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[2016-06-30]
 共栄火災が新中期経営計画発表、持続的成長に向け新たな段階へ

 共栄火災は2016年度から新中期経営計画「未来へのナビゲーション〜未来をより確かなものとするために〜」をスタートさせた。6月22日に開催した記者説明会では、杉中洋文社長自ら新中期経営計画に対する思いを語り「10年度以降取り組んできた経営改善に一定の区切りを付け、これからは社会の変化に対応しながら持続的に成長し、事業を継続していくための新たなフェーズに入っていく」と抱負を述べた。
 新中期経営計画は、今後の事業環境の変化に対応し、将来にわたって持続的な成長を遂げていくために必要となる企業体力を蓄え、基盤を固めることを目的としている。中でも核となるのが、@チャネル対応力強化による強固な営業基盤A内部留保の蓄積による健全な財務基盤B次世代に向けた人材の育成・総合力行による充実した人材基盤―の三つの基盤だ。同社は16年度からの3カ年を、この三つの基盤の構築期間と位置付け、事業に取り組んでいく。
 営業基盤については、信用金庫、信用組合、生協、農協、漁協などの協同組合・共同組織を中心とした特色あるチャネルを有する中堅損保として同社独自の強みを生かした営業展開を図っていく。それと同時に、同社の優位性が高く、収入保険料伸展の余地が見込めるチャネルや地域に重点的に経営資源を振り向けていく。また、最大株主であるJA共済連のグループの一員として、農業の大規模化、法人化、六次産業化についても機能を発揮していく考えを明らかにした。
 同計画の中では、計画実現のための基本方針として@企業収益力の強化A持続的成長と企業価値拡大に向けた態勢整備、B顧客ニーズに即した商品販売スキーム・サービスの開発力・提供力の強化C女性・高年齢層の活躍促進と人材育成の強化―の四つの柱を掲げている。
 この基本方針の下、保険引受収益力の強化や、JA共済連グループにおける役割のさらなる明確化、将来を見据えた情報システム基盤の整備などの施策に取り組んでいく方針だ。


 
[2016-06-29]
 保険市場研究会が損保募集制度に提言、ブローカーの規制緩和求める

 保険実務家や有識者から成る任意団体の保険市場研究会は6月28日、損害保険契約の募集制度の改善を求める提言を発表した。健全な保険市場の形成を目的に保険仲立人(保険ブローカー)制度の規制緩和を求めるもので、結約書作成義務の廃止、保証金の賠償責任保険への代替、顧客からの報酬受領などを要望した。また、企業グループ内代理店の自主性や専門性を促す提言も盛り込んだ。同日、東京都港区の航空会館で説明会を開催しており、今後もさまざまなテーマについて報道機関を通じた情報発信や、各関連団体との協議などを積極的に行うとしている。
 同研究会は、元帝京大学法学部教授の三宅正太郎氏、元中小企業庁長官の林康夫氏、英国ロイズブローカーのジャパン・イングランド・インシュアランス・ブローカーグループで代表を務める佐野圭作氏を共同代表者として2014年に発足。他に、ロイズ・ジャパン社長のイアン・ファーガソン氏、前全国商工会連合会専務理事の勝野龍平氏、高崎経済大学経済学部准教授の尾形祥氏、弁護士の須藤正彦氏、保険代理店潟Wェイアイエヌシニアアドバイザーの野崎仁之氏、JEIBジャパン社長の小田洋氏といったメンバーが名を連ね、1〜2カ月に1回程度の割合で保険市場の効率化・活性化をテーマに議論してきた。
 今回の提言は、損害保険契約の募集制度に関するこれまでの議論をまとめたもので、日本経済の国際競争力向上とそれに伴う企業のリスクマネジメント強化の観点から、公正な競争条件での損害保険市場の形成を求めている。
 具体的には、現行法下で機能が十分に発揮されていないとする保険仲立人について、結約書の作成義務の廃止(結約書不要書面の徴収廃止を含む)や、損保会社との契約による顧客からの保険料受領権、保証金供託の賠償責任保険への代替といった制度改善を要望する他、保険会社から支払われている手数料(報酬)の顧客側からの受領、欧米で認められている実質的業務負荷に見合った手数料体系(フィー制度)の導入などを提案している。
 一方、代理店については、損保会社への業務の依存度が高く、専門性が低い企業グループ内代理店(いわゆる機関代理店)が多数存在しており、そのことが市場の価格調整機能を阻害していると指摘。企業代理店の自己契約の定義を実質的視点で厳格化するとともに、企業案件を扱う代理店に対する損保会社の指導を見直して、代理店の自主性や専門性の促進を求めている。また、企業の経営者に対しても、自社の当面するリスクに対して機関代理店が適切な保険の付保をしているかを見直し、自社が直面するリスクに対して的確な損害保険契約の締結を行っているかを確認することが経営者の内部統制(ガバナンス)の根幹を成す義務だと指摘する。
 同研究会では「今回の提言は、わが国におけるより競争的、効率的な保険市場の実現を通じて、日本企業の損害保険による的確なリスクカバーを可能にし、国際競争力を強化するための方向を示すものであり、大海に一石を投じることができればと思っている」としている。
 提言の全文は保険市場研究会ホームページ(http://hokenkenkyukai.com/)に掲載されている。


 
[2016-06-28]
 SOMPOHDの中計、修正連結利益3000億円超へ、「安心・安全・健康」がテーマ

 損保ジャパン日本興亜ホールディングスはこのほど、2020年度までの5年間を計画期間とする新中期経営計画(中計)を策定し、発表した。新中計では、非連続な環境変化に対する強靭(きょうじん)で敏捷な対応力を兼ね備えたグループへの進化を目指す。「安心・安全・健康」をテーマとするサービス産業への構造転換を果たすとともに、グローバルプレーヤーと対等に戦えるポジションの確立に取り組む。計画の実行を通じて、将来的にグローバル上場保険会社トップ10水準の規模である修正連結利益3000億円以上、修正連結ROE10%以上の実現を目指す。新中計の開始に併せて、今年10月1日付で商号を「SOMPOホールディングス株式会社」に変更し、「安心・安全・健康」の「SOMPO」ブランドの強化を図る。
 新中計では、新たな事業機会の探求、既存事業の品質向上・サービス領域の拡大や事業間の連携を通して、それぞれの事業・サービスを各分野で魅力ある特徴を持ったアトラクションに進化・充実させる。併せて、「人」による顧客に寄り添ったサービスに加えて、デジタル技術を活用した顧客接点を拡充させていく。これらの取り組みを通じて、顧客の幅広いライフステージや日常生活で「安心・安全・健康」を総合的にサポートし、顧客の人生に笑顔をもたらす「安心・安全・健康のテーマパーク」への進化を目指す。
 同目標の実現に向けた戦略として、まずは各事業の魅力を徹底的に高め、並行してデジタル技術を活用したサービス拡充や顧客接点の強化、事業間連携などに取り組む。また、高品質なサービスをより早く提供するため、有力プレーヤーとの提携やM&Aによる成長加速・新たな事業機会の探求を積極的に進める。
 「安心・安全・健康のテーマパーク」のアトラクションを構成する@国内損保事業A国内生保事業B介護・ヘルスケア事業C海外保険事業―の4事業では、各事業のオーナーに権限を委譲の上、それぞれの成長フェーズに合わせた成長戦略をスピーディーに遂行するとともに、デジタル戦略、事業間連携によるトータルサポート、M&Aなどを通してグループ成長を目指す。
 国内損保事業では、先進的なシステム・情報基盤の構築と抜本的な業務プロセスの見直しにより顧客へ新たな価値を創造。最先端のデジタル技術の活用と専門性の高いヒューマンスキルにより、顧客接点の品質と利便性を飛躍的に向上させる。質を伴った成長と、グループ最大の顧客基盤・経営資源により、「安心・安全・健康のテーマパーク」構築をけん引する。
 国内生保事業では、顧客が健康になることを応援する「健康応援企業」として「生命保険のその先」を目指す。「健康」を軸にデジタルで顧客とつながり、健康維持・増進のための多様なサービスを提供。「サービス」「商品」「販売チャネル」の三位一体で、顧客に新たな価値を提供する。
 介護・ヘルスケア事業では、「高齢者の尊厳・自立」と「より安心・安全な介護サービス」の両立を目指す。介護、未病・予防、医療連携などの複合的な在宅サービスを一体的に提供するとともに、他業種連携を含めた介護・ヘルスケア周辺事業領域の強化を図る。
 海外保険事業では、Sompoキャノピアス社を先進国マーケットでの成長ビークルとして活用する一方、新興国ではリテール分野を中心とした事業展開の加速により着実なオーガニック成長を目指す。将来的な成長を期待する新興国と、早期の利益貢献が期待できる先進国に、バランスよく規律あるM&Aを実施する。
 なお、これら計画の実行に当たっては、戦略的リスク経営(ERM)をグループ経営の基盤とし、財務健全性の確保と最適な資源配分に取り組む。また、環境変化の流れを真っ先に捉え、スピード感ある取り組みを行うため、ダイバーシティ推進により多様性ある人材の確保・育成を推進していくとした。


 
[2016-06-27]
 かんぽ生命が保険料と予定利率を改定

 かんぽ生命は、市場金利低下や長寿化の進展を踏まえた保険料と予定利率の改定を実施し、8月2日以降の契約から適用する。
 保険料は極力引き上げ幅を抑え、主に高齢で加入する契約や死亡保障を主とする商品では保険料を引き下げる。
 8月2日以降の契約から適用する予定利率は、無配当傷害入院特約と無配当疾病傷害入院特約では現行の1.65%から1.15%に、両特約以外の保険種類では現行の1.50%から1.00%に引き下げる。


[2016-06-24]
 損保協会発表 熊本地震の地震保険支払、6月13日現在 約3000億円

 損保協会は6月16日、6月13日現在の熊本地震に係る地震保険の支払件数、金額など(協会会員会社・非会員会社合計)をまとめ、発表した。それによると、合計支払件数は19万311件、支払保険金は3019億2177万円となった。
 都道府県別の内訳は別表の通り。事故受付件数には、事故に関する調査の依頼の他、地震保険の補償内容・顧客の契約内容に関する相談・問い合わせなども含まれ、建物・家財の合計値。「調査完了件数」には、調査が完了して実際に保険金を支払った件数の他、保険金の支払い対象とならなかった事案や、相談・問い合わせなどを受け付けた段階で解決した事案などの件数が含まれる。


 
[2016-06-23]
 ダイレクト自動車保険9社 15年度業績、元受正味保険料は7%増(全社合計)

 ダイレクト自動車保険9社(ソニー損保、アクサ損保、チューリッヒ保険、三井ダイレクト損保、SBI損保、セゾン自動車火災、イーデザイン損保、そんぽ24、アメリカンホーム)が発表した2015年度(15年4月1日〜16年3月31日)業績によると、9社の元受正味保険料などの合計は前年度比7%増の3017億円となった。7社で前年度実績を上回り、堅調に推移した。国内で事業を展開する損保会社の15年度の自動車保険元受正味保険料は約4兆円となっており、ダイレクト自動車保険のシェアは約7%となった。
 ソニー損保は自動車保険の元受正味保険料が前年度比4.6%増の853億円と堅調に推移した。保有契約件数は自動車保険とガン重点医療保険を合わせて16年3月末で179万件となった。16年1月には、顧客の車の事故や故障などのトラブル時に、その場での的確な行動をナビゲートするスマートフォン向けアプリ「トラブルナビ」の機能を強化。電話でロードサービスを呼び出すときに、トラブル現場の位置情報やトラブル箇所の写真などのデータを送信できるようにすることで、顧客の電話での説明の負担を軽減する他、口頭での説明で生じがちな曖昧さを解消し、正確で円滑なロードサービス出動を可能にした。
 アクサ損保の自動車保険の元受正味保険料は同6.6%増の471億円だった。16年2月から、ファミリーマートと共同で、マルチコピー機を活用した自動車保険見積もりサービス「スキャンde見積り」を開始した。日本で初となる損害保険会社によるコンビニエンスストアのマルチコピー機を使った自動車保険見積もりサービスの提供を通じ、地方での顧客獲得を強化している。
 チューリッヒ保険の自動車保険の元受正味保険料は同2.8%増の363億円だった。成長戦略は順調に前進しており、自動車保険、傷害保険を中心として保有契約件数が増加した。16年3月には、主力商品の「スーパー自動車保険」の顧客サポート体制を拡充し、チャットを使った問い合わせ対応を開始した。
 三井ダイレクト損保は自動車保険の元受正味保険料が同4.5%増の360億円と前年度実績を上回った。
 SBI損保、セゾン自動車火災、イーデザイン損保の3社は増減率が2桁の伸びを示した。SBI損保の自動車保険の元受正味保険料は同12.2%増の287億円となった。保有契約件数は約82万件と15年3月末比12.1%増加した。セゾン自動車火災は自動車保険の元受正味保険料が同30.7%増の227億円と大幅な伸びを示した。イーデザイン損保は正味収入保険料が同24.3%増の210億円と好調に推移している。
 そんぽ24は自動車保険の元受正味保険料が同3%減の135億円だった。
 アメリカンホームは自動車保険の競争環境の激化によって同13%減の111億円となった。同社の元受正味保険料は収入の約8割を占める傷害保険・医療保険の分野では、同2.5%増加した。


 
[2016-06-22]
 T&DHDが中期経営計画を発表、持続成長でEV2.4兆円へ

 T&Dホールディングスはこのほど、2018年度までを計画期間とするT&D保険グループ中期経営計画を発表した。国内生保事業をコアに、成長領域をさらに拡大するためにシニアマーケットと乗合代理店チャネルへの取り組みを強化する他、同市場での競争力強化・シェア拡大、収益力向上に向け、提携やM&Aの機会を追求する。また、ERMの戦略的活用により株主資本の有効活用を推進し、健全性を確保しつつ高い収益性を実現する。これら全体方針の下、18年度末EV2.4兆円、同年度新契約価値1000億円、EV成長率(ROEV)7.5%以上の安定的・持続的な成長を目指す。利益(財務会計)は16〜18年度実質利益で850億円程度を見込む。
 新中期経営計画の名称は「Try & Discover for the Next Stage〜成長領域拡大の3年〜」。基本的方向性として、持ち株会社の下で中核生保3社が特化したマーケットで独自性・専門性を最大限発揮することで、グループ企業価値(EV)の安定的・持続的な増大の実現を目指す。計画期間を今後10年を見据えたファーストステージとして、“成長領域を拡大する3年”と位置付けて取り組む。
 成長領域拡大に向けた戦略のポイントは二つ。
 一つはシニアマーケットへの取り組みの強化で、太陽生命ではシニア人口の増加や自助努力の必要性の高まりなどを踏まえた時代の変化を先取りした「商品開発と対面サービスの強化」を一体で推進する他、大同生命ではコアビジネス化を目指す「経営者個人・個人事業主市場」で、特にシニア層をターゲットとする「介護」「相続・事業承継」を成長領域として強化する。
 もう一つの戦略ポイントは、T&Dフィナンシャル生命の戦略的強化で、グループ一体で商品開発や資産運用などでの競争力強化を図る。
 全体像としては、@成長領域拡大に向け、グループ共通の取り組みとして前記二つの戦略ポイントを推進するマーケティング戦略AERMを戦略的に活用しALM運用を原則としつつ収益源泉の多様化など資産運用の高度化を推進する資産運用戦略Bグループシナジーの追求により競争力向上を目指すIT戦略―を挙げている。これら三つの国内生保事業戦略に、アセット・マネジメント事業、ペット保険事業などの周辺事業戦略を加えた国内事業戦略により内部成長を促すとともに、国内生保事業、国内周辺事業、海外投資などの投資、M&A、提携などを通じて外部成長を図る。
 一方、グループ資本政策では、ERMの戦略的活用として収益・リスク・資本の一体管理を通じた株主資本の有効活用に取り組む。株主還元方針に基づき、安定的な「現金配当」と機動的な「自己株式の取得」を図る。
 以上の基本的方向性に基づいて、前中期経営計画期間を通じて強化した事業基盤をベースに、さらなる企業価値の安定的・持続的な増大を図るとしている。


 
[2016-06-21]
 特許庁が初の訴訟費用保険制度を創設、中小企業の海外知財リスク軽減、損保大手3社が引き受け

 特許庁は、中小企業が海外で知財侵害の係争に巻き込まれた場合のセーフティーネットとして、海外での知的財産訴訟費用を賄う保険制度を創設し、6月8日から募集を開始している。海外での知財訴訟費用をカバーする保険制度の設立はわが国では初めて。
 新たに創設された中小企業向け海外知財訴訟費用保険制度では、中小企業が同海外知財訴訟費用保険に加入する際の掛け金の2分の1を国が補助する。
 運営は、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会が行い、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上の3社が引き受け保険会社を務める。
 保険期間は7月1日午前0時〜17年6月30日正午までで、17年2月1日始期分(2月1日付加入分)まで中途加入が可能。
 国内の中小企業による海外での出願件数の増加に伴い、中国をはじめとして、海外での知的財産侵害を理由とする係争に中小企業が巻き込まれるリスクが増加傾向にある。これに伴い、これら中小企業では、係争の対応で必要となる多額の費用を用意できず、事業撤退や会社の存続の危機に追い込まれるなどのリスクが高まりつつある。
 特許庁は今回の保険制度創設の背景について、こうした国内中小企業の置かれた状況を受けたものと説明している。

 
[2016-06-20]
 朝日生命が決算報告会を開催、新規契約が大幅に伸展、第三分野商品は32.5%増加

 朝日生命6月3日、2015年度の決算報告会を東京都千代田区本社で開催した。15年10月に投入した介護保険「プライムステージ」などの新商品投入による新契約の伸展や、経営戦略目標の一つである「営業職員チャネル単独での保障性商品の保有契約(年換算保険料)反転を1年前倒しで達成するなど、15年度からスタートした中期経営計画「SHINKA(新化・進化・真価)〜未来に挑む〜(3カ年計画)」が、保険業績面、収益面、財務面ともに順調に推移していると報告した。
 15年度の新契約年換算保険料(新規契約・転換純増加)は前年度比19.1%増の299億円。うち新規契約については同25.5%増の259億円となり、大幅に伸展した。また同社の主力分野である第三分野についても同32.5%増の212億円と伸展。
 死亡や満期による消滅を加味した保有契約年換算保険料は前年度末比1%減の5389億円。また、第三分野部分については同5.4%増となり、第三分野部分の保有契約全体に占める割合は前年度末に比べ2.0ポイント上昇し、34.1%となった。
 保障性商品の保有契約の状況については、営業職員チャネルで、前年度末比0.7%増の2969億円となり、保障性商品の保有契約反転を1年前倒しで成し遂げた。また、代理店チャネルでも、新契約年換算保険料が前年度比57.9%増加するなど、高い伸びを示した。
 これらの結果として、保障性商品の保有契約年換算保険料は前年度末比1.5%増の3017億円を計上した。
 収益の状況を見ると、基礎利益は259億円で前年度に比べて16億円減少したものの、前年度並みの水準を維持。内訳としては、非差損益は営業業績進展に伴う事業費支出の増加などの影響で前年度比34億円減少。危険差損益は死亡保険金などの支払いの減少により、同18億円増加した。
 逆ざや額は利息や配当金収入、予定利息ともに減少し、前年度と同水準となった。
 経常利益は同358億円減の148億円、当期純剰余は196億円減の175億円となった。当期未処分剰余金は181億円。
 こうした状況を受けて、個人保険、個人年金保険の配当については原則据え置く。具体的には、平準払いの契約については配当率を据え置く。一方で、マイナス金利政策の導入以降金利変動リスクが高まっていることを踏まえて一時払い終身保険については利差配当を0とした。
 財務状況としては、ソルベンシー・マージン比率が前年度末比23.8ポイント上昇し、691.5%。実質純資産額は前年度末に比べて1399億円増加し、9962億円となった。


 
[2016-06-17]
 損保ジャパン日本興亜がファミマで自転車保険販売、全国1万店以上で取扱い

 損保ジャパン日本興亜は6月8日から、ファミリーマートのマルチメディア端末「Famiポート」で、自転車事故に備える個人向け商品「自転車向け傷害保険」の販売を開始した。
 同商品は「Famiポート」を設置する全国のファミリーマート約1万1500店舗で取り扱う。加入手続きは、端末のタッチパネルで氏名や住所などの必要情報を入力後、レジで保険料を支払うことで店頭で完了する。保険期間は1年間で、年間保険料は3080円(税抜き)。同社では「24時間365日、手軽に申し込みできるのが特長」としている。
 「自転車向け傷害保険」は、自転車の運転中を含む交通事故などによるけがを補償する傷害保険に、日常生活で第三者にけがや損害を与えた場合の個人賠償責任補償特約をセットした商品。補償内容は、個人賠償(対人・対物)が1億円、傷害死亡・後遺障害保険金額が200万円、傷害入院保険金日額が5000円など。
 近年、自転車の利用者が増加し、自転車事故に伴う高額賠償が社会問題となっている。また、昨年6月1日には改正道路交通法が施行され、全国の各自治体でも自転車保険加入義務化の流れが進んでいる。今回の商品とサービスの提供は、こうした状況を背景とした自転車の安全対策に備えたいという顧客ニーズの高まりに対応したものとなっている。


 
[2016-06-16]
 生保主要15社が2015年度業績発表、運用環境悪化が重しに

 生保主要15社(かんぽ生命、日本生命、明治安田生命、第一生命、住友生命、ジブラルタ生命、アフラック、メットライフ生命、ソニー生命、三井生命、太陽生命、東京海上日動あんしん生命、アクサ生命、富国生命、大同生命)の2015年度業績(決算)が出そろった。保険料等収入は、一時払商品の販売減少などにより全体では前年比で減少したが、4社が前年度を10%以上上回る伸びを見せた。基礎利益は、運用環境の悪化により変額年金などの元本保証に係る費用が増加したことなどから、前年に比べ減少。増益は3社にとどまった。ソルベンシー・マージン比率は、市場環境の変動などにより前年度末に比べ全体では低下したものの、各社700%を上回る高水準を確保した。
 保険料等収入は、一時払商品や貯蓄性商品の販売をコントロールしたことなどから、前年度比で8社が減収。
 収入の金額では、日本生命が6兆809億円で最多。次いでかんぽ生命が5兆4138億円、明治安田生命が3兆3578億円の順。
 基礎利益は、年金資産の時価変動部分に係る費用負担や、金利低下・株価下落の影響などによる責任準備金積増負担の増加などを受け、減益となった会社が多い。
 利益の金額では、日本生命が6981億円で最も多く、次いで第一生命が4654億円、かんぽ生命4642億円、明治安田生命4599億円、住友生命3082億円。
 保有契約年換算保険料は、11社が前年度末比で増加。かんぽ生命の3兆5196億円をトップに、日本生命が3兆4300億円、明治安田生命が2兆1966億円で続いた。新契約年換算保険料は、11社が前年度比で増加。住友生命が24.2%増と大幅に伸びた他、日本生命、ソニー生命が10%以上伸展した。
 総資産は前年度末比で9社で増加。金額ではかんぽ生命が81兆5436億円で突出。次いで日本生命が63兆4538億円、明治安田生命と第一生命がそれぞれ36兆円台、35兆円台で続く。
 有価証券含み損益は三井生命を除く14社で前年度末から増加。日本生命が11兆667億円で最も多く、かんぽ生命が9兆5733億円、第一生命が6兆1638億円で続いた。前年度末から2倍以上増えた会社もある。
 ソルベンシー・マージン比率は、その他有価証券評価差額が減少したことなどから、全体では前度末比で低下した。個社では6社で上昇。最も高かったのは東京海上日動あんしん生命の3378.1%で、ソニー生命2722.8%、かんぽ生命1568.1%の順。

 
[2016-06-15]
 生保協会筒井協会長が1年の成果として二つの提言、中長期的な施策、継続取組みを

 生命保険協会の筒井義信協会長は6月10日、日銀記者クラブで協会長として最後の定例会見を行った。在任中は、@持続可能な社会保障制度の構築A自助努力の役割・重要性の理解促進B生保事業の基盤整備―の3点に注力。中でも、公的年金を補完する「長寿安心年金」創設に向けた提言と、保険教育推進に関する提言の公表を成果として挙げた。「いずれも息の長い、世論を形成していくための取り組み。中長期的に腰を据えて取り組んでいきたい」と次期会長に引き継ぐことを示した。
 まず、この1年で取り組んだ3点について振り返った。@については、年金領域における公的保障と私的保障の適切な在り方に関する一つの方策として、2月に「安心社会を実現するための社会保障制度の構築に向けて―公的年金を補完する『長寿安心年金』の創設―」を提言書として公表。「同提言を機に、さまざまな議論が行われ国民の選択肢が広がり、安心社会の実現につながってほしい」と期待を示した。Aは、次世代を担う子どもたちが将来に備えることの重要性を理解するための保険教育の取り組みで、4月に「保険教育推進に関する報告書―学校教育現場での保険教育機会の拡充に向けた提言―」を公表。学校での保険教育に係る課題を整理した上で、その課題解決に向けたものとなっている。「生命保険文化センターとも協力し、中長期視点で進めていきたい」と述べた。Bでは、税制面での要望、国際会計基準や国際的な金融監督・規制の在り方への積極的な意見発信など、各種要望を取りまとめたことを報告した。
 記者から協会長としての成果と、最も印象に残っていることを質問された協会長は、「成果としては、二つの提言を公表したことに尽きる」と述べた。少子高齢化が進行する中で、自助努力を促進する受け皿として生保業界が果たすべき使命に関連する取り組みであり、中長期的に腰を据えて取り組んでいきたいと継続する意向を示した。
 印象に残る事柄として挙げたのは、マイナス金利の影響による金利水準の低下と熊本地震の二つ。マイナス金利については「これまで以上に保険商品・資産運用の両面で創意工夫を凝らし、対応していくことが必要」との見解を示した。
 熊本地震については、「前回、協会長に就任したのは東日本大震災の直後だった。その経験も踏まえ、必要な対応は迅速に実施できたと考えている」と述べると同時に、被災者が一刻も早く元の環境に戻れるよう支援していく考えを示した。
 記者からマイナス金利政策に対する要望を問われた際には「マーケットへの慎重な配慮が必要」とし、マイナス金利の進行や国債のさらなる買い増しよりもETF(上場投資信託)の買い入れ増額などの選択肢が望ましいと回答した。
 また、金利低下で半ば後ろ向きに資産を振り分けているのではないかとの質問に対しては、顧客に約束した予定利率を保障責任上クリアしなければならないという責任感があると述べ、「単純な分散投資ではなく、ふさわしいリスクの目利き力、審査力を持つ人材の育成が必要。前向きな形での分散投資を進めていくことが責任を果たすこと」との見解を示した。
 一方、金融機関窓販の手数料開示の進捗(しんちょく)状況については、フィデューシャリー・デューティーの観点からさらに広い検討が必要だと考えているとし、今後、協会としてのガイドラインの策定の是非も含めた検討を進めるとの考えを示した。
 この他、コーポレートガバナンス・コード受け入れから2回目の総会シーズンを迎え、どのようなスタンスで臨むかとの質問に、筒井協会長は日本生命として回答。「機関投資家として、中長期的な企業価値向上が基本にあるべき」とした上で、「議決権行使の精査要綱を作成し、課題の有無を洗い出して選別している。対話を通じてコミュニケーションを取り、きめ細かく賛否を判断している」と取り組みを紹介した。
 同日開催された理事会の議題として、次期副会長、委員会実行委員会の内定、「SR報告書2016年度版」発行などが報告された。

 
[2016-06-14]
 損保協会が定例会見で15年度の取り組み総括、自助・共助の重要性強調

 損保協会は6月10日、業界紙向け定例記者会見を行い、前日に日銀記者クラブで行われた鈴木久仁協会長の会見内容を報告した。鈴木会長は熊本地震への対応状況を説明した他、15年度の取り組みを総括。大規模自然災害の発生を踏まえた自助・共助の重要性を強調した。
 熊本地震対応では、6日時点で事故受付件数が21万7625件、調査完了件数が18万6400件、支払保険金額が2724億537万7000円に上り史上2番目の規模となったと報告し、@相談対応A損害調査対応B特別措置C情報発信―の四つの取り組みについて説明した。震災発生から約2カ月で事故受付件数の86%の対応を完了したことについて、会員各社が東日本大震災の経験を生かしたこと、業界の一人一人が損害保険業の使命を自覚して懸命に取り組み続けた結果だと強調した。
 6月で任期を終える同氏は、15年度を振り返り、第7次中期基本計画の初年度として、重点取り組み項目の「消費者向け啓発・教育活動の推進」「地震保険の普及促進」「地域の実態に応じた『防災・減災』取り組みの推進」を中心に各課題を前進させたと説明した。「九州地区で猛威を振るった台風15号、関東・東北地方を中心に集中豪雨をもたらした台風18号、そして熊本地震など、近年の大規模自然災害を踏まえ、自助・共助の重要性を伝える活動を一層強化していく必要がある」との認識を示した。
 会見ではこの他、内閣府などが主催する「第1回防災推進国民大会」に参画することや、認定個人情報保護団体の認定業務の実施状況について説明した。
 第1回防災推進国民大会は、首都直下地震をテーマに防災に関するシンポジウムや展示などを行う総合イベントで、8月27、28日に東京大学本郷キャンパス内で開催される。
 個人情報保護団体の認定業務については、対象事業者の個人情報の取り扱いに関する苦情の処理や対象事業者に対する情報提供などを実施した。
 15年度の苦情件数については21件、相談件数は19件だった。

 
[2016-06-13]
 損保ジャパン日本興亜が信金会員向け事業性火災保険を販売、全信協と共同で制度化

 損保ジャパン日本興亜は、全国信用金庫協会(全信協)と共同で制度化した「しんきんの事業性火災保険」を、信用金庫会員事業者を対象に10月1日から販売する。同保険は、火災に加えて、台風や洪水などによる風水災事故に起因する建物・動産の損害を補償する。また、特約を選択・付加することで、顧客のニーズに合った幅広い補償を提供できる。
 対象となる顧客は信用金庫の会員法人と会員個人事業主で、保険の対象は店舗・事務所などの建物、設備・什器、商品・製品。
 基本補償は火災・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・雪災・騒じょうなど・水濡れ・外部からの物体飛来・盗難・水害・破損汚損が挙げられる。
 セットできる特約は休業損失補償特約と借家人賠償責任特約。
 付帯サービスとして、火災・水災などで汚染された建物や、機械設備の煙・すすなどによる災害汚染の調査、汚染除去を行うサービスを提供する。
 損保ジャパン日本興亜では、「各信金の会員に対する保険提案の拡充」や「役務収益の取組強化」などを支援することを目的に、これまで販売していた個人向け火災保険に加えて、会員事業者向けの新保険制度の創設について全信協と検討を行ってきた。
 その中で、信用金庫の事業と最も親和性が高く、かつ全ての事業者に存在するリスクを対象とする火災保険の制度化について全信協から指名を受け、共同で保険制度内容の検討を重ねた結果、今回の新窓販商品の販売を決めたとしている。

 
[2016-06-10]
 損保協会発表、熊本地震の地震保険支払、約2400億円(5月30日現在)

 損保協会は6月1日、5月30日現在の熊本地震に係る地震保険の支払件数、金額など(協会会員会社・非会員会社合計)をまとめ、発表した。それによると、合計支払件数は14万7575件、支払保険金は2398億5489万円となった。
 都道府県別の内訳は別表の通り。事故受付件数には、事故に関する調査の依頼の他、地震保険の補償内容・顧客の契約内容に関する相談・問い合わせなども含まれ、建物・家財の合計値。「調査完了件数」には、調査が完了して実際に保険金を支払った件数の他、保険金の支払い対象とならなかった事案や、相談・問い合わせなどを受け付けた段階で解決した事案などの件数が含まれる。


 
[2016-06-09]
 東京海上日動が商工会議所向けビジネス総合保険を創設、休業補償で中小企業BCP支援

 東京海上日動はこのほど、商工会議所の会員を対象にしたビジネス総合保険制度を創設し、中小企業の災害時の運転資金をカバーする休業補償などをパッケージにした「超ビジネスプロテクト」を発売した。7月以降の事故を対象としており、会員企業は通常よりも割安な保険料で加入することができる。全国の商工会議所と連携して同社の代理店を通じて募集し、2020年度までに10万社の新規加入を目指す。
 超ビジネスプロテクトは日本商工会議所を契約者とし、515ある商工会議所の会員事業者が被保険者となる団体保険。賠償責任保険に加え、休業補償の付帯を条件としており、顧客ニーズに応じて地震による休業補償や財物補償(火災保険)、工事補償などを幅広く選択できる。これまで商工会議所には、PLやリコール、情報漏えいによる賠償責任リスクを補償する団体保険制度はあったが、財物補償や休業補償はなかった。
 休業補償では、災害による事業休止の損失に加え、臨時作業員の雇い入れ費用、臨時店舗・代替機械の借入費用なども補償されることから、事業継続資金などの運転資金を確保できる。また、東京海上日動が提供する早期災害復旧支援サービス(ベルフォア)を活用することで事業の早期復旧が可能となる。保険料は、一般で加入するよりも最大で約3割低い水準となっており、売上高1億円の飲食店の場合、保険料は月額9000円程度となる。
 この他、保険加入者にはインバウンドビジネス支援サービスを無償で提供する。同社が通訳事業者やインバウンドに関するコンサルティング会社などと提携し、訪日外国人の受け入れ態勢や集客力の強化、トラブル時の多言語通訳、情報提供などを行うことで、宿泊、飲食、小売りなどの業界で今後、一層の拡大が見込まれるインバウンドマーケットへの対応を支援する。
 政府は10年に定めた新成長戦略で、20年までにBCP策定を大企業のほぼ全て、中堅企業で50%とする目標を定めており、商工団体が開催するBCPセミナーに補助金を出すなど本格支援に乗り出している。しかし、近年のBCP策定率は、中堅企業で約3割(内閣府「平成27年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」)、中小企業では14%程度(総務省「平成24年版情報通信白書」)にとどまっている。特に中小企業の場合、大企業のように事業拠点が分散していない上、特定の事業領域への依存度が高いことから、有事の備えの必要性は大企業と比べて高いが、同社の中小企業契約者の付保状況でも財物補償が約7割、賠償補償は約3割が加入している一方で、休業補償への加入率は1割にも満たない。こうした状況を受け、今回、新制度を創設した。
 今後は、同社と日本商工会議所が連携して、各地の商工会議所を通じてBCPセミナーの回数を増やすなど取り組みを強化し、会員企業に対し同制度への加入推進を図る。
 同社では「今回の新商品発売は、当社の本年度の最重要施策の一つであり、全国の会員企業に加入いただくことを通じて、BCP策定を含めた災害への対応力強化とビジネス拡大を支援し、日本の地方創生を後押ししていきたい」としている。

 
[2016-06-08]
 三井住友海上、契約確認や事故時の連絡が「LINE」から可能に

 三井住友海上は7月29日(予定)から、「お客さまWebサービス」に登録済みの顧客を対象に、LINE鰍ェ運営するコミュニケーションアプリ「LINE」を活用した新たな顧客向けサービスを開始する。「LINE」のトーク機能や個人認証機能を用いて保険の契約内容の確認や事故の連絡ができるなど、万一の事故や災害の発生時に役立つ機能を提供する。三井住友海上によると、「LINE」から取扱代理店の照会や事故連絡などができるサービスの提供は保険業界初となる。
 新サービスはトーク画面を活用した簡潔な手続きが特徴で、ID・パスワードを毎回入力する必要なしに「LINE」から「お客さまWebサービス」を利用できる他、「LINE」のトーク画面で「契約確認」「事故連絡」「代理店」のボタンを押すなどの簡潔な操作で契約内容や代理店照会画面につながるURLを表示できる。
 また、事故や災害の発生時には、自分の保険契約に関する情報を持っていない場合でも、「LINE」で契約内容の確認や事故連絡を行うことができる。
 三井住友海上では、多様な顧客ニーズに対応しきめ細かな情報提供を行うため、2016年度から新たにデジタルマーケティング(注)を活用したサービスを開始している。今後は電子メールや「LINE」のトーク画面を通じて、災害発生時の保険金請求に関する案内の他、同社の海外旅行保険「@とらべる」や1日型の自動車保険「1DAY保険」のリピーター割引など、顧客に役立つ情報の発信を行っていく予定。
 (注)メールやSNSなどを活用し、一人一人に応じた情報発信を行うことで、顧客との接点を強化するマーケティング手法。

 
[2016-06-07]
 MS&ADグループが自動走行実験向けプランを改定、遠隔型システムに対応

 MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、インターリスク総研の3社は7月から、遠隔型自動走行によるリスクを補償する「自動走行実証実験総合補償プラン」(改定版)を発売する。同グループは、昨年12月から「自動走行実証実験総合補償プラン」を販売しているが、自動走行車の実現に向けて高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が策定した「官民ITS構想・ロードマップ」が今年5月20日に改定されたことに伴い、今後、遠隔型自動走行の実験の増加が想定されることから、同走行に伴うリスクも対象となるよう商品を改定した。
 昨年12月に発売した「自動走行実証実験総合補償プラン」は、従来の運転者が乗車して行う自動走行システムの実証実験を対象に、運転者の操作ミスによる事故や、自動車の不具合による事故、サービス利用登録した個人情報の漏えい、実験のオペレーションミスによる事故など、自動運転車の実証実験を取り巻くリスクを包括的に補償する商品。
 7月から発売する「自動走行実証実験総合補償プラン」(改定版)では、これらの補償内容に加えて、運転者が乗車しない「遠隔型自動走行システム」の実証実験にも対応できるよう、遠隔型自動走行に特有のリスクやサイバー攻撃による損害なども補償する。
 また、インターリスク総研が蓄積してきた公道実証実験でのリスクアセスメントのノウハウを活用し、遠隔型自動走行の実証実験に対応した社内規程やマニュアルの作成など、新たなコンサルティングメニューも提供する。提供するメニューは、今後のノウハウの蓄積に応じて、順次拡充していく予定だという。
 今年5月20日に改定された「官民ITS構想・ロードマップ2016」では、新たな形態として「限定地域での無人自動走行移動サービス」の提供(20年までの実現を計画)に向けた「遠隔型自動走行システム」の実証実験についても触れられている。MS&ADグループはそうした実証実験を支援するため、「自動走行実証実験総合補償プラン」(改定版)の発売を決めたとしている。
 同グループは、昨年12月の「自動走行実証実験総合補償プラン」発売を通じて、運転者乗車型の公道実証実験を取り巻くリスクに対する補償とリスクアセスメントを提供し、公道での実証実験を支援している。今後さらに遠隔型を含めた自動走行システム全般のノウハウを蓄積し、より安全に実証実験を行える環境づくりに寄与していく考え。

 
[2016-06-06]
 損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスケア、風力発電所リスク評価モデル開発

 損保ジャパン日本興亜とSOMPOリスケアマネジメントは5月、東京大学およびSOMPOキャノピアス(英国)と日本の陸上・洋上風力発電所を対象としたリスク評価モデルを共同開発した。両社によれば、日本の洋上風力発電所を対象としたリスク評価モデルは世界初となる。
 同モデルは、国際的な設計基準や風車の制御方式、立地状況などによる被害の違いを評価し、陸上・洋上風力発電所での風災、落雷、機械的・電気的故障による物的損害と故障・事故時の運転停止に起因する利益損失を確率的に推定する。また、欧州や日本の実績値に基づく再建設コスト・修理コストの計算モデルも組み込んでおり、故障・事故に伴う運転停止期間や洋上風力発電所における作業船の用船コストなども推定する。
 近年、風力発電事業の拡大が急速に進んでおり、政府の風力発電導入見通しでは、総設備容量は2014年の293万キロワットから30年には1000万キロワットまで拡大するとしている。また、日本風力発電協会のロードマップでは、総設備容量を30年までに3620万キロワットとする目標を立てている。このような環境の中、損保会社には保険商品を通じた風力発電の電力安定供給への貢献が期待されている。
 一方、風力発電所が抱えるリスクは定量的な評価が難しく、また1事故の損害額も高額化していることから、事業者の経営の不安定化要因となっている。また、風車の大型化・ウインドファームの大規模化も進み、洋上風力では故障事故の復旧工事に大型作業船が必要になるなど、今後も損害が大規模化する可能性が高いことから、損保会社においても、継続的・安定的な保険提供のために引受リスク管理の強化が課題となっている。
 そこで両社は、東京大学の研究成果と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の故障・事故データベースを用いてリスク評価モデルを開発した。モデル開発には損保ジャパン日本興亜とSOMPOキャノピアスが保有する過去の事故データ・保険引受ノウハウも活用している。
 同社グループでは、同モデルを活用し、事業者の適切な保険手配につなげる他、故障・事故時の財務影響分析サービスなどのサービスメニューの開発につなげていき、保険引受においても、予想損害額の算出や集積リスク管理、新保険商品開発、効果的な再保険の手配などに積極的に活用していくとしている。

 
[2016-06-03]
 SBI生命、生保初、帳票生成データをXMLで標準化

 SBI生命は新規契約業務の開始に伴い、オンライン帳票生成システムとして、保険会社向け帳票ソリューションを展開する潟~ックが提供する「Open!PrintXML」を導入した。これにより、帳票生成に伴う受け渡しデータのXMLでの標準化を実現。約100種類の帳票開発の着手からリリースまでを4カ月弱で実現し、開発期間の大幅短縮とコスト削減につながった。XMLによる標準化は生保業界では初めてだという。
 同社(旧ピーシーエー生命)は、SBIグループが2015年2月に旧ピーシーエー生命の全株式を取得後、同年5月に社名を「SBI生命」に変更し、新会社としてスタート。金融庁からの承認を受け、今年2月から新規保険の引き受けを再開した。
 新会社としてスタートしてからの約1年間は、社内体制の整備や新商品の開発などを進めてきた。帳票の制作に当たっては、SBIグループの「金融イノベーターたれ」という経営理念を踏まえ、高品質で革新的なものを開発することで顧客へ還元することを目指し、@オンライン・印刷問わず全ての帳票(100帳票弱)の制作・管理Aユニバーサルデザインを考慮したデザイン設計B告知書などは顧客情報の内容によってレイアウトを可変対応(One to One対応)Cフロントシステムと連携させた保険設計書などのオンライン帳票生成システムの構築―の4点を開発範囲とした。
 一方で、システムエンジニアが新規設計やプログラミングなど全ての工程を請け負い、システムデータベースを設計してから帳票の制作に取り掛かる通常のスキームでは、工数や時間、コストがかかることから、ミックが提供する「Open!PrintXML」の導入を決めた。
 帳票制作は、オーバーレイから先行着手。この段階では正式な項目名が決まっていなかったものもあるため、仮の項目名で項目配置し、帳票サーバーが構築できた段階でフロントシステムとの結合テストを部分的に実施することで、開発・テストの効率化を図った。また、記載・記入枠とその配慮条件をXMLで部品化し、One to One帳票の生成を実現。印刷帳票の制作も同時進行し、オンライン帳票の記載文言などに変更が生じた際はミックの帳票管理システムの機能を活用した変更管理を実施することで、修正の抜け漏れや先祖返りを防止した。
 また、少子高齢化などの社会環境も踏まえ、帳票の見やすさ、分かりやすさを向上させるため、同社独自のブランドガイドラインを作成。そのガイドラインとユニバーサルデザインに配慮したデザインとした。
 可変対応については、従来の開発では、帳票印字用データの形式はフロントシステム側で決めていたが(主にCSV形式)、項目名と項目値を中心としたシンプルなファイル構造とすることが可能なXML形式は、帳票開発工数の大幅な圧縮を目的にした標準化に最適なことから、帳票印字用のデータ形式にXMLを採用した。これにより、フロントシステム側の開発負荷を軽減できただけでなく、テスト工数の大幅な圧縮と約40%のコスト削減になった。
 オンライン帳票生成システムは、「Open!PrintXML」によって帳票印字用データ形式のXMLによる標準モデルが構築できたことから、フロントシステムと「Open!PrintXML」とのやり取りの方法やデータ形式の取り決めなどを数回の打ち合わせのみで開発した。
 執行役員兼IT部長の池山徹チーフ・オペレーション・オフィサーは「システムのデータベース設計・構築と帳票のオーバーレイへの着手が同時進行できたことが非常に有効で、その結果、開発期間やコスト、工数の短縮になった。書類の審査部門からは帳票に不備が少なくなったとの声も寄せられており、社員の業務効率化にもつながっている」と話す。また、「今回は新契約分野からの対応となったが、XML形式によるデータ連携は柔軟性や汎用性が高いことから、今後は保全や請求などの他の帳票制作にも導入していきたい」としている。
 一方、ミックの細川謙三社長は「保険会社では新契約、保全などの業務ごとにシステムがあり、ツールや受け渡し用データもそれぞれ異なる。そのため、SBI生命には、可変データに関してはXMLを導入して汎用的なルールを設けることを提案した。こうしたルールを決めて帳票開発を進めた例はないが、当社のノウハウを生かせば実現可能だ。今後も保険業界の帳票に関するコスト削減や標準化を支援していきたい」としている。

 
[2016-06-02]
 フコク生命グループ15年度決算、新契約高3年連続増、2兆18億円

 フコク生命グループは5月27日、東京都千代田区の富国生命本社ビルで2015年度の決算説明会を開催した。富国生命とフコクしんらい生命合算の新契約高は3年連続で増加し2兆18億円となった他、基礎利益は948億円と14年度に次ぐ高水準を確保。超低金利や円高など厳しい運用環境の中、利息及び配当金等収入は内外株式などの配当金の増加が寄与し、前年度を上回り6期連続で増加した。連結ソルベンシー・マージン比率は過去最高の1341.5%となった。
 富国生命とフコクしんらい生命の新契約高は、営業職員と金融機関窓販の二つのチャネルの効果的な活用が奏功し、前年対比6.4%増加の2兆18億円、3年連続の増加となった。中でも富国生命の個人年金保険が好調だった。解約失効高は同6.4%減少し、大きく改善した。新契約年換算保険料は、フコクしんらい生命の金融機関窓販の増加、富国生命の個人年金保険など貯蓄性商品販売の好調を主な要因に同7.7%増加した。
 2社合算の保有契約高の減少幅は1.6%から0.7%に縮小。新契約率の上昇と解約・失効率の改善で保有契約高の反転増加に向けて着実に進展している。保有契約年換算保険料は、2社共に増加し前年度末比1.9%増加の5752億円。第三分野についても同0.8%増加の1092億円となった。富国生命単体では、10年ぶりに増加に転じた。
 保険料等収入を見ると、富国生命の団体保険分野の減少を主な要因として前年対比1.0%減少したが、個人保険分野(平準払い)と、フコクしんらい生命の一時払終身保険の販売が昨年度から引き続き堅調に推移。商品ポートフォリオの多様化を図るために、今後、平準払商品の拡販にも注力していく。
 基礎利益は前年対比1.2%減少し948億円となったものの、開示以来最高だった14年度に次ぐ高水準を確保した。厳しい運用環境の中、内外株式などの配当金増加が寄与し、利息及び配当金等収入が増加。その結果、利差は同5.4%増加の249億円と引き続き高い収益性を維持し、4年連続で増配を実施する。
 連結ソルベンシー・マージン比率は11年度の開示以降、毎期着実に向上しており、前年度末比145.8ポイント上昇の1341.5%と過去最高となった。富国生命単体では、追加責任準備金の積み立て、価格変動準備金と危険準備金の積み増しなどで同152.5ポイント上昇の1321.8%だった。
 資産運用に関しては、収益性の維持と将来の国内金利の上昇への備えを目的に円貨建て公社債を大幅に削減し、ヘッジ付外債を積み増した。また、含み益を確定するためにオープン外債の一部をヘッジ付外債に振り替えた。有価証券の含み益は円高や内外株価の下落などで前年対比で減少したが、8433億円と引き続き高水準を維持している。富国生命は、自己資本の一層の強化を図るため、7月に米ドル建永久劣後特約社債(5億米ドル)を発行するとともに、統合的リスク管理(ERM)を着実に推進している。マイナス金利に対応するため、保障を充実させた新商品「医療大臣プレミアムエイト」の投入、一時払商品の販売休止(富国生命)や諸準備金を強化する。また、16年度は引き続きヘッジ付外債の積み増しやESG投資を拡大する方針を示した。
 チャネルに関しては、ネットで集客し、営業職員チャネルにつなげる方針。フェイストゥフェイスが重要との考えの下、営業職員や信用金庫での窓口を中心に販売していく。

 
[2016-06-01]
 住友生命の15年度決算、新契約、保険料等収入増加、「1UP」や貯蓄性保険などが寄与

 住友生命が5月28日に発表した2015年度決算によると、15年9月25日に発売した新商品「1UP(生活障害収入保障特約)」の効果や貯蓄性保険の販売増加などが寄与し、新契約年換算保険料、保険料等収入は増加した。収支面では、変額年金保険に係る標準責任準備金などの影響を除いた実質的な基礎利益が新契約の販売増加に伴う初期費用などにより減少したが、引き続き3000億円を上回る水準で、堅調に推移している。15年度決算案に基づく社員配当は3年連続の増配となる。
 新契約年換算保険料は、「1UP」の効果や一時払終身保険、個人年金保険などの貯蓄生保険の販売が増加したことなどにより、前年比24.2%増加して1692億円となった。そのうち、営業職員等チャネルでは同10.7%増の1017億円、金融機関等チャネルでは同52.1%増の674億円。
 保有契約年換算保険料は、新契約年換算保険料の増加などにより、前年度末比1.4%増加して2兆1934億円となった。第三分野は、同1.8%増の5197億円で、開示以来13年連続で着実に増加している。また、メディケア生命、シメトラ社を合算した住友生命グループの保有契約年換算保険料は同18.4%増加し、2兆5835億円となった。解約+失効年換算保険料は、保障性商品などの解約・失効が減少しており、同1.5%改善して864億円。
 保険料等収入は、貯蓄性保険の販売好調を主因とし、前年比17.2%増の3兆220億円となった。基礎利益は、変額年金保険に係る標準責任準備金の繰り入れなどにより、同25.0%減の3082億円となった。変額年金保険に係る標準責任準備金などの影響を除いた実質的な基礎利益は、新契約の販売増加に伴う初期費用などによって同11.2%減少し3244億円となったものの、引き続き3000億円を上回る水準であり、堅調に推移している。
 利息及び配当金等収入は、外国債券の積み増しによる利息収入の増加や、国内株式の配当増加などにより、同2.6%増の5684億円となった。順ざやは同146億円増加して227億円。
 内部留保は、前年度末比1404億円積み増して1兆4283億円。ソルベンシー・マージン比率は、その他有価証券評価差額金の減少などにより、同108.8ポイント減少して835.4%となったものの、引き続き十分な水準を維持している。
 メディケア生命、シメトラ社を含めた住友生命グループのヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、新契約の獲得など保険事業活動の成果が寄与した一方、外的要因である金利低下が影響し、同1兆1465億円減少し、2兆5051億円となった。
 15年度決算案に基づく社員配当金については、単年度および将来の収益状況や内部留保の水準などを踏まえて安定的に還元を行うこと、内部留保によるリスク対応力強化と契約者還元の充実についてバランスを取ることなどの基本的な考え方に基づき実施。個人保険・個人年金保険では3年連続の増配を実施となる。
 中期経営計画における成長戦略の状況については、15年9月に「1UP」を発売し、大手生保では初めて就労不能保障分野に進出。15年度下半期は「1UP」の効果もあり、主力商品(Wステージ・ライブワン)の販売件数が21万件を突破した。「1UP」は若年層や独身層への訴求力が高く、特に30歳未満の新契約件数が前年比27.2%増加するなど顧客層の拡大に大きく寄与していることから、引き続き「1UP」の販売に注力する。
 海外事業については、2月にシメトラ社を完全子会社化したことで米国市場に進出。これにより、収益基盤の強化、リスク分散、米国市場の成長性の享受などを通じ、長期的な契約者利益の向上を目指す。また、アジア市場の事業展開は、出資先3社とも高い成長を遂げており、いずれも高いブランド力を有していることから、今後も成長を見込んでいる。
 資産運用の高度化に向けた取り組みは、国内金利の低位推移が長期化する中、顧客の利益などに貢献するため、投資対象の多様化、体制面の強化(運用人材の育成など)などの取り組みを進め、収益向上とリスクコントロールの強化に取り組む方針。16年度は、円金利資産中心のポートフォリオとリスク性資産中心のポートフォリオに分け、それぞれの運用目的に応じた運用を行う。今後も顧客へのサービス体制のさらなる進化を図りつつ、成長戦略の実現に向け住友生命グループ全体で注力し、企業価値の持続的向上に努めるとしている。

 

 (保険毎日新聞から抜粋)