・個人年金保険の保有契約業績の件数については、日本生命が前年度末比10.7%増の2664万件、三井生命が同1.4%減の260万件で、国内生保事業全体では同21.5%増の2925万件となった。保障額等は、日本生命が同0.7%減の166兆9271億円、三井生命が同4.2%減の21兆8971億円で、国内生保事業全体では同12.3%増の188兆8242億円だった。年換算保険料は、日本生命が同3.2%増の3兆4300億円、三井生命が同2.2%減の5009億円で、国内生保事業全体では同18.3%増の3兆9310億円となった。
 団体保険の保有契約高は、日本生命が同0.7%増の93兆2899億円で、企業ごとのきめ細やかなコンサルティング活動に継続して取り組んだ結果、前年度末実績を上回った。三井生命は同2.1%増の13兆8623億円で、国内全体では同15.7%増の107兆1522億円だった。
 また、団体年金保険について、日本生命は多様化する企業ニーズに応えた結果、大型契約も含めた受託が好調だったことなどによって、受託資産額は同6%増の12兆3757億円と堅調に推移した。
 三井生命とニッセイアセットマネジメントを加えた全体の受託額も同9.1%増の15兆2263億円となった。
 連結ベースの保険金等支払金は前年度比0.3%減の3兆9487億円、事業費は同6.6%増の6249億円、経常利益は同9.3%減の5613億円、当期純剰余は同31%増の4034億円。
 総資産は三井生命が連結に加わったことなどによって前年度末比12.7%増の70兆6079億円、責任準備金は同16.8%増の57兆4908億円となった。連結ソルベンシー・マージン比率は924.3%で同19ポイント低下した。連結実質純資産額は同7.2%増の17兆6556億円となった。
 配当については、マイナス金利政策の導入以降、金利は大幅に低下しており、将来の環境の不透明性が拡大している一方、基礎利益の増益、社員配当平衡積立金の積み立てによる配当基盤の強化を踏まえ、個人保険・個人年金保険で、2年連続の増配実施を予定している。
 16年度決算は、保険料等収入で日本生命が減少、三井生命が減少〜横ばいの見込みで連結では減少の見通し。基礎利益は、日本生命が減少、三井生命が増加、連結では減少を見込む。

 
[2016-05-27]
 熊本県代協が通常総会を実施、益城町、全壊の代理店も

 震度7を2度記録し、甚大な被害が発生した熊本県。益城町などでは家屋の倒壊も激しく、避難生活が続く住民も多い。熊本県代協(井上浩一会長)でも会員多数が被災した。そうした中、同代協では地震から約1カ月後の5月18日、熊本市のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイで「平成28年度・第51期通常総会」を開催した。当初は開催が危ぶまれたが、時間を短縮しての総会となった。総会の模様や被災状況など、井上会長に聞いた。
 熊本県代協では地震で全壊した会員も出るなど、多大な影響が出た。そのため、総会に参加できた正会員は44人、一般会員が8人となったが、昨年度の事業報告と収支報告の承認、監査報告、今年度の事業計画や収支予算、理事・監事任期満了に伴う改選案などを議論した。一方、予定していた総会特別セミナーは延期し、懇親会は保険会社などの震災対応状況を考慮して中止した。
 今回は、地震発生が総会の約1カ月前という直近だったことから、準備に一部支障を来した。資料作成段階で印刷会社の機械が壊れたり従業員が被災し、納期にやや遅れが出るなどの影響が出たことが大きい。また、井上会長の事務所では、壁にひびが入る被害を受けながらの対応で、「総会の資料作成中に余震で何回も外に飛び出した。恐怖と闘いながらの作業だった」と語る。
 熊本県代協では総会議案書表紙に「がんばろう熊本!」の一文を入れ、被災した会員に向けて「お見舞いとお詫び」のメッセージ文を同封した。その中で井上会長は「地震発生回数も2週間で1000回を超える史上まれにみる状況となっています。住む家をなくし避難生活を余儀なくされていらっしゃる方々も多数かと思います。私たちは保険代理店として自分たちのできることでできる限りの支援をしていきたいと思います。熊本の復旧・復興に向け共に手を携え頑張って参りましょう」と述べている。
 代協会員の被害状況については、益城町の代理店の1店が全壊。さらに1店は建物の倒壊はなかったものの事務所内部に物が散乱し、平常業務に支障が出ている状況だという。井上会長は「全壊を免れた代理店も皆、大きな被害を等しく受けている」と言う。
 熊本県代協では地震後の4月18日と22日の両日、会員向けに被害状況の確認を行っているが、代理店は自ら被災しながら地震保険の請求業務などの対応で繁忙を極めており、全会員の正確な状況把握には時間がかかる見通しだ。

 
[2016-05-26]
 損保主要7社の2016年3月期決算、引受利益 全社が黒字に

 損保主要7社(東京海上日動、日新火災、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン日本興亜、富士火災、共栄火災)の2016年3月期決算(15年4月1日〜16年3月31日)が出そろった。3メガ損保(東京海上グループ、MS&AD、損保ジャパン日本興亜)の連結業績は経常利益、当期純利益がともに前年を上回った。各社単体の業績では、正味収入保険料が全社で前年度を上回った他、損害率は6社が、コンバインド・レシオは5社が前年度より改善した。また、保険引受利益では全社が黒字を達成した。
 正味収入保険料は、全社で増収となった。東京海上日動が4.5%で最も高い伸び率を示し、次いで三井住友海上(4.3%)、あいおいニッセイ同和損保(2.7%)と、大手損保が前年度対比で2%以上伸ばした。3メガ以外では、共栄火災が0.7%の伸び率を示した。
 損害率は、全社で70%を下回り、改善傾向が続いている。最も低かったのは富士火災の55.4%。コンバインド・レシオは7社中5社で改善し、引き続き収益性の改善が進んでいることを示した。
 ソルベンシー・マージン(SM)比率は、全社で550%以上の高水準を維持。日新火災の1127.7%を筆頭に、共栄火災が977.9%、富士火災が919.5%で続いた。
 3メガ損保の連結業績を見ると、当期純利益は、東京海上ホールディングスが2545億4000万円、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが1815億1600万円、SOMPOホールディングスが1595億8100万円で、3社とも増益。SOMPOホールディングスは前年度比で194.0%増となった。

 
[2016-05-25]
 損保協会が定例会見、熊本地震の保険金額1234億円、阪神・淡路大震災を上回る

 損保協会は5月20日、業界紙向け定例会見を行い、熊本地震に係る地震保険金の支払額が約1234億円に上り、阪神・淡路大震災時の支払額783億円を上回ったと発表した。地震保険では、東日本大震災に次ぐ2番目の規模となる。この他、熊本地震発生後の情報提供活動や、外国人居住者向けウェブサイトの中国語版・韓国語版の公開について報告した。
 5月16日現在、熊本地震に係る地震保険(協会会員会社・非会員会社合計)の支払件数は7万6580件、支払金額は1233億5194万7000円で、事故受付件数(注1)は17万1942件、調査完了件数(注2)は8万4422件となった(表参照)。支払額は損害調査が進むとともに、今後も増加すると想定される。
 20日現在、そんぽADRセンターには熊本地震に関する問い合わせが1155件寄せられている。地震発生後は土・日・祝日も相談を受け付けており、今後の態勢については状況を見ながら検討する。また、同協会では被災地の自治体と連携し、避難所でのポスター掲示やリーフレット配布などを通して地震保険に関する情報提供に努めてきた。これまでに熊本県の18自治体、336カ所の避難所でポスター393枚、リーフレット1万9580枚を配布しており、「発災直後は地震保険金の請求どころではない状況であり、適切な時期を確認しながら進めてきた」と説明した。
 会見ではこの他、日本で生活する外国人向けにリスクへの備えに関する情報を提供するウェブサイト「日本での安全な生活の手引き」(http://living−and−ins.jp/)の中国語(簡体字・繁体字)版・韓国語版を公開したことを報告した。より多くの外国人に母国語で情報提供を行うために、1月に公開した英語版に続き拡充した。同サイトは、日本人が身近な外国人居住者に紹介できるよう日本語版もあり、「外国人従業員を雇用している企業・団体や自治体窓口などでもリンクフリーで活用可能であり、リンクする際には当協会に一報を入れてほしい」としている。
 (注1)事故に関する調査依頼の他、地震保険の補償内容・顧客の契約内容に関する相談・問い合わせなども含まれ、建物・家財の合計値。
 (注2)調査が完了して保険金を支払った件数の他、保険金支払いの対象とならなかった事案や、相談・問い合わせを受け付けた段階で解決した事案などが含まれる。

 
[2016-05-24]
 MS&ADグループ2社が中小企業向け総合賠償責任保険を改定、対象業種・補償内容を拡充

 MS&ADグループの三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は4月に、中堅・中小企業向け総合賠償責任保険を共同開発し、既存商品を改定した。引受業種や補償内容を拡充した他、オンラインシステムを両社で利用することで、見積書や申込書の作成が容易になるなど事務効率化にもつながっている。基幹商品の競争力をより高めることで中堅・中小企業マーケットの拡大を図る考えだ。
 今回、改定したのは三井住友海上の「ビジネスプロテクター(建設業用を含む)」とあいおいニッセイ同和損保の「タフビズ賠償総合(建設業総合)」。リコールリスクの補償で、対人・対物事故が発生した場合に加え、対人・対物事故発生前でもその恐れがあるとして製品を回収する場合の補償もオプションとして用意した。また、いわゆるセクハラ、パワハラなどに起因する労働紛争に関する雇用慣行賠償責任補償についても今日的な補償内容に見直した。
 引受対象業種についても、ビジネスプロテクターでは、これまで飲食、製造、販売、建設に限定していたが、ビルメンテナンス業や清掃業といったサービス業を新たに追加。一方、タフビズ賠償総合保険では、対象業種、補償範囲、支払限度額などを拡充したことに加え、ビジネスプロテクターのシステムをタフビズ用にアレンジして利用することで、見積書・申込書の作成や、契約計上をオンライン化し、営業担当者や代理店の事務効率化を図った。
 総合賠償責任保険は、売上高50億円以下の企業を対象に、さまざまな賠償リスクを包括的に補償する両社の基幹商品で、業種と売上高のみで保険料を算出するなど顧客にとって分かりやすく、簡便に加入手続きできる商品として好評を得ており、これまで両社合計で約8万件、200億円の収入保険料を計上している。グループシナジーの発揮を踏まえて約2年前から両社担当者が検討を重ね、もともと別々に開発・販売していた両商品の補償内容を近づけるとともに、商品特性や両社の販売戦略に沿って独自性も残しながら改定した。今後、それぞれのターゲット業種を中心に販売推進し、両社共、収入保険料で20%増を目指すとともに、他の企業向け商品との多種目販売にもつなげていく考えだ。
 三井住友海上で商品改定を推進した火災新種保険部責任保険チームの柴田健課長代理は「当商品はシンプルで分かりやすく、補償内容も充実しているとして中小企業のお客さまから好評を頂いている。今回の改定でさらに対象業種やカバー範囲を拡充したことで、マーケットをより一層開拓していければと思う」としている。また、あいおいニッセイ同和損保企業商品部新種グループの森太志主任は「商品開発部門として常に心掛けていることは、お客さまに『この保険に加入していて良かった』と思われる商品を生み出すこと。今回の改定はお客さまの期待に応えられると自負しており、これからは商品の良さを広く伝えていきたい」と、今後の販売拡大に意欲を示している。

 
[2016-05-23]
 損保ジャパン日本興亜がAMI保険と業務協力覚書を締結、ミャンマー民間保険で初

 損保ジャパン日本興亜はこのほど、ミャンマーの民間保険会社であるAYA Myanmar Insurance Co., Ltd.(AMI保険)と業務協力覚書を締結した。ミャンマーの民間保険会社が外国保険会社と業務協力覚書を締結したのは今回が初めてとなる。
 ミャンマーでは長らく保険事業が国有化されていたが、2012年に保険市場が国内資本の企業に限定して民間に開放され、現在までに11の民間保険会社が営業を開始している。AMI保険はそれらの企業の一つとして保険販売を行っており、同一グループ内に大手民間商業銀行(民間銀行中預金量第2位)を保有していることから、自動車ローンや住宅ローンに付随する保険販売に強みを持っている。
 損保ジャパン日本興亜は、15年5月25日付でミャンマーのティラワ経済特区での損害保険の引き受け(元受)に関する営業認可を取得し、営業活動を展開している。
 同社は今回の覚書締結を機に、現地保険販売に関するノウハウを吸収するとともに、AMI保険との人材交流や研修・セミナーの開催などを通じて、保険引受や損害査定ノウハウなどの共有を図り、ミャンマー損保市場の発展に貢献していくとしている。

 
[2016-05-20]
 三井住友海上・原典之新社長が今後の基本戦略説明、トップ水準の保険・金融グループへ

 4月1日付で三井住友海上の社長に就任した原典之氏が、同社の基本戦略について説明し、今後2年間を経営ビジョン「世界トップ水準の保険・金融グループ」実現に向けたステップ期間と位置付け、規模の拡大に加え、サービスの標準化や商品開発力など品質面でもより一層のレベルアップを図る考えを示した。また、注力分野として少子高齢化への対応やICTの活用を挙げた。
 原社長は、2001年の三井海上と住友海上の合併時には正味収入保険料で両社合わせて約1兆2000億円だったのが、海外事業の拡大などによって現在はグループ全体で3.4兆円ほどの規模に成長し、欧米の大手保険グループと肩を並べる水準に近づいているとの認識を示した。
 国内市場の見通しについては、少子高齢化などの環境変化ではマイナス面が多いものの、高齢者の増加やライフスタイルの多様化、企業による海外進出の増加などが未知のリスクを顕在化させて新たなビジネスチャンスを生み出すと指摘。今後は特に少子高齢化への対応とICTの活用に注力し、ドローン利用者向け賠償責任保険、再生医療等臨床研究向け責任保険、若者向け自動車保険といった世の中の変化に合わせた新たな商品やサービスを引き続き提供していく考えを示した。
 自動車保険の今後を左右するとみられる自動運転技術への対応については、日本政府が2020年までの到達を目指すレベル3(加速・操舵・制動をシステムが全て自動的に行い、システムからの要請があった場合にドライバーが対応する)までは現行の自動車保険の枠組みで対応できるとする一方、ドライバーが全く運転に関与しない完全自動運転のレベル4では枠組みを変える必要があるとしつつも、現状では事故が起きた際の責任主体や法整備の方向性が不透明であることから、今後も研究を進めていくと同時にその動向を注視していくと述べた。
 新技術の商品やサービスへの活用としては、既にコールセンターで導入している人工知能の活用領域の拡大を検討するとともに、本年度からデジタルマーケティングを試験導入し、ホームページのアクセスやアンケートなどを基に将来の見込客の分析を進めていくとした。
 また、MS&ADグループの機能別再編については、今後、損害サービス部門であいおいニッセイ同和損保と共同のシステムを開発し、保険金支払期間の短縮化などで顧客サービスの向上を図る他、損害調査の特定業務について共通部署の新設を検討していることを明らかにした。
 海外戦略については、2月にアムリン社の買収手続きが完了したことにより、海外事業の収入保険料の比率が欧州2:米州2:アジア6から、欧州4:米州2:アジア3へと分散化が進んだと説明。今後は欧米での新たな事業基盤を強化しつつアジアでの損保・生保事業を一層成長させる方針を示した。特に、アムリン買収のシナジーについては、同社が得意とするスペシャルティー分野の引き受けノウハウをアジアのネットワークや、元受ライセンスを取得している米国50州で展開する他、大規模自然災害などでの優れた引き受け能力やリスク管理能力を活用していくとした。
 原社長は今後の課題について「中期経営計画は4年間のうち2年が終わり、残り2年でステージUを遂行するのが当面の私の仕事。世界トップ水準の保険・金融グループには、規模の面では近づいてきたことから、今後はクオリティー面、特に日本だけでなく海外を含めた人材や商品、サービス面での質の向上を図りたい。併せて、商品開発力やリスク管理、マーケティングでの技術力をよりレベルアップさせたい」としている。

 
[2016-05-19]
 太陽生命「かけつけ隊サービス」拡充、診断書取得代行を開始

 太陽生命はこのほど、シニア層の顧客がより一層安心・便利に手続きできるように請求の手伝いを内務員が行う「かけつけ隊サービス」を、さらに充実させた。
 同社は4月から、支払い手続きの専門知識を持つ内務員が顧客の下へ直接訪問し、給付金の手続きをサポートする「かけつけ隊サービス」を実施しているが、このほど、内務員が持参する携帯端末に、顧客からのさまざまな照会事項にその場で回答ができる閲覧機能(契約管理システム〈OfficeWin〉)を新たに搭載。これにより、顧客が自宅にいながら支社窓口に来社した場合と同等のサービスを提供できるようにした。さらに、シニア層の顧客だけではなく、障がいを持つ顧客に対しても一層安心・便利で確実な手続きが可能となるよう、新たなサービスとして「診断書取得の代行サービス」と「内務員による請求書類作成のサポートサービス」を開始した。
 「診断書取得の代行サービス」は、シニア層の顧客がさまざまな理由で診断書を取得できず、請求手続きに苦慮した場合に、同社の内務員が診断書取得を代行するもの。診断書取得の代行に関する手数料などは発生しない。診断書取得に関する病院への問い合わせなどは、専門知識を持つ内務員が行う。
 「内務員による請求書類作成のサポートサービス」は、シニア層の顧客が請求書類への代筆を依頼できる親族が身近にいない場合にも支障なく請求手続きを行えるよう、内務員による代筆を行うもので、高齢や障がいなどの理由で書類を記入する負担が大きい顧客が利用できる。実際に顧客が代筆による手続きを希望した場合には、内務員が持参する携帯端末によって本社サポートセンターの担当者へテレビ電話を接続し、顧客の請求意思などの確認を行って、厳正かつ迅速に手続きを行う。
 また、同社では、「かけつけ隊」が迅速な対応を行えるよう、新サービスの開始に合わせて専用の社用車を全国の支社に配置。併せて、ひと目で同社社員であることが分かるよう、内務員の制服を制作した。同社の内務員に対する制服の制作は17年ぶりとなる。デザインは、コーポレートカラーの赤のラインをアクセントとして、同社らしさを演出している。

 
[2016-05-18]
 第一生命 16年3月期決算、連結純利益 5期連続最高、第一フロンティア通期黒字に

 第一生命は5月16日、2016年3月期の決算報告を行い、第一フロンティア生命が通期では初めて黒字を達成したと発表した。連結純利益は、米プロテクティブ社の業績上乗せなどにより、上場以来5期連続で最高実績となった他、機動的な投資を行い安定した利回りを確保したことなどから基礎利益も開示以降最高実績を記録した。今後は、2年連続となる自己株式の取得(160億円を上限)を実施し、株主還元を一層充実させる。17年3月期の業績はさらなる増益を予想し、同期の株主配当も増額を見込んだ。
 グループの業績は、連結経常収益が7兆3339億円(前期比1%増)で、連結経常利益は4181億円(同3%増)、連結純利益は1785億円(同25%増)となり、共に前期比で増加した。連結主要業績は、保険料等収入が同1532億円増の5兆5860億円となった他、利息・配当金等収入も同2188億円増の1兆753億円となった。
 新契約年換算保険料は前期比14.2%増(プロテクティブ社を除くと3.7%増)の3872億円となり、保有契約年換算保険料は3兆3962億円(前期末比5.6%増)だった。基礎利益(調整後)は、プロテクティブ社の業績連結が主たる要因で、前期の5202億円から5746億円に増加した。
 第一生命単体では、基礎利回りは超低金利が継続する中にあってヘッジ外債の積み増しなどで利回りを確保し、順ざやを維持。一方、平均予定利率は追加責任準備金の新規繰り入れと金利動向を踏まえた予定利率の設定により、下降傾向を維持した。解約失効高は、継続的に対策に取り組んだことで、前期の4.12%から3.87%に改善した。
 健全性指標の含み損益では、有価証券は6兆2120億円(同7203億円増)で、そのうち国内債券は4兆229億円(同1兆7861億円増)、国内株式は1兆3128億円(同4728億円減)、外国債券は6787億円(同3329億円減)、外国株式は1720億円(同2171億円減)、さらに不動産が1303億円(同547億円増)で、その他共計で6兆3346億円(同7839億円増)となった。
 ソルベンシー・マージン比率は前年同期比12.4ポイント減の900.8%で、実質純資産額は同9000億円増の10兆円となった。
 第一フロンティア生命は、経常収益が1兆9675億円で、保険料等収入は、前年に引き続いて高水準となり当初計画を上回る1兆8730億円だった。純利益は243億円と黒字を確保した他、保有契約高と基礎的収益力も共に着実に増加した。プロテクティブ社の業績(同社による買収以降)は、当初予測の2億3000万ドルを上回り2億6800万ドルだった。豪TAL社は、経常収益が32億3100万豪ドル(前年比2%増)、保険料等収入は、個人保険の販売が堅調だったことに加え、団体保険事業で大型契約を獲得したことなどにより30億2000万豪ドル(同10%増)だった。
 グループの17年3月期業績予想では、経常収益は国内事業の貯蓄性商品の販売をコントロールしていることから減収を見込むが、純利益はプロテクティブ社の貢献や海外事業の利益拡大により増益すると見ている。株主配当も16年3月期から5円引き上げ、1株当たり40円と増配を予想した。

 
[2016-05-17]
 損保協会発表、熊本地震に係る地震保険、4万件、610億円の支払い

 損保協会は5月11日、5月9日現在の熊本地震に係る地震保険の支払件数、金額など(協会会員会社・非会員会社合計)を取りまとめ、発表した。それによると、合計支払件数は4万342件、支払保険金は609億9362万8000円となっている。
 都道府県別の内訳は別表の通り。「事故受付件数」には、事故に関する調査の依頼の他、地震保険の補償内容・顧客の契約内容に関する相談・問い合わせなども含まれ、建物・家財の合計値である。「調査完了件数」には、調査が完了して実際に保険金を支払った件数の他、保険金支払いの対象とならなかった事案や相談・問い合わせなどを受け付けた段階で解決した事案などの件数が含まれる。


[2016-05-16]
 さくら少短が「モバイル保険」提供開始、修理費用年間10万円まで補償

 さくら少額短期保険は5月13日、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどの無線回線に接続可能なモバイル・IT機器の修理費用を補償する「モバイル保険」の提供を開始した。ユーザーにひも付くモバイル機器に特化した修理費用保険は、同社によれば国内初。
 同商品は、モバイル機器が遭遇するさまざまな損害に対し、月々700円で最大3台分、最大で年間10万円まで何度でも修理費用保険金を5営業日以内で支払うのが特長。もし修理不能となってしまった際にも、再購入の補助として保険金を支払う。対象となるのはユーザーが所有しているスマートフォンやタブレット端末、スマートウォッチなどのモバイル機器最大3台までで、端末ではなく個人にひも付くため、モバイル機器の機種変更の際や通信キャリアを変更した場合でも継続して利用でき、機種変更やキャリア変更時、機器追加時にも保険料の変更はない。スマートフォンをはじめとするモバイル業界においては、一般的に2〜3年が端末の買い替えサイクルといわれている。通信キャリアやメーカーが提供している補償サービスのライフサイクルもこの期間と重なっており、買い換えや乗り換え後は新たに補償サービスに加入することが必要だが、同保険に加入することで、ユーザーは永続的な補償を得ることができる。
 同社では保険加入時にユーザーへ、契約内容や保険金申請状況などが確認できるマイページも併せて提供する。マイページを使うことで、ユーザーは事故発生時の保険金請求もウェブ画面でスピーディに行うことができる。トラブル発生時の保険金請求も簡単に行える環境を提供することで、ユーザビリティーを高めている。
 今後のサービス予定として、キャッシュレスでの修理サービスも計画している。事故発生時に、同社と提携するスマホ・タブレット端末の修理店情報を提供し、同修理店でキャッシュレスで修理サービスを受けることが可能になる予定。同社は5月13日から提携修理店の募集も開始している。
 スマホやタブレット端末の普及が加速しており、1人当たりの保有デバイス数は2003年に1人当たり0.8台だったが、15年には1人当たり約3.5台、20年には約7台になると予想されている。併せてSIMフリー端末やMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティー)が普及しモバイル機器の利用環境が多様化する中で、端末故障時の補償に関しては携帯キャリアや端末メーカーによる提供が主で、限定的な環境となっていた。同社では、第三者分野から、端末ではなく加入者個人にひも付く保険として広く補償を提供することで、ユーザービリティーを高め、モバイル機器補償の可能性を広げていくとしている。


 
[2016-05-13]
 あいおいニッセイ同和損保が「フード&アグリラボ」設立、食品関連企業向けの支援

 あいおいニッセイ同和損保は4月18日、地域の食品関連企業(飲食業、食品製造業、販売業、ホテル・旅館業に該当する企業)、農業への参入を検討している企業を会員とする地域AD倶楽部(注1)の業種別分科会「フード&アグリラボ」を設立した。
 同分科会では、会員向けにセミナーやメールニュースなどの情報発信や無料法律相談・人事労務相談の他、「フード&アグリサポーター(注2)による本業支援メニュー」を提供する。「本業支援メニュー」では、@覆面調査員が一般客として店舗を訪れ、実際の購買行動を通じて商品やサービスの評価を行う他、外国籍モニターが来店し、日本語以外の言語を利用して接客応対を調査する「インバウンド向け店舗診断サービス」も用意した「店舗診断サービス」A風評監視サービスの他、ネットに精通したエンジニアと専門のウェブコンサルタントが協力し、ネット上の風評被害を迅速かつ総合的に対策する「インターネット監視サービス」B発送コスト・到着コストの二つの観点からダイレクトメール発送のコスト削減を提案する「DMコスト削減サービス」などが用意されている。
 近年、食品関連業界では、従業員による不適切なネット投稿、情報漏えいなどがSNSを介してネット炎上につながるケースが多発している。また、異物混入などを原因とした生産物のリコールが後を絶たず、対応を誤ればブランドイメージが損なわれ多額の賠償問題にも発展する。フード&アグリラボは、こうした多様化・複雑化する課題を抱える食品関連企業へソリューションメニューを提供する。
 (注1)情報提供・企業交流・地域貢献の三つの柱で地域に貢献する活動およびその仕組み。
 (注2)同社とタイアップして会員に独自性の高いサービスや会員特典を提供する食品関連企業の周辺業者。


 
[2016-05-12]
 エクセルエイド少額短期保険が糖尿病保険ミニと普通保険ミニの販売開始、ニーズに臨機応変に対応

 エクセルエイド少額短期保険は4月11日から、死亡保険金を10万から90万円まで10万円単位で設定できる「糖尿病保険ミニ」と「エクセルエイドの普通保険ミニ」の販売を開始した。これまでよりも安価な保険料で少額の死亡保険金を求める高齢者などの顧客ニーズに応えていく。高島武彦社長は「少額短期保険会社として、本来カバーしなければならない顧客ニーズに臨機応変に対応した保険商品として提供する」と強調している。
 エクセルエイド少額短期保険(東京都新宿区)では、100万円単位で最高300万円まで死亡保険金を設定できる死亡保障として糖尿病保険ライフ、エクセルエイドの普通保険ライフを提供している。しかし、近年、家族葬が増加するなど、葬儀が小規模化する傾向にある中、葬儀費用などに備える死亡保障へのニーズが変化している。同社が契約者や代理店などの意見を集約したところ、死亡保険金として100万円単位ではなく、より少額のものを求める声が多かったことから、死亡保険金を10万〜90万円まで10万円単位で選ぶことができ、顧客ニーズにフレキシブルに応える商品として糖尿病保険ミニと普通保険ミニを開発した。
 高島社長は「高齢者の中には、2カ月に1回の年金の中から月々の保険料を支払わなくてはならない人もいる一方で、死後の身の回りの片付けのために数十万円程度を残しておきたいといった人もいる。こうした人々に適した保険料や死亡保険金の商品を開発した。多様化する顧客ニーズにきめ細やかに応えていくという少額短期保険会社の理念を商品として具現化できた」と話す。
 糖尿病保険ミニは、糖尿病または糖尿病に起因する疾病については発症時期を問わず、その他の疾病・事故による傷害については責任開始日(契約日)以後の発症、発生に対して保障する。糖尿病(合併症含む)、糖尿病以外の疾病、事故による傷害によって死亡した場合に所定の死亡保険金を支払う。
 エクセルエイドの普通保険ミニは、疾病・事故による傷害について責任開始日(契約日)以後の発症・発生に対して保障する。疾病・事故による傷害によって死亡した場合に所定の死亡保険金を支払う。
 いずれも加入年齢は満50歳〜満89歳まで、審査は告知のみ(無診査)、保険期間は1年の更新型、病歴にかかわらず更新可能としている。免責期間は初年度の保険契約に限り、責任開始日(契約日)から60日間であり、免責期間中は事故による傷害を除き保障しない。
 パンフレットに掲載している月払保険料表は、表上部の死亡保険金と性別を記載している部分を山折りにして自身の年齢欄に合わせると、月々の保険料が確認しやすくなるように工夫されている。
 販売は同社の販売チャネルの核となっている代理店、インターネット、資料を請求した顧客に対するアウトバウンドコールで行う。同社では2015年9月から保険料が変わらない死亡保障として糖尿病保険フラット、普通保険フラットを提供しており、今回の新商品の提供開始に伴って、商品ラインアップがさらに充実する。高島社長は「新商品と既存商品の組み合わせによって、これまで対応できなかった死亡保険金、例えば150万円、250万円といった100万円、200万円に数十万円を付加するといったニーズも拾えるようになる」と説明する。
 また、同社は15年9月20日から、ウェブサイト上で「マイページ」機能を順次リリースしている。サービスの第1弾として実装した「お見積り保存機能」では、試算した見積もりの保存を可能とした他、登録されたメールアドレスにログイン情報を送信し、いつでも簡単に見積もり内容を確認でき、保存した内容でインターネット申し込みを再開できるようにした。
 16年1月27日からは、第2弾サービスとして保険契約者専用ページを追加。契約者自身がマイページにログインすることで、インターネットからいつでも契約内容の確認、登録情報変更の申請(住所変更、電話番号変更、保険料支払方法変更、名義変更など)が可能となった。
 現在、第3弾サービスとなる代理店用マイページを準備している。各種変更処理や手数料明細の確認を可能にする他、見込み客の登録などもできるようにする。5月上旬にリリースする予定。高島社長は「今後もマイページの機能充実を図り、インタラクティブなビジネスモデルを構築していく」との考えを示している。


[2016-05-11]
 SOMPOリスケアマネジメントが食品リスク総合コンサルを拡充、SNS・ウェブでのリスク対策追加

 SOMPOリスケアマネジメントは5月2日から、「食品リスク総合コンサルティング」に危機管理、SNS・ウェブでのリスク対策や食品安全マネジメントなどの取り組みを支援するメニューを追加するなど拡充し、提供を開始した。費用は15万円(税抜)からで期間は1カ月〜12カ月。同社では年間30件、5000万円の受注を目指すとしている。
 このほど追加した主なメニューは次の通り。
 【危機管理(事故対応)分野】
 食品事業に重大な影響を与える可能性のある大規模食品事故・リコール対応への備えを充実するため、SNS・ウェブリスク対策支援、事故発生時の広報支援(年間アドバイザリー契約)、机上回収シミュレーション・回収費用算出プログラム(PML、注1)などのメニューを追加した。SNS・ウェブリスク対策支援では、ウェブモニタリング専門会社(潟Gルテス)との業務提携により体制を強化し、高品質なサービスを協働で提供する。
 【食品安全マネジメント分野】
 食品製造事業者、特に中小の事業者が、HACCP(注2)に基づく最適な工程管理や最適な食品安全管理を進めるために必要な人材育成やマネジメント手法に係る、品質管理(保証)部門の人財育成支援(年間アドバイザリー契約)、工場監査支援、日本発食品安全マネジメントに関する情報提供などのメニューを提供する。平時の食品リスク管理から有事の危機管理まで、具体的なサポートを要望する食品事業者の声に応え、管理局面・分野別に「年間アドバイザリー契約」方式により相談・助言で対応する。事故発生時にも広報対応などの緊急時対応支援を行う。
 【販路拡大関連】
 輸出やハラールビジネスに関心がある食品事業者向けに、輸出ビジネス・販路拡大教育、ハラールビジネス体制構築支援の二つのメニューを提供する。食品産業のグローバル化やフードチェーンの複雑化に伴い求められる国際的に通用する食品安全規制、HACCP導入への対応およびハラールビジネス体制構築を含めた輸出促進を支援する。
 日本国内の食品の年間リコール件数は14年に1000件を超えた。また、14年12月に発生したSNSへの写真投稿を端緒にした異物混入事案を契機に、提供食品への異物混入が社会問題化するなど、異物混入クレームやその回収対策への関心が高まっている。特にSNS・ウェブを通じた個人のネガティブ情報の発信が、急速に拡散・伝播して企業の評判に大きな影響を与える事案が顕著に増えており、SNSやウェブでの対策は、食品事業者の喫緊の課題となっている。
 一方、近年、食品産業のグローバル化やフードチェーンの複雑化などに伴い、食品安全規制へのHACCPの導入が世界的な潮流となっており、日本でも20年オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、HACCPの導入を義務化する動きがある。
 しかし、国内食品事業者、特に中小食品事業者のHACCP導入率は30%程度とされており、HACCPの導入は、今後、多くの中小食品事業者にとって重要な課題となることが予想されている。
 また、日本政府は食品産業の輸出や海外展開を進めており、14年の農林水産物・加工食品の輸出額は6117億円と過去最高になったものの、これを20年までに1兆円に拡大させる目標を設定している。
 従って今後、輸出や海外事業展開を目指す食品事業者がさらに増え、また、これに伴い、国際的に通用する食品安全マネジメントの導入やハラール対応へのニーズが高まると予測される。
 このような背景の下、同社では、食品業界におけるさまざまな経営環境変化に対応した取り組み・推進に係るサービスを提供し、食品事業者の事業戦略の実現を支援することを目的に、新たなメニューを開発、同コンサルティングに追加し、拡充して提供することとしたとしている。
 同社は今後は、同コンサルティングを通じて、食の安全・安心の推進を支援するとともに、損保ジャパン日本興亜グループ各社との連携のもと、食品事業者の事業発展の後押しをしていくとしている。
 (注1)Probable Maximum Loss(最大予想損害額)
 (注2)効果的に問題製品の出荷防止を図る工程管理システムで、Hazard Analysis Critical Control Point(危害要因・重点管理点)の略。


 
[2016-05-10]
 SBIHD 16年3月期決算、損保で通期黒字達成、自動車保険保有件数82万件に

 SBIホールディングスは4月28日、東京都千代田区のザ・キャピトルホテル東急で2016年3月期の決算説明会を開催した。SBI損保の自動車保険の保有契約件数は約82万件(前年度比12.1%増)、元受正味保険料は287億400万円(同12.2%増)で、通期税引前利益(IFRS)は9000万円(前期比7億800万円増)となり、08年の営業開始から初めて通期黒字を達成した。SBI少額短期保険とSBIいきいき少額短期保険の保有契約件数も大幅に増加した。北尾吉孝社長は損保の黒字について「サステイナブルなもので、今後は利益が積み上がっていく」と強調した。
 SBI損保は、自動車保険を中心とする保険契約が順調であったことや、コスト削減を徹底したことで通期黒字(IFRSベース)を達成した。コンバインド・レシオ(元受ベース)も95.5%と順調だった。今後は、火災保険分野でダイレクト型の安価な商品を開発していく方針で、「住信SBIネット銀行やアルヒ(旧SBIモーゲージ)は住宅ローンを多く扱っており、これらの企業とのシナジー効果を徹底的に追求することで火災保険の販売コストを大幅に下げられる」とした。
 SBI生命は、2月から新規保険の引き受けを再開し、定期保険、終身医療保険の新商品を発売。これに伴い代理店手数料などの費用が増加したものの、債券売却による資産運用益を計上し堅調な業績を維持した。両商品は今後、リアルチャネルとネットチャネルを通して販売していく。
 SBI少額短期保険といきいき少額短期保険の保有契約件数は大幅に増加。北尾社長は「必要な資本が少額で、生損保の兼業が可能」というメリットから、少額短期保険会社のさらなる買収を検討していると明かした。また、再保険事業については、今期前半での営業開始を予定しているとし、グループ外に支払う再保険料コストを抑えることで保険事業全体の収益力を強化する考えを示した。
 保険事業では他に、テレマティクス技術やウェアラブル端末などを利用して個人のリスクや特性に応じた保険料を算出する「パーソナルな保険商品」の開発をロボットベンチャー企業などと連携して推進していくと述べた。
 グループの連結業績は、収益(売上高)が2617億4400万円(前期比5.8%増)、税引前利益は522億2700万円(同17.2%減)、当期利益は366億6600万円(同6.7%減)だった。16年3月期通期の親会社所有者帰属持ち分当期利益率(ROE)は9.0%で、前期の12.9%から3.9ポイント減少したものの、アルヒとSBIライフリビングの売却による影響を除くと、税引前利益は前期比19.1%増となる。
 この業績を踏まえて16年3月期の年間配当を1株当たり45円とし、配当と自己株式取得の合計額による総還元額は144億円、総還元性向は42.2%になった。北尾社長は「今後も、総還元性向40%の株主還元を目指していく」と述べた。


 
[2016-05-09]
 AIGグループがLGBTへの対応を本格化、同性パートナーの保険金受取人指定可能に

 日本におけるAIGグループ(AIGジャパン・ホールディングス、AIU、富士火災、アメリカンホーム、AIG富士生命など)は、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性とその受容)の取り組みの一環として、LGBTの顧客や従業員への対応と理解促進のための活動を本格化させている。
 【保険商品の死亡保険金受取人指定に関する対応】
 AIU、富士火災の取り扱う傷害保険と旅行保険について、これまでは死亡保険金受取人を被保険者の「配偶者または親族」以外を指定する場合、保険募集人が被保険者と面談して署名・押印を取得することと、被保険者の公的証明書による本人確認をすることを義務付けていたが、3月後半より、同社が認めたパートナーシップ証明書の写しなどを提出した場合には、被保険者の「配偶者または親族」と同等の扱いとし、申込書に被保険者の署名・押印のみの手続きに変更した。
 AIG富士生命が取り扱う生命保険については、5月16日より同社所定の条件を満たした場合、死亡保険金受取人に同性パートナーの指定を可能とする運用に変更する。
 【従業員の福利厚生の見直し】
 5月1日より、日本におけるAIGグループ各社の就業条件を統合し、それに併せて、従業員の福利厚生制度における、結婚および配偶者の定義に「同性婚」を追加する。
 これにより、例えば、結婚祝い金や結婚式休暇の適用範囲が同性婚の従業員にも拡大されることとなった。
 また、代用社宅規程、単身赴任補助規程、転勤費用規程などにおいても同様に、同性婚のパートナーを対象に含めている。
 【LGBT当事者と支援者からなる会社公認の従業員グループが発足】
 LGBTの社員が自分らしく働きながら、自身の能力を最大限に発揮できるような職場環境をつくることをミッションとする、LGBT&Allies Rainbow ERG(Employee Resource Group:従業員グループ)が2月に発足した。
 ERGは会社公認の従業員グループで、役員が相談役として参加し、活動費が支給される。LGBTに関するERGはAIGではニューヨークをはじめ、世界9カ所で組織され活動している。日本では4月22日のキックオフイベントを皮切りに、LGBTに関する正しい知識を従業員が身につけるためのさまざまなイベントや活動を行っていく。
 【従業員・保険募集代理店への教育】
 AIGでは以前より、従業員の守るべき行動規範の中で、同僚を性的指向などによって差別することを禁じていたが、日本におけるAIGグループでは昨年より従業員に対するLGBTに関する教育を強化している。
 ▽2015年10月:役員を対象としたLGBTに関する研修を実施し、研修内容を全社員に共有した。
 ▽16年1月:全管理職が順次受講するハラスメント研修の中にLGBTに関するパートを導入した。
 ▽16年3月:役員より従業員へLGBTへの理解を求めるメッセージを配信した。
 【レインボープライドへの協賛】
 15年11月22日に開催された九州レインボープライドの協賛に続いて、4月29日から5月8日に開催された東京レインボープライド(注)に協賛した。
 AIGジャパンでは、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性とその受容)推進に力を入れており、LGBTの社員の他にも、女性社員や共働き社員、若手社員、障がいのある社員が働きやすい職場環境づくりを行っている。同社では、社員にとって働きやすい環境を整えるだけでなく、多様な視点に基づいて顧客に対する理解を深め、イノベーションの向上とリスクの低減を実現し、競争力を向上させたいと考えているとしている。
 (注)5月7日に開催された「フェスタ」、5月8日に開催された「パレード」に加え、4月29日から5月8日に実施した「レインボーウィーク」キャンペーンの総称。


 
[2016-05-06]
 オリックス生命が「特定疾病保障保険ウィズ」発売、業界初 定期・無解約払戻金型

 オリックス生命は5月2日から、新商品「特定疾病保障保険With[ウィズ]」を販売している。同商品は「終身・低解約払戻金型」「定期・無解約払戻金型」の2タイプが選択可能で、がん・急性心筋梗塞・脳卒中を保障する他、死亡保障も提供する。死亡保障がある特定疾病保障保険の定期・無解約払戻金型は、同社によれば業界初となる。
 同商品は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中を保障し、所定の事由に該当した時に保険金を支払う他、万一の場合は死亡保険金を支払う。不慮の事故により所定の身体障害状態になった場合は、以後の保険料の払い込みは免除され、そのまま保障が継続する。急性心筋梗塞・脳卒中の支払い事由に「治療を目的とした手術」を追加するなど、分かりやすさも兼ね備えた商品となっている。
 また、加入者は付帯サービスとして、「オリックス生命の健康医療相談サービス」を利用できる。
 同社では、「シンプルで分かりやすいこと」「合理的な保障を手頃な価格で提供すること」をコンセプトに、「医療保険 新キュア」「医療保険 新キュア・レディ」「終身保険ライズ」「収入保障保険キープ」「引受基準緩和型医療保険 新キュア・サポート」「引受基準緩和型終身保険 新ライズ・サポート」など、顧客が必要とする保障に合わせた商品を開発してきた。同社が実施した調査によると、罹患(りかん)した場合に経済的負担などの不安を感じる疾病は、「がん、脳卒中、心筋梗塞」がそれぞれ約半数以上の回答を占める結果となっている。同社では、そのような不安を払拭(ふっしょく)するため、長期治療で休業を余儀なくされた場合でも罹患前と同等の生活水準を維持するための保険として同商品を新たに開発したとしている。


 
[2016-05-02]
 日本生命 16年度資産運用方針、海外投資拡大で利回り確保

 日本生命は、2016年度の一般勘定資産運用として海外・クレジット資産への投資を拡大することで利回りを確保する方針だ。インフラ投融資にも注力する。海外インフラファンド投資で得たノウハウを国内インフラ投融資にも生かす考えで、インフラファンド投資枠400億円を設定した。一方、国内金利が低下する中、引き続き国内債券への投資を抑制する考え。4月22日に同社丸の内ビル(東京都千代田区)で開催した運用方針説明会で、財務企画部の佐藤和夫部長が明らかにした。
 佐藤氏は、マイナス金利は厳しい運用環境としながら、「従前より、低金利環境下でも長期的・安定的な利回りを確保するよう取り組んでいる」と各種施策を説明。16年度はヘッジ外債やオープン外債を積み増しする計画で、為替水準などに応じて配分を調整するとともに、米国債比率を減らし欧州債を増やして分散化を図る。同時に、運用の高度化を推進し、インフラ投融資や成長・新規領域を中心にさらなる運用体制の強化と多様性を通じて分散投資を徹底、低金利の進行・長期化にも耐え得る堅牢なポートフォリオを構築していくと強調した。
 具体的には、成長・新規領域への投融資に関して15年度以降3〜5年で約1兆円を目指す計画で、15年度の実績は約4100億円と平準的なペースを超過達成したことを報告。本年度以降も、近年、注目を集めるESG領域(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)への投資、グリーンボンドなどへの投融資に注力していく。
 また、インフラ投融資による一層の運用力強化を目的に、「公益」「交通」「社会」インフラを対象にした400億円のインフラファンド投資枠を設定。これによって、さらなる投資機会の獲得を目指すとともに、子会社のNLGIアメリカやNLGIヨーロッパが海外インフラファンド投資で得たノウハウを国内のインフラ投融資にも生かす。この他、PE投資(プライベート・エクイティ)の取り組みとして、国内の優良ベンチャー企業への成長資金供給や積極的な経営支援の実施、海外優良ファンドへの選別投資など幅広く投資機会をカバーし収益向上に努める。
 さらに、グループの資産運用体制についても公表。先進事例の研究やノウハウを吸収し実践する目的で、財務企画部内に運用強化チームを設置した。多様化する運用に対応する人材の育成が重要との認識の下、研修などで基礎的な素地を形成し、海外運用現法やニッセイアセットマネジメントとの人事交流、国内外企業への派遣を今後も継続的に実施していく方針。スチュワードシップ・コードについては、対象企業を昨年度の約90社から約200社に拡大するとともに、対話専管人材を2人増員し、新システム導入で事務削減を図る。同システムは生保初となるもので、PDCAサイクルの構築、議決権行使の電子化・ウェブ開示に対応し、年間2000時間に相当する事務負荷削減効果が見込めるという。同氏は「対話の質と量の一層の充実を実現していきたい」と展望した。


 

 (保険毎日新聞から抜粋)